2023.04.25 カンコーホームルーム 【Vol.207】 中高生の「LGBTQ」理解

fig_207_illust.jpg

近年、LGBTQ(※)の生徒への配慮や、生徒の多様性・個性を尊重するという意識が高まり、女子スラックスの採用、ジェンダーレス制服として男女兼用のブレザーの採用が急速に進んでいます。このように性別に関係なく着ることのできる制服を導入する学校が増えている中、生徒自身の「LGBTQ」への理解や関わりはどのような状態なのでしょうか?今回は、全国の中学・高校生1,400人を対象に、「LGBTQ」という言葉の認知度や「LGBTQ」の生徒の存在、「LGBTQ」の友人から、カミングアウト・相談を受けた経験の有無について調査しました。

※「LGBTQ」とは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)、クエスチョニング(Q)の性的少数派の中で代表的な5つの頭文字を取った総称です。

調査概要

  • 調査対象:全国の中学・高校生 1,400人
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 実施時期:2023年2月

1.「LGBTQ」という言葉の認知度

中学・高校生の「LGBTQ」という言葉の認識は、「知っている」(全体72.0%、中学生58.1%、高校生76.1%)という状況で、高校生は中学生に比べて知っているという回答が20ポイント近く高いという結果でした。さらに、高校生は「知っている」(76.1%)と「聞いたことはあるが、内容は知らない」(9.8%)をあわせると8割以上が「LGBTQ」という言葉を知っていると回答しています。一方、中学生は「全く知らない」(29.1%)が約3割であり、「LGBTQ」という言葉の認識は中学生と高校生で差があります。

fig_207_01.jpg

【図1】 あなたは、「LGBTQ」という言葉を知っていますか。(単数回答)

2.「LGBTQ」の生徒の存在

「LGBTQ」の生徒の存在については、自身が通う学校に「LGBTQ」の生徒は「いる」(全体24.6%、中学生23.4%、高校生24.9%)という状況で、4人に1人の生徒が「LGBTQ」の生徒の存在を認識していると回答しています。しかし、「わからない」(全体60.6%、中学生60.9%、高校生60.5%)という回答は約6割を占め、中学・高校生ともに「LGBTQ」の生徒の存在は認識していないという状況のようです。

fig_207_02.jpg

【図2】 あなたが通う学校には、「LGBTQ」の生徒はいますか。(単数回答)

3.「LGBTQ」の友人から、カミングアウト・相談を受けた経験の有無

自身が通う学校で「LGBTQ」生徒の存在を認識していると回答した中学・高校生が、「LGBTQ」の友人からのカミングアウトや相談を受けた経験については、「ある」(全体38.1%、中学生40.0%、高校生37.5%)という回答が約4割で、中学・高校生による差はほとんどない状況でした。回答生徒の性別でみると、女性は「ある」(44.1%)、男性は「ある」(29.3%)という結果で、女性は男性に比べて「LGBTQ」の友人から、カミングアウトや相談を受けた経験が多いようです。

fig_205_03.jpg

【図3】 あなたは、「LGBTQ」の友人から、カミングアウトや相談を受けたことはありますか。(単数回答)

文部科学省の「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等について」の通知から数年が経ち、学校では服装や髪型規定の改定、トイレ・更衣室などの配慮に加えて、教職員研修や、生徒・保護者を対象にした有識者による講演会やワークショップの実施など、LGBTQの理解を深めるための取り組みが行われています。
今回、全国の中学・高校生1,400人を対象に、「LGBTQ」という言葉の認知度を調べたところ、中学・高校生の「LGBTQ」という言葉の認識は、「知っている」(全体72.0%、中学生58.1%、高校生76.1%)という状況で、高校生は中学生に比べて言葉を知っているという回答が多いという結果でした。自身が通う学校での「LGBTQ」の生徒の存在については、中学・高校生ともに、4人に1人の生徒が「LGBTQ」の生徒の存在を認識していると回答しています。さらに、「LGBTQ」の友人からのカミングアウトや相談を受けた経験については、「ある」(全体38.1%、中学生40.0%、高校生37.5%) という回答が約4割で、中学・高校生での差はほとんどない状況でした。学校生活において、生徒自身がLGBTQであることをカミングアウトや相談をするのは未だ難しい状況のようです。
ダイバーシティ&インクルージョンの考えのもと、性別、年齢、国籍、人種、体型、宗教、価値観、障がいの有無など、多様性を尊重し、すべての子どもの個々の違いを包含する社会づくりが進んでいます。多感な時期の子どもたちが、自分らしく学校生活を送ることのできる環境づくりが求められています。

