2019.10.10 カンコーエールプロジェクト 優勝インタビュー|第19回全国高校ファッションデザイン選手権(ファッション甲子園)
第19回全国高校ファッションデザイン選手権(以下、ファッション甲子園)で見事優勝された、岡山県立岡山南高等学校服飾デザイン科3年生、デザイン担当の守本紗菜さんとモデル担当の藤田萌子さん、担任の中村先生にインタビューを行いました。
ファッション甲子園は、青森県の弘前商工会議所などが主催で開催している若者の人材育成等を目的としたファッションデザインコンテストです。今年は39都道府県の123校1,633チームから2,771点のデザイン画の応募がありました。
2019年8月25日、最終選考に残った35点のデザイン画を学生たちが衣装に仕上げて、青森県弘前市の市民会館にてファッションショー形式の最終審査会が行われました。
頂点に輝いたのが、岡山県立岡山南高等学校 作品名「UNIT」です。
みんなで動く力
左:藤田さん 右:守本さん
―優勝おめでとうございます。率直な感想を教えてください。
藤田さん:守本さんのデザイン画が選考を通って、そのデザインの衣装を完成させるにあたって、服飾デザイン科の1~3年生に全面的にサポートしてもらいました。
1ヶ月少しという短い期間での制作だったので苦戦することもたくさんありました。でもみんなの協力があったお陰でいい方向に進んだので、優勝という素晴らしい賞をもらうことができてすごくうれしかったです。
守本さん:多くの人に関わってもらってできた作品なので、その分プレッシャーもありましたが、優勝という一番いい賞を持って帰ることができて本当にみんなに感謝していますし、自分も嬉しかったです。
-自信はありましたか?
守本さん:他と比べてどうというのはありませんが、自分が思っていた以上に完成度が高くできたので、自分の中でのこの衣装に対しての自信はありました。
中村先生:「どんな賞になっても悔いはない、思い残すことはない」と言ってたよね。
―作品はどのような発想から生まれたのですか?
守本さん:ファッション甲子園というコンテストがあることを知ったとき、「どういうデザインにするか」を決める前に「立体の三角形を作りたい」という思いがありました。素材が先にあって、そこからデザインに変えて全体の衣装にしていった形です。
-なぜ三角形を?
守本さん:立体感を出した作品が作りたかったんです。布って平面じゃないですか。で、その布という平面で立体を作るのではなく、布自体に立体感を出しました。陰影ができるので光が当たったときにも綺麗なんです。舞台に上がったときの照明のことなども考えて立体的な作品を作りたいと思いました。
―作品で気に入っているポイントは何ですか?
守本さん:一番綺麗にできた袖です。黒い生地への白い糸の刺繍も、三角の折り紙を縫いつけるのもすべて手縫いでやっているのですが、袖がデザイン的にも一番綺麗にできたんです。ちょっと気持ち悪い感じだけど(笑)
―三角の立体は全部でどれくらいあるのですか?
守本さん:折り紙は全部で2,400枚くらい使いました。一つの三角が3枚の折り紙からできているので、三角が800くらいかな。それを一つ一つ縫い留めています。
間近で見ると確かに折り紙!
中村先生:最初は、今黒地が見えている部分にも三角の立体をつけようとしたけど、ごちゃごちゃしてバランスが悪いし、しなやかさもなくなるね、ということでこの形になったんだよね。
―800個!とても大変な作業だったのでしょうね。
守本さん:はい、手縫いが多かったので大変でした。それと、三角を縫いつけるにはまず全部場所を決めないといけないので、測ってすべてマスも書いたりして、手作業がとても多かったです。
―ファッションショーのモデル選定はどのように行われましたか?
守本さん:最初から藤田さんに決めていました。前にもコンテストでモデルをやってもらったことがあって、今回この衣装を考えたときにも、藤田さんが一番似合うかなあと。
―ポージングなどはどのように決めたのですか?
藤田さん:実は衣装が完成した後に考えました。本番4日前くらい。ポージングを4回くらいとる場面があったんですけど、ポーズの本とかを見ながら、背中の部分を綺麗に見せるポーズとか袖を見せるポーズとか、一箇所一箇所、綺麗に見せられるように決めていきました。
-登場時の黒いマスク、インパクトがありましたがコンセプトは何ですか?
