2019.04.01 人づくり・現場指導 「職場体験」の質向上のために

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「地域に人が残らない」ことに危機感を覚え、 数年前からキャリア教育に力を入れている宮崎県。 毎年行われてきた子どもたちの職場体験を、 ひとつのイベントに終わらせることなく より深く地元企業の魅力を知り、 働く目的や意義を体感できるプログラムにしようと、 カンコーと協働しての取り組みが始まりました。

ここでは、宮崎県キャリア教育支援センター×カンコー教育ソリューション研究協議会の実例をご紹介します。

 

いま問われているのは地域を支える「人づくり」

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日本のエネルギー問題や人口問題などについての政策提言を行っている「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会は、2040年には全国1,800の市町村のうち896の自治体が、消滅する可能性の高い「消滅危惧市町村」になると公表しています。
これは全体的な人口減少に加え、特に若い女性(20〜39歳)が就きたい仕事を求めて都市部に流出することが原因とされています。

これを乗り越えるには、自治体経営に先進のテクノロジーを活用して効率化・合理化を図るとともに、地域が生き残るための魅力的な事業を創出できる人材育成を今から進めていかねばなりません。
超スマート社会の中でも、発想力やデザイン的思考、リーダーシップなどを発揮して、地域の新しい価値を生み出せるのはやはり「人」。たとえ都心部へ進学したとしても、生まれ育った土地に戻って仕事に就きたい、地域の役に立ちたいと考える子どもたちを育て、「地域に人を残す」ための学びが今、必要なのです。

 

小中高の体験学習は社会で働くことの意味とやりがいを知る第一歩

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こうした事情を踏まえ、学校現場では「キャリア教育」がますます重要な意味を持つようになってきました。その中でも、子どもたちが地元企業の現場に入り、仕事のやりがいを肌で感じることのできる体験学習は、数多くの小中高が取り組んでいるプログラムです。

しかし、先生方のオーバーワークが叫ばれる中、「受け入れ企業との意思疎通や情報共有が難しい」「明確な目標設定や成果の振り返りまで手が回らない」「例年通り、ただ消化するだけで終わっている」といった学校現場が多いのではないでしょうか。宮崎県も、以前から学校と企業を結ぶ体験学習に取り組んでいたものの、まさにそのような問題を抱えていました。

 

「職場体験」のリニューアルへ

宮崎県の高校・大学卒業者は都市部での就職を望む傾向が強く、高卒者の県内就職率(2017年3月)は55.8%と全国ワースト2位。その前々年、前年はワースト1位でした。県としても地元に人が残らないことに危機感を募らせ、「宮崎県キャリア教育支援センター」を設立するなどし、県民総ぐるみで宮崎の未来を担う人材育成に取り組んでいます。
これまでにも、様々な地元企業の職業人(よのなか先生)を学校に招き、講話やディスカッションなどを行う「よのなか教室」を開催するなど、学校現場のキャリア教育を支援してきました。

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そして今年1月、東京で開かれた「キャリア教育推進連携シンポジウム」で、宮崎県キャリア教育支援センターとカンコー教育ソリューション研究協議会が出会い、互いの見識が共鳴。折しも4月から、宮崎県では各学校の職場体験をリニューアルする事業が始まる予定でした。
これまでイベント化しがちだった職場体験を、働く目的や意義をより体感できる内容へとブラッシュアップし、地域と一体となって展開したいということで、カンコーと協働することに。カンコーが有する「人づくりプログラム実践サポート」のメニューをもとに、受け入れ企業に向けた事前研修を実施するなど、職場体験のトータルな質向上を目指してタッグを組むことになりました。

 

子どもを受け入れる地元企業を集め、4つのワークを展開

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職場体験のリニューアルにあたり、最初にモデルケースとなったのが延岡市の「北方学園中学校」です。今回から、来たるべき新しい社会の中で求められる力をより育める「課題探求型」の職場体験にしようと、県と学校との討議の中で「企業の魅力を発見しよう」というテーマが生まれました。
これを受けて8月7日、延岡商工会議所に、北方学園の中学生たちを受け入れる地元企業の担当者が集合。テーマに沿った体験プログラムを実現するための事前研修が行われました。

