2019.04.01 キャリア教育 【実例:職場体験プログラム】企業の魅力から学ぶ力を育もう。

中学生が仕事の現場に入り、働く目的や意義を体感しました。北方学園中学校で実施された、職場体験プログラムをご紹介します。

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朝8時、生徒たちがやや緊張した面持ちで次々と登校してきました。
まず体育館に集まり、先生から「企業の魅力を発見しよう」という今回の目標を再確認。その他の留意点を聞いた後、2台のスクールバスに分乗してそれぞれの職場へ。2年生26名が5つの班に分かれ、9月6日(木)・7日(金)の2日間にわたり、同じ職場で仕事を体験しました。

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北方学園中学校(学校プロフィール)


宮崎県延岡市北方町に位置。延岡市では2012年に策定した「わかあゆ教育プラン」に基づき、市内すべての中学校区で小中一貫教育を実施しています。
本校も2014年度より北方町内の小学校と統合され、小中一貫校「延岡市立 北方学園」として開校。「北方の伝統を継承しつつ、北方の発展に積極的に参画し、“ふるさと北方”を創造する児童・生徒の育成」を教育目標とし、系統性と連続性のある9年間の義務教育を推進しています。

 

膨大な種類の商品を前に失敗からも学び取る

オートバックス延岡店(小売業) ※敬称略


カー用品チェーン店の最大手であるオートバックス延岡店では、様々な来店客を相手に商品を販売するノウハウを学ぶことができました。

生徒たちは店頭に立ち、お客様の流れや来店の目的を探りながら、スタッフの方の接客の仕方を観察。レジでの袋詰めや在庫補充なども手伝いました。さらにタイヤやオイルを交換するピット見学や、お客様の車の洗車も体験し、物販にとどまらないサービスの幅広さを知りました。

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商品に値段を貼って陳列。ハンドラベラーの使い方に苦戦する生徒も。

店長によると、若い男性のクルマ離れが進み、品ぞろえは昔に比べて女性向けのカーインテリア関連用品を充実させているのだとか。また、先に買うものを決めて来店されるお客様が多いことから、スーパーのように買い回り品の順序を想定することなく、目的別に売れ筋を考えて陳列しているのだそうです。
生徒たちは商品の場所を探して右往左往していましたが、「あえて失敗させる環境をつくってやりたい。そこから学び取るものだから」と店長。「皆さんを迎えた時、商品の陳列順などは詳しく説明しませんでしたね。ただ、案内板やプライスカードを見て、どこに何があるか確認してください、とサラッと言いました。しっかり聞いていた子は早く動けたはず。人の話を聞く力で差がつくんです」。最後の店長のお話からも、生徒たちは大切なことに気づきました。

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バックヤードから在庫を運んで品出し。商品を丁寧に扱い、お客様の立場になって分かりやすく配置します。

 

“身近な先輩”としての新入社員にもインタビュー

興電舎(電気業) ※敬称略


電気設備の保全設計や保全サービスを柱とする興電舎に向かった生徒たちは、まず「安全教育」を受けました。
職場体験を行う上で安全を確保するための注意事項伝達はもちろん、普段からいかに同社が安全確保に細心の注意を払っているかをレクチャー。生徒たちは「安全は商品」という言葉が特に印象に残ったようでノートに書き留めていました。

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工場内を見学。安全面への配慮や、ものづくりへの情熱を目の当たりにしました。

企業の事前研修の場では、「これまで高校生や専門学校生、大学生の工場見学やインターンシップを受け入れてきましたが、中学生は初めて」と語っていた同社。今回の体験プログラムでは、工場見学や配線実習などに加え、中学生にとってより身近な存在である新入社員や若手社員との座談会を設けたことが大きな特徴です。
新入社員の中には北方学園の卒業生もおり、共通の話題を投げかけると生徒たちも緊張がほぐれて和やかなムードに。「仕事の幅が広い」「社員みんなが温かい」といった会社の魅力を次々に引き出すことができました。また「生活に欠かせない電気を供給している」「地域の人々の暮らしに貢献できる」といったやりがいもリアルボイスとして聞き、将来進みたい道を考えるうえで大きなヒントを得たようです。

