2018.07.31 カンコーホームルーム 【Vol.150】 「子ども時代に伸ばしたい非認知的能力」

fig_150_illust.jpg

近年、「非認知的能力」の育成に注目が高まっています。「非認知的能力」とは、IQ(知能指数)や学力など数値化できる認知しやすい能力とは異なり、忍耐力やコミュニケーション力、自信や楽観性などの数値化しにくい能力と言われています。では、社会に出てから「非認知的能力」は必要なのでしょうか。今回は、20~60代の社会人を対象に「非認知的能力」の認知度や仕事をする上で必要だと思う力、子どものときに伸ばしたいと思う力について調査しました。

調査概要

  • 調査対象:全国の20~60代の男女 1,500人
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 実施時期:2018年1月

1.「非認知的能力」の認知度

20~60代の社会人に「非認知的能力」という言葉を知っているのか尋ねたところ、「聞いた(見た)ことがあり、内容を知っている」(7.9%)と「聞いた(見た)ことはあるが、内容は知らない」(26.8%)と合わせると、「非認知的能力」という言葉を3割強の人が知っていると回答しています。

fig_150_01.jpg

【図1】 あなたは、「非認知的能力」という言葉を知っていますか。 (単数回答)

2.社会で必要な力

自分自身が社会に出て仕事をする上で必要と思った力は、「社会人マナー」(75.4%)と「コミュニケーション力」(74.8%)が圧倒的に多く、続いて、「判断力」(64.5%)、「協調性」(59.4%)、「行動力」(58.7%)といった数値化が難しい能力が上位にあげられています。次に、「基礎学力」(56.9%)という数値で認知できる能力が入りましたが、その次も、「忍耐力」(56.5%)、「思考力」(51.9%)、「表現力」(39.1%)などの非認知的な能力が多いという結果になりました。

fig_150_02.jpg

【図2】 あなたが、社会に出て仕事をする上で必要だと思った力は何ですか。 (複数回答)

3.子どものときに伸ばしたい力

子どものときに伸ばしたい力・身につけておきたいと思う力は、「自分の意見や考えをきちんと他者に伝えられる力。」(50代女性)、「ディスカッション能力と自己主張できる心。」(30代女性)、「自分の考えを示せる。自ら考えて行動する力。」(20代女性)といった自分の考えを相手に伝えるコミュニケーション能力や、「型にはまらない自由な発想力。」(40代女性)、「自分の未来を想像できる力。目標があればいつかたどり着ける。」(40代男性)などの思い描く力や、「すぐ投げ出さずに継続してする姿勢。」(60代男性)、「あきらめない力、挑戦する力。」(30代男性)など、やり抜く力などがあげられました。

fig_150_03.jpg

【表1】 子どものときに伸ばしたい力・身につけておきたいと思う力は、どのような力ですか。 (自由回答)

社会が急速に変化していく中で、学力だけではない「非認知的能力」(Non Cognitive Skills)の必要性が高まっています。その「非認知的能力」を育む過程において、学童期は、子ども同士の関係や思考・認知力の質が変化する発達段階だからこそ獲得できる「非認知的能力」があるという研究も進んでいます。
今回、20~60代の社会人を対象に、「非認知的能力」の認知度を調べたところ、「非認知的能力という言葉を聞いた(見た)とがある」という回答は3割強でしたが、社会で必要と思う力について聞くと、「コミュニケーション力」(74.8%)、「判断力」(64.5%)、「協調性」(59.4%)、「行動力」(58.7%)、「忍耐力」(56.5%)、「思考力」(51.9%)、「表現力」(39.1%)などの非認知的な能力が多いという結果となり、子どものときに伸ばしたい力・身につけておきたいと思う力についても、自分の考えを相手に伝えられるコミュニケーション能力や、型にはまらない自由な発想力、相手の気持ちや未来を思い描く力、困難なことに対しても粘り強く立ち向かう忍耐力、最後までやり抜く力などがあげられたことからも、「非認知的能力」が重要であることがわかりました。
子どもの未来につながる力・学びへ向かう力の形成には、学童期の「非認知的能力」の育成が重要と言えます。その「非認知的能力」をどのようにして育んでいくのか、学童期の豊かな体験・機会を通じて、子どもが楽しみながら「非認知的能力」を伸ばす体験やプログラムが求められています。

