2018.11.07 保護者向けコラム 50年前の学ランを発見!!制服開発のプロが徹底調査

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この写真、どこにでもありそうな普通の学ラン(詰衿学生服)ですよね。
でも実は、特別な詰衿なんです。

特別な理由。それは・・・50年も前の詰衿なのです。

ある日、歴史物の整理をしている中で(今年はカンコーにとって節目の年で倉庫の整理整頓を行っていました)、この詰衿がパッケージもタグも完璧な状態で見つかったのです!!

カンコー学生服の豆知識

・1854年(安政元年)創業の菅公学生服株式会社は、今年で165周年
・学生服の製造は1923年(大正12年)から行っている
・「菅公(カンコー)学生服」ブランドは、今年で90周年

それにしても半世紀も前の商品には見えないような・・・?
今の詰衿と昔の詰衿では何が違うのでしょうか?現在の開発担当者とともに、細部に渡り調査しました!

画期的な商品だった「カンコースプリンター学生服」

この半世紀前の詰衿は、「カンコースプリンター学生服」という商品で、1969年(昭和44年)に発売を開始しました。
当時としては素材、シルエット、機能性、パッケージすべてが画期的な学生服とされ、この商品の大ヒットにより当社は学生服業界ナンバーワンのシェアを築いたそうです。

商品とともに販売キャンペーンも画期的で、学生服業界としては初めてイメージ・キャラクターとしてアイドルを採用しました。初代はフォーリーブス、その後も桜田淳子さん、香坂みゆきさんなど、学生服のCM=アイドルの原型を作ったと言えます。

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そしてこの白いパッケージ、東京オリンピックの男子100m走で金メダルを獲得したボブ・ヘイズ選手や、人類史上初の月面着陸に成功したアポロ11号など、当時の世相をふんだんにデザインへ取り入れています。大変な人気で、学生以外からも「入れ物だけ売って欲しい」との要望があったそうです。

あれから半世紀。詰衿の今とは…?

あれから半世紀。カンコー学生服は現在も詰衿を製造し、そして商品改良、新商品の開発も続けています。過去の詰衿と比べて一体どんな変化を遂げているのか。現在の開発担当者に聞いてみました!

今回直撃するのは、開発担当『学生工学研究所』所属のこの2人です!

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開発歴8年目  平井 友和 

一言:何事も「本気」であることが大事 

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開発歴2年目 田代 祐希

一言:カンコーフィールエアが大好きです♡

Q.半世紀前の「カンコースプリンター学生服」を見ての感想は?

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平井:詰衿の開発に携わって8年目ですが、これは初めて見ました。噂というか話で聞いていただけだったので「遺跡が発掘された!」という感じ。でも、50年も前の商品と考えるとすごいです。ベースは今のままだと感じました。シルエットもきれいで、ウエストあたりもすっきりしていますよね。

田代:僕も初めて見ました。第一印象は「カラー(衿)でかっ!」。パッケージもこだわって作っていて、買ってもらうための重要なポイントの1つだったのだなと感じます。

Q.新旧詰衿を比べると、どのあたりが変化している?

平井:まず着心地が違います。今の詰衿は重さが以前の8割くらいになっていて軽いし、ストレッチが効いていて、着ていてもすごく楽です。

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旧商品着用中。
田代:うーん、少し動きづらい。

田代:カラー(衿)の高さが今より1センチほど高く、プラスチックのカラーを付けるタイプなので首元はかなり苦しかったのでは?今はラウンドトリムカラーという白いパイピングを縫い込んだタイプが主流なので、首回りは楽だし、「カラーが冷たい・固い」というのはほとんどないです。

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ラウンドトリムカラー(白パイピング縫込みタイプ)

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レギュラーカラー(カラー取り替えタイプ)

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平井:袖を見ると旧商品は『本開き』というボタンで袖を止めたり外したりできる仕様ですね。今の商品は『開き見せ』という袖の開け閉めはできず、飾りボタンだけが縫い付けられたものになっています。
これは簡素化したわけではなく、『ジェミニスリーブ』という、袖を3センチ伸ばせる機能がついているからです。本開きだと袖を伸ばす機能は付けられませんから。昔は成長対応機能がないから、かなり大きいサイズを購入していたのかもしれませんね。