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「どうして興電舎に入ったのですか?」「学生時代と違うことは何ですか?」など、
座談会では質問に対する先輩の率直な思いが聞けました。

 

ホテルならではの上質かつ多彩なサービスを実践

エンシティホテル延岡※敬称略(ホテル業)
 

宿泊はもちろん、宴会やウェディングまで行い、上質なサービスが求められるホテル業界。エンシティホテル延岡に向かった班は、ホテルならではの多彩な業務を体験しました。

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レストランでは、バイキングに使われる食材への工夫や注意点などを熱心にメモ。

レストラン業務体験では、バイキングメニューを朝と昼で変えていることや、年齢別に料金が設定されていることを知り、ホテルならではのきめ細かなサービスを実感。
フロント業務体験ではお客様からの電話を想定し、実際に受話器を持ちながら受け答えを練習しました。初めは照れがあった生徒も、「挨拶は基本」「いつも笑顔で」と指導を受けるうちにスムーズに言えるように。お客様の名前を覚えることで、より喜ばれることも聞き、付加価値のあるサービスの大切さを学びました。他にも客室のベッドメイク、結婚式場の設営や宴会場の片付けなどを手伝い、「結婚式もパーティーも宿泊も全部行えるのがすごい」「いろんな人に合った部屋が用意されている」と、同ホテルの良さをいくつも発見できました。

ホテル側も「今回は事前研修を通じて私たちも学ぶことが多く、職場体験とはどうあるべきかを見つめ直すことができました。その体験からどういう力がつくのか、そういったことまで意識して実施できたと思います」と語ってくださいました。

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プロからコツを教わりつつ、協力しあってベッドメイキング。「全部の部屋でこれをやるのか」と生徒たちは感嘆。

 

入居者の状況に合わせて自ら考え、行動する力を養う

大瀬別荘グループホーム(福祉業) ※敬称略
 

大瀬別荘グループホームには、認知症をもつ高齢者の方が入居。入浴、排せつ、食事などの介助を受けながらともに生活されています。普段、認知症の方と接することのない生徒たちは初め不安げな表情でしたが、家庭的な雰囲気と職員の方々の明るい対応に、すぐに笑顔が見られるようになりました。

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調理の盛り付けをお手伝い。心を込めて作られた料理を、食欲をそそるように美しく均等に盛り付けます。

「ここでの毎日は、細かく時間が区切られていません。目の前におられる入居者さんに合わせて仕事をしています」と施設長。生徒たちはその時々に応じて一緒にかるたを楽しんだり、施設内の飾りつけを作ったり。自立度の高い入居者の方とは会話する姿も見られました。職員の方々が互いに声をかけ合い、臨機応変に対応する連携体制も強く印象に残ったようです。

1日目の終わりには、次の日に自分がしたいことを考える時間が設けられ、2日目にそれを実践する時間が与えられました。「自分で考えて行動する力」は、まさに今後の社会で子どもたちに求められるもの。「1日目はとにかく慣れてもらい、高齢者、認知症について知ってもらう。2日目に少し主体的に動く時間を作って、あの時は楽しかったなと。そういうポジティブな思いが、将来の職業選択につながり、業界の人手不足解消につながれば」と、施設長が思いを語ってくださいました。

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入居者の方と一緒に、イベントの飾りつけを製作。手を動かしながら地域や学校生活について話をしました。
 

様々な職場体験プログラムをご紹介しました。是非ご参考にしていただければと思います。



「カンコーは、子どもたちの夢と学びを応援しています」

※本稿は、(一社)カンコー教育ソリューション研究協議会からの業務委託により、菅公学生服株式会社がお届けする学校現場のお悩み解決を目的とした教育関係者様向け情報誌 『カンコータイムズ』 を基に加筆した記事です。