2021.02.23 カンコーホームルーム 【Vol.181】「LGBTQ」の生徒への服装の配慮
最近では、性別に関わらず自分が着たいと思うスタイルの制服を着ることのできる学校があったり、ジェンダーフリーを目指すための制服としてジェンダーレス制服を採用する学校も増えるなど、制服の在り方も変化しています。では、学校での「LGBTQ」の生徒への服装の配慮はどのような状態なのでしょうか?今回は、全国の中学・高校の子どもを持つ母親1,200人を対象に、「LGBTQ」※という言葉の認知度、学校での服装による「LGBTQ」の生徒への配慮、ジェンダーレス制服として良いと思うスタイルについて調査しました。
※「LGBTQ」とは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)、クエスチョニング(Q)の性的少数派の中で代表的な5つの頭文字を取った総称です。
調査概要
- 調査対象:全国の中学・高校の子どもを持つ母親1,200人
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 実施時期:2020年11月
1.「LGBTQ」という言葉の認知度
「LGBTQ」という言葉について、全国の中学・高校の子どもを持つ母親の認知度は、「知っている」(60.3%)と「聞いたことはあるが内容は知らない」(19.8%)を合わせると約8割が知っているという結果になりました。
2.服装による「LGBTQ」の生徒への配慮状況
子どもが通う中学・高校の「LGBTQ」の生徒への服装の配慮状況は、「服装による配慮をしている」(15.9%)、「服装による配慮はしていない」(40.5%)という結果となり、服装による配慮をしている学校は少ないという状況でした。また、「わからない」(43.6%)という回答も4割以上あり、学校がなんらかの服装の配慮をしていてもその情報が保護者に伝わっていない様子もうかがえました。
3.ジェンダーレス制服として良いと思うスタイル
「LGBTQ」の生徒への配慮のためにジェンダーレス制服として良いと思うものは、「スカート・スラックス・リボン・ネクタイなど男女関係なく、自由に選べるようにする」(53.0%)が最も多く、次に「男女共通デザインのブレザーの採用」(44.1%)、「女子スラックス」(37.8%)、「色やシルエットなど男女の違いを出さない工夫」(18.0%)などがあげられました。
文部科学省は、2015年4月、全国の学校に「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」の中で、「自認する性別の制服・衣服や、体操着の着用を認める。」と学校における支援の事例を通知し、これ以降、「LGBTQ」の生徒への服装の配慮も急速に広がっています。
今回、全国の中学・高校の子どもを持つ母親を対象にした調査では、「LGBTQ」という言葉の認知度は、「知っている」(60.3%)と「聞いたことはあるが内容は知らない」(19.8%)をあわせると、中学・高校の子どもを持つ母親の約8割が「LGBTQ」という言葉を認識している状態にありました。しかし、中学・高校の「LGBTQ」の生徒への服装の配慮は、「服装による配慮をしている」(15.9%)という結果で2割にも満たない状況で、残りの8割は「服装による配慮はしていない」や「わからない」という回答が多く、服装の配慮をしていない学校や、または、服装の配慮をしていても保護者に伝わっていない学校が多いようです。「LGBTQ」の生徒への配慮のためにジェンダーレス制服として良いと思うスタイルは、「スカート・スラックス・リボン・ネクタイなど男女関係なく、自由に選べるようにする」(53.0%)、「男女共通デザインのブレザーの採用」(44.1%)、「女子スラックス」(37.8%)、「色やシルエットなど男女の違いを出さない工夫」(18.0%)など、性別によって着用する制服のスタイルを決めない工夫や、そもそも性別による差がでないように男女同じ制服が良いとの回答がみられました。
現在、ジェンダーフリーの実現に向けて取り組む学校の多くが、女子生徒に対して「スカート」と「スラックス」の選択を許可しています。一方で、男子生徒が「スラックス」と「スカート」の両方が選択できる学校は少ない状況です。これは、女性は「スカートもスラックスも履く」が、男性は「スカートを履かない」という社会文化に起因していると推測されます。この社会文化がある以上、学校でどちらでも好きな制服を着ても良いと言われても、そのスタイルの制服を着ることがカミングアウトになり、カミングアウトしたくない生徒はもっと悩んでしまうこともあるようです。このことからも、制服を性別に関わらず自由に選べるようになっても「選び難い」環境では意味がなく、「選びやすい」環境にしていくことも重要と言えます。
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