2025.07.29 カンコーホームルーム 【Vol.234】学校における熱中症対策

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総務省消防庁が発表している熱中症による救急搬送人員(5月~9月累計)をみると、調査が開始された2008年以降、熱中症の発生は増加の一途をたどっています。特に、2024年は97,578人と過去最多を記録し、熱中症の発生が深刻な社会問題となっています。では、学校における熱中症の発生状況と対策はどのような状況でしょうか?今回は、全国の中学・高校の教員1,400人を対象に、生徒の熱中症の発生状況、熱中症が発生した学校活動、熱中症対策として使用を許可しているアイテムについて調査しました。

調査概要

  • 調査対象:全国の中学・高校の教員 1,400人
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 実施時期:2025年7月

1.生徒の熱中症の発生状況

中学・高校において、夏の暑さが原因で、生徒が授業中や登下校中に体調不良になったことの有無は、「ある」(全体61.1%、中学校64.6%、高校58.0%)という回答が約6割となり、中学校では高校に比べて熱中症になる生徒が多くみられました。

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【図1】 近年の夏の暑さが原因で、
生徒が授業中や登下校中に体調不良になったことはありますか。(単数回答)

2.熱中症が発生した学校活動

生徒が夏の暑さが原因で体調不良になった学校活動は、「屋外での体育授業」(全体60.6%、中学校68.7%、高校52.7%)、「屋外での部活動・クラブ」(全体53.6%、中学校59.5%、高校47.8%)といった屋外活動での発生が最も多く、続いて、「体育館での体育授業」(全体47.0%、中学校50.0%、高校44.1%)、「屋内での部活動・クラブ」(全体36.5%、中学校40.5%、高校32.6%)などの屋内活動があげられ、体育・スポーツ時に熱中症が発生する傾向がみられました。また、「登校」(全体36.1%、中学校34.1%、高校38.1%)、「下校」(全体20.4%、中学校19.9%、高校20.8%)などの通学時にも熱中症が発生していました。

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【図2】 生徒が授業中や登下校中に、
夏の暑さが原因で体調不良になったのはどのような学校活動のときですか。(複数回答)

3.熱中症対策として使用を許可しているアイテム

熱中症対策として、学校で通学・授業のときに使用を許可しているものは、「帽子」(全体42.0%、中学校56.4%、高校29.5%)、「日傘」(全体39.4%、中学校44.6%、高校34.9%)などの強い直射日光を遮るアイテムや、「制服の代替えとして、体操服のハーフパンツ」(全体39.1%、中学校55.1%、高校25.2%)、「制服の代替として、体操服の半袖シャツ」(全体36.1%、中学校52.5%、高校21.7%)など体操服の着用を許可しているケースが中学校で半数以上ありました。一方、高校では「ハンディ扇風機」(全体30.1%、中学校12.6%、高校45.4%)が中学校に比べて多く使用が許可されていました。

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【図3】 熱中症対策として、学校で通学・授業のときに使用を許可しているものはありますか。(複数回答)

近年、日本の夏の気温は年々上昇傾向にあり、熱中症のリスクが高まっています。熱中症は、高温多湿な環境下で体調が悪化する状態の総称で、めまい、立ちくらみ、大量の発汗、筋肉のこむら返り、吐き気、高体温、意識障害や痙攣などの症状が現れ、重症化すると命に関わることもあります。
今回、全国の中学・高校の教員1,400人を対象に、学校における生徒の熱中症の発生状況と対策について調査したところ、夏の暑さが原因で、生徒が授業中や登下校中に体調不良になったことの有無は、「ある」(全体61.1%、中学校64.6%、高校58.0%)という回答が約6割でした。熱中症が発生した学校活動の内容は、「屋外での体育授業」、「屋外での部活動・クラブ」といった屋外の活動がもっとも多く、次いで、「体育館での体育授業」、「屋内での部活動・クラブ」などが多くなっており、屋内においても熱中症が発生しています。また、「登校」(全体36.1%、中学校34.1%、高校38.1%)、「下校」(全体20.4%、中学校19.9%、高校20.8%)などでも熱中症が発生しています。熱中症は、屋外での体育やスポーツ時に発生すると思われがちですが、屋内や生徒の登下校時など様々な場面で発生していることがうかがえます。学校が熱中症対策として、生徒に通学・授業のときに使用を許可しているものは、「帽子」(全体42.0%、中学校56.4%、高校29.5%)、「日傘」(全体39.4%、中学校44.6%、高校34.9%)、「制服の代替えとして、体操服のハーフパンツ」(全体39.1%、中学校55.1%、高校25.2%)、「制服の代替として、体操服の半袖シャツ」(全体36.1%、中学校52.5%、高校21.7%)などの使用があげられました。熱中症の対策としては、暑さ指数(WBGT)を基準とする環境面だけでなく、生徒自身が身に付けるアイテムなども有効のようです。
熱中症は地球温暖化の進行とともに、地域や気候条件に関わらず世界中で深刻な健康問題として認識されています。熱中症の発生が社会問題となる中、学校では環境省・文部科学省の「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」やスポーツ庁が策定しているガイドラインに基づき、安全な教育環境を確保するため、対策強化が求められています。

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