研修は大きく4つのワークで構成され、いずれもカンコーの研修担当者がファシリテーションしました。

4つのワーク

ワーク1「現在の教育活動について情報交換しよう」
ワーク2「受け入れ前の情報整理をしよう」
ワーク3「伝えたい発見ポイントを整理しよう」
ワーク4「受け入れスケジュールを作成しよう」

ワーク1「現在の教育活動について情報交換しよう」

ワーク1では、各企業の参加者が、これまで自社がどのように学校教育現場に関わってきたかをワークシートに整理し、その内容について企業間で話し合いました。

またカンコーから、CSRや他社の特徴的な体験学習プログラムについてもレクチャーし、子どもたちの職場体験は受け入れ企業にとっても多くのメリットがあることを伝えました。

ワーク2「受け入れ前の情報整理をしよう」

ワーク2では、各企業が「もし自分たちの業界がなかったら?」「他社との違いは?」「仕事を通じてお客様に提供する価値とは?」「社員が大切にしていることは?」といったワークシートの質問に答えていく形で、自社が持てる教育資源について整理。当たり前と思っていたことも子どもに伝える価値があると気づいた、自社の存在意義を再認識できてモチベーションが上がる、といった声が聞こえてきました。

ワーク3「伝えたい発見ポイントを整理しよう」

さらに、自社の魅力を子どもが発見するのにどこが最適かを考え、職場体験に使えるポイントを整理しました。

ワーク4「受け入れスケジュールを作成しよう」

最後に、2日間にわたる職場体験の流れを大まかに組み、一連のワークを終えました。

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気軽に情報や意見を交換できるよう、1つのテーブルに企業が混在する状況をつくりました。
参加者の中には、すでに「よのなか先生」として北方学園で講話や対談を経験している人も。

 

職場体験を提供することで、企業にとっても数多くのメリットが付随

多忙な中、子どもたちに職場体験を提供するには、それなりの準備が必要です。
しかし、カンコーの研修担当者は「自社の魅力を再認識でき、子どもの意欲に触れて自分たちもモチベーションが上がる。さらに、企業のPRやブランディング、長期的な人材育成につながったり、若手社員の研修の機会にもなったりと、職場体験は受け入れ企業にとっても多くのメリットがあるのです」と語ります。

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ワークシートに書き込むことで、認識が整理されます。
また、他社のシートを見せてもらったり、意見を聞くことで新たな気づきも生まれます。

また、今回の事前研修に参加した企業からは「これまでは、学校側が求めていることがよく分からないまま受け入れていた」「もっと早く知っていれば」という声も上がりました。
これについてカンコーの研修担当者は「多くの学校現場の先生方は、子どもたちを引き受けてくださる企業に対して、お忙しいところを何とか…と遠慮しがちで多くの要望を出しません。でも、そうなると企業も何をすればいいか分からずに困ってしまうんです」とのこと。
「企業にとってのメリットがたくさんあることを先生方にも知っていただくと、気軽に要望を出したり相談したりできる。企業もメリットを実感することで、より積極的になる。そんな好循環が生まれればいいな、という想いでサポートしています」。

事前研修を受けた企業はこの後、ワークの内容を踏まえ、宮崎県キャリア教育センターと話し合いながら各々の職場体験スケジュールを決定。準備を整え、受け入れ当日を迎えました。

参加企業

株式会社 虎屋
エンシティホテル延岡 株式会社
大瀬別荘グループホーム
株式会社 興電舎
オートバックス 延岡店

そして、いよいよ職場体験はスタートします。
職場体験プログラムの実施実例は下記よりご覧ください。



「カンコーは、子どもたちの夢と学びを応援しています」

※本稿は、(一社)カンコー教育ソリューション研究協議会からの業務委託により、菅公学生服株式会社がお届けする学校現場のお悩み解決を目的とした教育関係者様向け情報誌 『カンコータイムズ』 を基に加筆した記事です。

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