pdf_b.png 当サイトのPDFをご覧にいただくには、最新のAdobe Readerが必要です。こちらのバナーよりご用意ください。

fig_221_illust.jpg

【Vol.221】小学校の制服の有無

2024.06.25 カンコーホームルーム 文部科学省の「令和5年度学校基本調査(確定値)」によると、小学校は全国に18,980校(私立244校、公立18,669校、国立67校)があります。そのうち制服を採用している小学校は私立校が多い印象から、全国的に制服のある小学校は少ないと思われているようです。では、小学校の制服(標準服を含む)の着用率はどのような状況でしょうか?今回は、全国の中学1年生の保護者を対象に、お子様の通っていた小学校での制服の有無、地域別の状況、小学校の制服の必要有無の理由について調査しました。

fig_220_illust.jpg

【Vol.220】新入学時の制服購入状況

2024.05.28 カンコーホームルーム 最高気温が20℃を超える日が続くと、制服も冬服から夏服へ衣替えの季節になります。新入学生には、衣替えのときに初めて制服(上着)を洗濯するという家庭もあり、そのときに、「制服って、洗濯機で洗っても大丈夫なの?」「失敗したらどうしよう・・・」という不安の声が聞かれます。では、2024年4月に中学校・高校の入学者が購入した制服は、家庭洗濯できる制服なのでしょうか?今回は、購入した制服(上着)の家庭洗濯可否、制服(上着)の家庭洗濯の不安内容、制服購入時に重視することについて調査しました。

  • fig_219_illust.jpg

    【Vol.219】高校生が思う体操服に必要なこと

    2024.04.30 カンコーホームルーム 体操服は、体育の授業で着用するためのスポーツウェアとして全国の小中高校で採用されています。そして、体育の授業以外にも、部活動や課外学習・遠足、地域によっては登下校や校内着として、体操服を着る場面もあるようです。では、高校生が思う体操服に必要なことはどのようなことでしょうか?今回は、全国の高校生を対象に、体操服を着るシーン、体操服を着ていて気になること、体操服で重視することを調査しました。
  • fig_218_illust.jpg

    【Vol.218】高校生の自転車通学時のヘルメット着用状況

    2024.03.26 カンコーホームルーム 改正道路交通法の施行により、2023年4月1日から年齢にかかわらず自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されました。努力義務とは、「ヘルメット着用に努めなければならない」というものであって義務ではないため、ヘルメットを着用しなくても違反に対する罰則は定められてはいません。では、高校生の自転車通学時のヘルメット着用はどのような状況なのでしょうか?今回は、全国の高校生を対象に、自転車乗車時のヘルメット着用の努力義務化の認知状況、ヘルメット着用の有無、ヘルメット着用時に気にすることを調査しました。
  • fig_217_illust.jpg

    【Vol.217】卒業後の制服とエコ意識

    2024.02.27 カンコーホームルーム 卒業式が終わると、卒業生は制服を着ることがなくなります。制服は学生生活の長い時間を共に過ごした思い出が詰まった服なので、着る機会がなくなっても手放すことを躊躇する人も少なくないようです。では、卒業後の着なくなった制服はどのようにしているのでしょうか?今回は、全国の高校生を対象に、中学校で着用していた制服タイプ、卒業後の制服、制服を通じたエコ意識について調査しました。