2019.05.14 先生向けコラム 第5回 産学連携での教員力向上と関わる企業ができること

岡山県倉敷市の学校法人ノートルダム清心学園 清心中学校・清心女子高等学校。社会が激変する中で、130年以上引き継がれている精神と新しいことに挑み続ける教員と生徒。一般社団法人 カンコー教育ソリューション研究協議会との産学連携キャリア教育プロジェクトを通じて、様々な立場からプロジェクトでの変化やこれからの学びについて語っていただきました。(全7回)

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SSH(スーパーサイエンスハイスクール)をはじめ、SGHa(スーパーグローバルハイスクールアソシエイト)、ユネスコスクールとしての活動の中で、様々な産学連携にも取り組まれている清心中学校・清心女子高等学校。取り組むことでの生徒・先生方の変化や、生徒の資質・能力向上を見据えた外部連携先へのお願いなどを副校長 森 雅子先生へ伺いました。

 

生徒たちの新しい一面の発見

―準備からご参画いただき、当日はプロジェクトに取り組む生徒の様子をご覧になっていかがでしたか?

担当の先生といろいろと仕掛けを考えて、実施してくださっていましたが、中でもクラスを越えたグループでの実施は効果的だったと思います。通常の生活ではあまりよく知らないメンバーで、しかも限られた時間でやりとげた姿に感心しました。

普段の授業では、「これできないから待って」「明日でいい?」など交渉する生徒もいるのですが、今回の限られた時間の中で、やり遂げることができるんだというのは新しい気づきでした。チームで企画をまとめているときの時間が短い中で、大急ぎで必死に取り組む姿は、生徒たちの新しい面をみることができたような気がします。

クラス替えを経験していない1年生という要素もグループづくりの仕掛けが効きましたね。話したことのないメンバーと話し、時間内に課題をやりとげたことはひとつの成果と言えると思います。

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生徒や教員の変化に対し振り返る森副校長先生

 

教員もみんなで取り組むことで、教員力が上がる

―先生方の変化についてはいかがですか?

学校としても、外部と連携する機会は多くあります。例えば、社会科で岡山大学教育学部や消費者センターと契約について学ぶ。SSHの活動として理科の授業で、JAとつながり、丸太に菌をうえてきのこ栽培に取り組むなど。
どちらかといえば、教科ごとで外とつながることが多く、今回のように学年団として企業と連携し、取り組むことは今までなかったように思います。

本校は外部と連携する機会はとても多いと思いますが、すべての教科がそうとは限らない。何でも教科に任せることは簡単ですが、教員もみんなで取り組むことで、全体の教育力が上がることを感じています。

いろんな教科の教員がいる中で、学年団として企業とつながり、足並みそろえて関わることができたのは、難しい面もあったとは思いますが、とてもいい経験だったと思います。

 

連携していただく企業にお願いしたいことは、生徒への伝え方と成長に気づける仕掛け

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全体傾向・個人用振り返りシートに共感される森副校長先生

―外部人材が関わる際に、生徒の資質・能力を高めるために、お願いしたいことはどんなことですか?

ひとつは、生徒に指示や課題をだすときに、その出し方、伝え方で本当に生徒に伝わり、行動にうつせるのかを吟味していただきたいですね。それは、細かければいいわけでもなく、その学校や生徒に合わせた出し方、伝え方をすることが必要になると思います。

ふたつめは、振り返りです。今回のセルフアセスメントの(生徒用)振り返りシートは素晴らしい。振り返りがないと、やりっぱなしになってしまいます。企業の方から講演があり、感想を記入し、講演いただいた方へフィードバックするケースはよくありますが、この振り返りシートは、その体験によって、生徒がどういう風に意識が変わったのかがふりかえられる。これにとても感動しました。
かつ、資質・能力の項目が一般化されている点が、子どもたちにとって漠然としていたいろいろな力が、具体的な行動と結びつき、意識できるのがいいですね。「なぜこの2つの力(例えば、表現力と省察力や持続力と制御力など)がセットなのか」とか、気づきがあれば一層成長していくと思います。セルフアセスメント振り返りシートがもっと研究されていいものになることを期待しています。

データを蓄積して、日本人の特性や女子校はどうかといった傾向がでれば、教員も働きかけを考え、変化を促すひとつのヒントになると思います。

 

いかがでしたか? 関連記事では、様々な立場から教育やこれからについてお話いただきましたので、ぜひご覧ください。

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(取材 / 桑原 愛那、撮影 / 谷岡 美樹、ライティング / 北浦 菜緒)

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