2025.11.25 カンコーホームルーム 【Vol.238】学校教育現場の課題

学校は、子どもたちの未来を育むための学びの場です。現代の学校教育現場では、社会環境の急激な変化に伴い、知識や技能に加えて、社会性や心身の発達を促す総合的な教育活動を担う「教師」の役割が、以前にも増して重要になっています。では、学校教育現場の課題について、教員自身はどのように感じているのでしょうか?今回は、全国の中学・高校の教員1,400人を対象に、教師の仕事へのやりがいと大変さ、教師の仕事の負担や困り事の内容、学校教育現場の課題について調査しました。
調査概要
- 調査対象:全国の中学・高校の教員 1,400人
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 実施時期:2025年7月
1.教師の仕事へのやりがいと大変さ
教師という仕事へのやりがいについては、「とても感じている」(全体38.2%、中学校39.7%、高校36.9%)と「やや感じている」(全体44.3%、中学校44.1%、高校44.4%)をあわせると、中学・高校の教員の8割以上が、教師という仕事にやりがいを感じていると回答していました。一方、仕事を大変だと感じる頻度については、「よくある」(全体63.4%、中学校67.8%、高校59.6%)という結果で、中学校では7割近くにのぼりました。さらに「たまにある」(全体32.4%、中学校28.9%、高校35.5%)という回答をあわせると、中学・高校の教員ともに、教師の仕事を大変だと感じている割合は9割を超えていました。

【図1】 現在、あなたは教師という仕事に、やりがいを感じていますか。
また、教師という仕事について、大変だと感じることはありますか。(単数回答)
2.教師の仕事の負担や困り事の内容
中学・高校の教員が困っていることや負担に感じている点としては、「業務量が多い・多忙」(全体60.3%、中学校65.5%、高校55.7%)が最も多くあげられました。次いで、「保護者・PTAの対応」(全体52.5%、中学校59.7%、高校46.2%)、「生徒間のトラブル・いじめ」(全体44.6%、中学校51.0%、高校39.0%)、「生徒の生活指導」(全体36.1%、中学校37.8%、高校34.5%)、「部活動・クラブ活動の顧問」(全体35.6%、中学校40.9%、高校31.1%)、「事務・報告書作成」(全体33.7%、中学校36.9%、高校30.9%)など、多岐にわたっていることがうかがえます。

【図2】 あなた自身が教師という仕事をする上で、
困っていることや負担に感じていることは、どのようなことですか。(複数回答)
3.学校教育現場の課題
中学・高校の教員が考える学校教育の課題としては、「教員の長時間労働と多忙化」(全体61.1%、中学校63.6%、高校58.9%)が最も多くあげられました。続いて、「不登校生徒の増加」(全体48.0%、中学校55.6%、高校41.4%)、「保護者からの過剰な苦情」(全体47.9%、中学校53.1%、高校43.2%)、「教員のメンタルヘルス問題」(全体43.3%、中学校43.2%、高校43.4%)、「学習意欲・学力の低下」(全体41.9%、中学校41.3%、高校42.4%)、「発達障害や特別な教育的ニーズを持つ生徒への専門的支援」(全体38.4%、中学校45.0%、高校32.7%)といった課題があげられました。また、「部活動の地域移行」(全体23.1%、中学校32.5%、高校15.0%)については、中学校での割合が多く、3割を超えていました。

【図3】 あなたが思う学校教育現場の課題は、どのようなことですか。(複数回答)
学校教育を取り巻く環境が大きく変化する中、教員の働き方改革が進められています。しかし現状では、日々の授業準備・実施、学校行事の企画・運営、生徒指導、部活動の顧問、保護者対応、書類作成など、教員の長時間労働と多忙化は依然として深刻であり、学校現場は複合的な課題に直面している状況にあります。
今回、全国の中学・高校の教員1,400人を対象に、教師の仕事へのやりがいと大変さについて調査したところ、仕事へのやりがいは「とても感じている」と「やや感じている」を合わせると、8割以上の教員がやりがいを感じていると回答していました。一方で、教師という仕事を大変だと感じる割合は、「よくある」と「たまにある」をあわせると9割を超えおり、教師という仕事に強いやりがいを感じながらも、負担の大きさが浮き彫りとなりました。
中学・高校の教員が困難や負担を感じている内容としては、「業務量が多い・多忙」(全体60.3%、中学校65.5%、高校55.7%)、「保護者・PTAの対応」(全体52.5%、中学校59.7%、高校46.2%)、「生徒間のトラブル・いじめ」(全体44.6%、中学校51.0%、高校39.0%)が多くあげられました。そのほかにも、「生徒の生活指導」「部活動・クラブ活動の顧問」「事務・報告書作成」など、授業以外の業務が多岐にわたっていることが示されました。また、教員自身が考える学校教育現場の課題は、「教員の長時間労働と多忙化」(全体61.1%、中学校63.6%、高校58.9%)、「不登校生徒の増加」(全体48.0%、中学校55.6%、高校41.4%)、「保護者からの過剰な苦情」(全体47.9%、中学校53.1%、高校43.2%)が上位にあげられていました。さらに、「教員のメンタルヘルス問題」や、生徒の「学習意欲・学力の低下」、「発達障害や特別な教育的ニーズを持つ生徒への専門的支援」なども重要な課題として認識されていました。
教員の多くが強いやりがいを感じている一方で、業務量の多さや保護者対応、生徒指導など多岐にわたる負担により、教員の9割以上が仕事の大変さを実感していました。長時間労働や多忙化は依然として深刻であり、教員が教育活動に専念できる環境整備は急務です。持続可能な学校教育を実現するためにも、教員の働き方改革のさらなる推進が求められています。
【Vol.238】学校教育現場の課題
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