pdf_b.png 当サイトのPDFをご覧にいただくには、最新のAdobe Readerが必要です。こちらのバナーよりご用意ください。

fig_218_illust.jpg

【Vol.218】高校生の自転車通学時のヘルメット着用状況

2024.03.26 カンコーホームルーム 改正道路交通法の施行により、2023年4月1日から年齢にかかわらず自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されました。努力義務とは、「ヘルメット着用に努めなければならない」というものであって義務ではないため、ヘルメットを着用しなくても違反に対する罰則は定められてはいません。では、高校生の自転車通学時のヘルメット着用はどのような状況なのでしょうか?今回は、全国の高校生を対象に、自転車乗車時のヘルメット着用の努力義務化の認知状況、ヘルメット着用の有無、ヘルメット着用時に気にすることを調査しました。

fig_217_illust.jpg

【Vol.217】卒業後の制服とエコ意識

2024.02.27 カンコーホームルーム 卒業式が終わると、卒業生は制服を着ることがなくなります。制服は学生生活の長い時間を共に過ごした思い出が詰まった服なので、着る機会がなくなっても手放すことを躊躇する人も少なくないようです。では、卒業後の着なくなった制服はどのようにしているのでしょうか?今回は、全国の高校生を対象に、中学校で着用していた制服タイプ、卒業後の制服、制服を通じたエコ意識について調査しました。

  • fig_216_illust.jpg

    【Vol.216】中高生の着用制服と着たい制服タイプ

    2024.01.30 カンコーホームルーム 学校制服は、スクールアイデンティティ(SI)を表現し、生徒が着たくなるデザインや快適性、長時間着続けても耐久性に優れ丈夫でお手入れが簡単にできるものなど、時代とともに進化しています。そして、詰襟、セーラー服、ブレザー、スーツなど、様々なタイプがあります。では現在、中高生はどのようなタイプの学校制服を着ているのでしょうか?今回は、全国の中学・高校に通う男女1,200人を対象に、着用している制服のタイプ、着たい制服のタイプとその理由について調査しました。
  • fig_215_illust.jpg

    【Vol.215】中高生が考える「学校制服の必要性」

    2023.12.26 カンコーホームルーム 受験・進学のときに気になることの1つに学校制服があります。学校制服は、学校毎にデザインや色・形・生地・仕様などが異なり、「憧れの○○学校の制服」や「あの制服を着たいから、この学校を受験する」という声もあるほどに中高生にとって関心の高いアイテムのようです。では現在、制服を着ている中高生は学校制服について、どのように思っているのでしょうか?今回は、全国の中学・高校に通う男女1,200人を対象に、学校制服の必要性、学校制服の良い点や必要だと思うことについて調査しました。
  • fig_214_illust.jpg

    【Vol.214】女子中高生の制服アイテムへの着用意向

    2023.11.28 カンコーホームルーム 近年、ジェンダーレス制服として、女子生徒の制服に「スラックス」を導入する学校が増えています。女子制服のパンツスタイル(スラックス)は、1990年代から冬の寒さ対策や自転車通学に適しているという理由から学校制服に採用されていましたが、現在は防寒対策・自転車通学以外の利点なども注目されています。では、女子中高生自身は女子制服のパンツスタイル(スラックス)をどのように感じているのでしょうか?今回は、全国の女子中学・高校生600人を対象に女子制服のパンツスタイル(スラックス)の印象、スカートとパンツスタイル(スラックス)の着用意向、リボンとネクタイの着用意向について調査しました。