2019.10.29 カンコーホームルーム 【Vol.165】「10~60代のLGBTQに関する意識」

fig_165_illust.jpg

「LGBTQ」とは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)、クエスチョニング、クィア(Q)の性的少数派の中で代表的な5つの頭文字を取った総称です。2003年に、「性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律」が制定され、学校における性同一性障害に係る児童生徒への対応についても必要性が認識されるようになり、近年では、性的少数者(LGBTQ)に配慮した学校づくりが広がっています。今回は、10~60代を対象に、「LGBTQ」の認知度や学生時代の「LGBTQ」の当事者の方の有無、「LGBTQ」の当事者の方が学生時代に困っていたことについて調査しました。

調査概要

  • 調査対象:全国の10〜60代の男女 1,800人
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 実施時期:2019年7月

1.「LGBTQ」という言葉の認知度

「LGBTQ」という言葉については、10~60代の各年代全体平均では、「知っている」(60.7%)、「聞いたことはあるが内容は知らない」(19.9%)をあわせると、約8割が認知していると回答していました。年代別にみると、10代は「知っている」(68.7%)という回答が最も多く、60代は「知っている」(47.3%)という回答が半数を下回りました。

fig_165_01.jpg

【図1】 あなたは、「LGBTQ」という言葉を知っていますか。(単数回答)

2.学生時代の「LGBTQ」の当事者の方の有無

「LGBTQ」の当事者の方の有無については、全体平均では「いた」(21.0%)と、5人に1人が学生時代に自身の周囲(または自分自身)に、「LGBTQ」の当事者の方がいたと回答していました。最も多い年代は、20代の「いた」(32.0%)であり、最も少ない年代は60代の「いた」(6.3%)という状況で、年代が高くなるほど当事者の方の存在の認識は低くなる傾向が見られました。

fig_165_02.jpg

【図2】 学生時代に、あなたの周囲(または自分自身)には、
「LGBTQ」の当事者の方はいらっしゃいましたか。(単数回答)

3.「LGBTQ」の当事者の方が学生時代に困っていたこと

「LGBTQ」の当事者の方が学生時代に困っていたことは、「トイレ」、「体育の時の着替えやプールの時間」、「服装」など、目で見てわかる物理的なことがあげられました。また、「周りと自分が違うこと」、「恋愛」、「誰にも言えないこと」、「周りの理解が得られないこと」など、精神的な苦しみも困っていたこととしてあげられました。

fig_165_03.jpg

【表1】 「LGBTQ」の当事者の方が学生時代に困っていたことは、何ですか。(自由回答)

文部科学省が2014年に公表した調査結果では、性同一性障害の児童生徒606人のうち、43.1%が「隠している」と回答し、周囲に知られないよう学校生活を送っているようです。
今回、全国の10~60代を対象に「LGBTQ」の認知度を調べたところ、言葉の認知度は各年代全体平均では、「LGBTQ」という言葉を「知っている」(60.7%)、「聞いたことはあるが内容は知らない」(19.9%)をあわせると、約8割が認知していて、認知度は高いという結果でした。また、「LGBTQ」の当事者の方の学生時代の存在認識の有無については、全体平均では「いた」(21.0%)と、5人に1人が学生時代に自身の周囲(または自分自身)に、「LGBTQ」の当事者の方がいたと回答しています。しかし、この結果は年代によって大きな開きがあり、最も多い年代は、20代の「いた」(32.0%)であり、最も少ない年代は60代の「いた」(6.3%)という状況で、年代が高くなるほど当事者の存在の認識は低くなる傾向が見られます。その「LGBTQ」の当事者の方が学生時代に困っていたことは、「トイレ」、「体育の時の着替えやプールの時間」、「服装」、「周りと自分が違うこと」、「恋愛」、「誰にも言えないこと」、「周りの理解が得られないこと」など、物理的な面と精神的な面の両方が存在しています。
文部科学省が「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施などについて」を通知したことにより、男女別だけでなく誰でも使えるトイレを設けたり、制服のデザインや校則を改訂したりする学校が増えつつあります。社会・学校においても「LGBTQ」への理解と取り組みが自然に進むことが期待されています。