守本さん:黒子的な感じで発想しました。この作品は立体とかたくさんのものから出来ているのですが、その色々なものを背負って一つの個体になっているイメージです。
―黒いマスクをお願いされた時抵抗はありませんでしたか?(笑)
藤田さん:ないです、逆に「楽しみ」って感じでした。目出し帽なんかめったに被る機会ないじゃないですか(笑)
―ファッション甲子園に参加してみてよかったこと、楽しかったことを教えてください。
守本さん:先程「手縫いが大変だった」という話が出ましたが、私は細かい作業は好きなんです。時間に追われていたので大変だったけど、作業自体はすごく楽しかった!
藤田さん:衣装を制作する時間が短かったこともあって、土日も使って結構ハードスケジュールだったし、私は手先が器用じゃないから細かい作業は苦手なんですけど、作っている間完成形がすごく楽しみでした。休日だし難しい作業だったけど苦ではなかった。守本さんがモデルに選んでくれて、一緒にファッション甲子園に参加させてもらえて、全部の作業を通して「楽しい!」って思えていました。
―優勝後、周りの方の反応はいかがでしたか?
守本さん:そうですね、自分達より盛り上がっていたかも。
中村先生:リアルタイムで動画配信されているのをみんな観てくれていましたね。
藤田さん:私の地元の子たちも知っていて、携帯開いたら履歴がバーッと並んでいました!
―皆さん仲が良さそうですね。岡山南高校の服飾デザイン科でよかったと思うことはありますか?
藤田さん:今のクラスメイトに出会えたことが一番よかったことです。服飾デザイン科は1クラスだからクラス替えもないし、3年間一緒だからこそ協力的なところやお互いの信頼とかを築き上げられたと思います。人に助けてもらったり協力し合ったりしないと一人じゃ何もできない。一人で突っ走るんじゃなくて、みんなで協力し合ってやっていくのが大切なのだとすごく学べたと思います。
守本さん:私はファッションデザイナーを目指しているからこそ、今の授業や、2年生のときのMPS※のような企業の方との取り組みとかも将来に生かすことができると思っています。クラスのみんなのデザインもすごいので高め合えるし、デザイン面だけじゃなく、信頼感や友情、協力して高め合う力なども3年間で学べたと思います。今回は色んな人に手伝ってもらった側でしたが、皆で動く力もMPSから繋げられたと思います。
※MPS(MINAMI PRACTICAL SCIENCE PROJECT):岡山南高校と菅公学生服が取り組んでいる産学連携実学体験プロジェクト。
―先生から見たお二人は?
中村先生:守本さんは常にデザインが頭の中にあって、色んな風景を見たりしても頭の中で「これは使えるな」とか考えていて、すごい感性を持っている子と1年生の時から思っていました。きっと何かやってくれるだろうなと。今回は、デザイン画を書くまでも大変だったと思いますが、日々考えていることが今回のようないいデザインになって、デザイン画を見たときには「私も一緒に作ってみたい!」と思いました。これからも楽しみにしています。
藤田さんは何でも積極的にやってくれるんですけど、モデルも素質がありますよね。今回はマスクを被って登場して途中で脱ぐというのをうまく演じてくれました。全然練習していなかった状態で、急遽マスクを外そうとなった中、すごく上手に演じてくれて、素晴らしいパフォーマンスでした。明るくて素直で、本当にかわいい生徒達です♪
―将来の夢を教えてください。
藤田さん:私は服飾の道ではなく、公務員を志望しています。
守本さん:私はファッションデザイナーです。今回のファッション甲子園以外にもいろいろなコンテストに応募して、他の人の作品を見るなど勉強をしています。学校では絵を描いたりする授業がありますが、それ以外にも家で描いたり、とにかく自分から行動するようにはしています。
未来に、エールを。
「未来の自分へ」メッセージを書いてもらいました。
楽しく
守本 紗菜さん「未来の自分へ」
毎日笑顔と元気を忘れずに!!
藤田 萌子さん「未来の自分へ」
感性豊かに
中村 佳子先生「未来の自分へ」
まとめ
インタビューの最後、守本さんに好きなデザイナーをお聞きすると、「アレッサンドロ・ミケーレ」とのこと。
ファッションに疎い私たちが見ても「これはすごい」と迫ってくる何かを感じられる作品、パフォーマンスでした。そしてそれらは、素晴らしい発想と、仲間の協力の中から生み出されたものなのだと知ることができました。
彼女たちの今後ますますの活躍が楽しみですし、心から応援したいと思います。
これからも学生と学生生活を支えるすべての人に寄り添い、カンコー学生服はエールを送り続けます。
カンコー学生服は、スポーツ大会や文化活動の主催・協賛といった支援活動を通じて、未来につながる学生たちの“いま”をサポートしています。
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