2015.05.20 人づくり・現場指導 励まし、社会で生きる力を育てる(公益財団法人 全国高等学校体育連盟会長 小野 力 氏)

kt001_profile_ono.jpgおの・つとむ
(公財)全国高等学校体育連盟 会長

昭和30年9月神奈川県生まれ。日本大学文理学部体育学科卒業後、神奈川県立大船高等学校教諭、神奈川県教育委員会スポーツ課主幹、神奈川県立永谷高等学校校長、神奈川県教育局教育指導部保健体育課課長などを歴任。現在、神奈川県立横浜平沼高等学校校長。

自主性を発揮できる指導を

高校生の部活離れが問題視されていますが、高校の体育系部活動の加入率は、20年前の33%に比べ、近年は38%と増加傾向にあります。最近は、団体競技に比べると、バドミントン、弓道、テニスなどの個人競技がやや人気ですね。

部活動における教育の大きな目的はやはり人間形成。なにかに打ち込んでいく集中力、目的に向かう意欲、仲間との連帯感など、部活を通じて学び養われたものは、社会に出ても大いに役立つものと感じています。

高校の体育会系というと、一般に厳しい、つらいというイメージがありますが、指導スタイルは以前とは様変わりし、今は一方的なスパルタ指導の時代ではなくなっています。生徒の自主性を尊重し、自分で考えさせて任せる。グラウンドやコートの中で、いかにその子らしいパフォーマンスが発揮できるか、指導者は、普段の練習で一人ひとりの性格や動き方をよく観察し、自分で判断できるよう導いてやることが大切です。

最近では、顧問一人の力に頼るのではなく、さまざまな分野の専門家とコンソーシアムを形成し、高校生アスリートを育てる動きも出始めています。開かれた部活運営を心がけ、他校の顧問や競技団体の関係者、保護者とも積極的に交流してほしいと思いますね。

スポーツマインドを育てる

とりわけ先生方に心がけてほしいのは、コミュニケーションづくり。中でも普段の声かけです。LINEやメールで友人と会話する今のネット世代の生徒たちを見ていると、フェース・ツー・フェースのコミュニケーションがどんどん希薄になっていると感じます。顔を合わせた時に「調子上がってるなあ」とか「持久力に自信を持っていいぞ」「スプリント能力が高いな」とかなんでもいい。なにかいいところをみつけて励ましてやってほしい。自尊感情を育てる上でも大切だと思いますね。

スポーツは、試合に「勝つ」ことだけが目的ではありません。もちろん明確な目標があると、生徒たちはそこに向かって頑張ります。けれど、指導に熱が入りすぎるあまり、生徒がそこで燃え尽きてしまっては元も子もない。本来のスポーツの意義である「楽しさ」や「充実感」を高校時代に存分に分かち合い、卒業して社会人になってもスポーツを続けられるよう、生涯スポーツの素晴らしさやマインドの部分をぜひ伝えてほしいと思います。

実際、スポーツを通じた仲間との出会いは人生をより豊かにしてくれますし、自分の健康や体調の維持管理にも運動やスポーツは欠かせません。一人でも多くのスポーツ好きな青少年を育ててほしいと思いますね。