pdf_b.png 当サイトのPDFをご覧にいただくには、最新のAdobe Readerが必要です。こちらのバナーよりご用意ください。

【Vol.226】学校行事と「学校制服の必要性」

2024.11.26 カンコーホームルーム 学校行事において卒業式・入学式は学校生活の節目となり、保護者が参加する学校行事の1つです。そして、保護者は母親や父親のどちらか1人だけが参加するのでなく、両親が揃って式典に出席したり、祖父母や兄弟姉妹、親戚が参加したりするケースもみられます。では、中学・高校の卒業式・入学式の保護者の出席者はどのような状況でしょうか?今回は、中学・高校に勤務する教師800人を対象に、卒業式・入学式の出席者の状況、学校制服があるとよいときについて調査しました。

【Vol.225】学校制服の購入方法の変化

2024.10.29 カンコーホームルーム 新入学準備として制服購入を検討し始める時期になりました。制服の購入方法は、生徒と保護者が学校や販売店などに赴いて、採寸・試着を行う方法が一般的でした。しかし、ここ数年は、インターネットの普及やデジタル化が浸透し、人工知能(AI)技術の発達も加わり、学校制服の採寸や買い方が変化しています。では、最近の制服はどのように購入されているのでしょうか?今回は、中学・高校生の子どもを持つ親1,200人を対象に、デジタル採寸※の認知・利用意向、制服の試着・採寸の必要性、新入学時の制服購入場所の利用意向について調査しました。

  • 【Vol.224】学校行事の変化と意識

    2024.09.24 カンコーホームルーム 二学期は、文化祭や運動会・体育祭、遠足・校外学習、職場体験、修学旅行などの学校行事を予定している学校も多いようです。現在、学校では、新型コロナウイルス感染症の位置づけが2023年5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行して1年以上が経過し、学校行事も平常通り行われることが増えています。では、学校行事はコロナ禍※以前と変わらずに行われているのでしょうか?今回は、小学・中学・高校生の子どもを持つ親と小学・中学・高校の教師をあわせた3,000人を対象に、学校行事の変化、コロナ禍のときに中止や自粛になった学校行事、大切だと思う学校行事について調査しました。
  • 【Vol.223】親が思う子どもの夏休みの必要性

    2024.08.27 カンコーホームルーム 8月下旬になると長い夏休みが終わって、通学する子どもの姿を目にするようになります。学校の夏休みは、地域や学校によって開始時期や終了時期、日数には違いがありますが、30日~40日程度の長い期間を夏休みとしている学校が多いようです。では、小中高生の子どもを持つ親は夏休みについて、どのように思っているのでしょうか?今回は、夏休みに入る7月に小学・中学・高校生の子どもを持つ親を対象に、夏休みの必要性とその理由、子どもの夏休みの予定を調査しました。
  • 【Vol.222】制服の成長機能の利用状況

    2024.07.30 カンコーホームルーム 小学校高学年から中学校の期間は、子どもの「成長期」にあたり成長が著しい時期でもあります。このことから中学校の入学時に着ていた制服を秋になって着ようとしたら、小さくなっていて(子どもが成長して大きくなって)着られなくなったということもあるようです。そのようなサイズアウトを少なくするために、成長を予測して入学時には少し大きめの制服を購入したり、『成長機能』※が備わった制服を選んだりするなどの対策があります。では、『成長機能』が付いた制服を利用している中学生はどれほどいるのでしょうか?今回は、高校1年生の子どもを持つ保護者に、中学校でお子様が着用していた制服のタイプ、制服の成長機能の有無と内容、中学校での成長機能の使用状況について調査しました。 ※成長機能とは、成長に対応してサイズアップができる制服の仕様・機能です。