田代:あとボタンが昔は全部手縫いのようです。今は裏に『チェンジボタン』がついているので簡単にワンタッチでボタンを付けたり外したりできるようになっています。

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平井:雨蓋(ポケットの蓋)のありなし、着丈の長さも大きく違いますね。それは「標準型学生服認定基準」が制定されたことが大きいと思います。
70~80年代、長ランとかボンタンとか変形学生服が問題になったため、例えば衿の高さやボタンの数、一番下のボタンから裾までの長さなど、基準が設けられました。そして基準を満たした詰衿には「標準マーク」が付けられるようになりました。
スプリンターは標準マーク制定前の商品なので、その辺りで色々違いますよね。現在は制定された「標準マーク」の範囲内で様々な工夫をしています。

Q.現在はどんな詰衿がありますか?

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平井:例えば着心地を徹底的に追求した商品があります。
着心地を左右する「軽さ」「ストレッチ」「パターン」「すべり」のすべてにこだわり、強さと軽さを両立するためのバランスを究極まで考えた素材を使っている「カンコーフィールエア」です。
学生って、机に向かうなど前傾姿勢が多いので、背中に圧がかかりにくいよう前身より背中の生地の量を多めにとっていたり、袖も前傾姿勢が楽にとれる付け方をしていたりします。楽だけどシワが入らないよう、見た目がキレイな商品づくりのため、工場と何度も話し合って開発しました。聞いただけ、見ただけではわからないと思いますが、着てみると圧倒的に軽くて動き易い!ぜひ着てみてもらいたいです。「学生服は少々着心地が悪くても当たり前」と感じているところがあると思うんですが、そんな潜在的な不満を解消していった商品です。

田代:不満解消という意味で、洗濯の不満を解消!簡単に洗えることに特化した商品もあります。「カンコードライウォッシュ」です。
これまでの詰衿は、洗えるけど手洗いや、洗濯機で洗えても『弱水流』とか色々条件があったんです。それを、洗濯機の『標準コース』で洗えるし、家庭用の乾燥機もかけられるようにしました。夜洗ったら朝には乾いて着て行けますよ。
今は仕事をされているお母さんも増えて夜洗濯派が増えていますし。それに、洗濯機も今はドラム式が増えていますよね。従来の縦型は水流で洗いますが、ドラム式洗濯機はドラムの中で「叩いて」汚れと落とすので、衣類はより耐久性が求められます。そんな生活様式や洗濯機、洗剤の変化など、さまざまな時代の変化に対応した商品です。

Q.これから開発してみたい商品や意気込みは?

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田代:僕たちは、常に学生たちの気持ちを意識して商品を開発しようとしています。なので、仕事中も詰衿上下を着ています。やっぱり着てみないとわからない。
将来の学校って教科書とかなくなって、タブレット一つ持って行くようになるんじゃないかな。だからタブレットだけを入れられる詰衿とか作りたいです(笑)
修学旅行で宇宙に行く時代もきそうなので、宇宙服にもなる学生服とかも(笑)

平井:着心地と丈夫さの両立をもっと追究したいですね。あとはスラックスの改良も課題だと思っています。
今回、50年前の詰衿を見て、カンコーの商品はすごくいい商品だと実感しました。大方のベースはできていて、ただ細かいところを見ると色々違う。見えないところでもこだわりの仕様がどんどん進化していると感じているので、小さな積み重ねを少しずつ新しい商品に組み込んで、お客さまにメリットのあるものを届けたいと思います

田代:昔の商品も今の商品もしっかり見て、次は10年、20年後の子どもたちを見据えた商品づくりをしていきたいと思います。

まとめ

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以前から、「見てみたい」と願っていた「カンコースプリンター学生服」。倉庫で見つけたときは、「お宝発見!!!」とうれしくなりました。

新旧の詰衿を並べてみると、本質的なものはそのままに、時代に応じて新たな変化を重ねているカンコーの『不易流行』の精神を感じることができました。これからも時代を積み重ね、50年後の開発担当者から、「昔もすごかったんだなあ」と言われたいと思っています。