2018.06.26 カンコーホームルーム 【Vol.149】 「学生時代のいじめの実態」

文部科学省が2018年2月に公表した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校におけるいじめの認知(発生)件数は、32万3,143件で、昭和60年度の調査開始以来、過去最多を記録しています。社会的に問題視されながら増加している「いじめ」は、昔からあったのでしょうか?今回は、20歳以上の男女を対象に学生時代のいじめの実態について調査しました。
調査概要
- 調査対象:20~60代の男女 1,500人
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 実施時期:2018年1月
1.学生時代のいじめの有無
学生時代に学校でいじめが「あった」という人は55.1%で、20~60代の社会人の半数以上が学生時代にいじめがあったと回答しています。

【図1】 学生時代に学校で、いじめはありましたか。(単数回答)
2.いじめのあった時期
学生時代にいじめがあったと回答した人を対象に、いじめがあった時期(学校)を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「中学校」(68.4%)、次に「小学校」(67.7%)が多く、「高等学校」(23.8%)においても5人に1人以上が学生時代にいじめがあったと回答していました。

【図2】 いじめがあった学生時代は、いつですか。(複数回答)
3.いじめを受けた経験
自身がいじめを受けた経験については、20~60代の全体平均では「ある」(42.3%)となりました。年代別にみると、20代・30代では「ある」(52.7%)と半数を上回りましたが、40代は「ある」(48.7%)、50代は「ある」(38.3%)、60代は「ある」(19.3%)と年代が高くなるほど、いじめを受けた経験は少なくなりました。
【図3】 あなた自身、いじめを受けた経験はありますか。(単数回答)
4.いじめを行った経験
人をいじめた経験の有無は、20~60代の全体平均では「ある」(25.7%)となりました。年代別にみると、20代は「ある」(31.3%)、30代は「ある」(31.7%)、40代は「ある」(27.3%)、50代は「ある」(24.0%)、60代は「ある」(14.0%)と年代が高くなるほど、いじめの加害者になったという回答は少なくなりました。
【図4】 あなた自身、人をいじめた経験はありますか。(単数回答)
いじめについて、どのように思いますか?という問いに対して、「良くない」、「かっこ悪い」、「人として情けない」、「絶対にダメ」という声があるように、いじめは悪いことだと認識されています。
今回、20~60代の男女を対象にしたいじめの実態調査では、学生時代に学校でいじめが「あった」と回答した人は55.1%で、社会人の半数以上が学生時代にいじめがあったと回答しています。また、いじめがあったという時期(学校)は、「中学校」(68.4%)、「小学校」(67.7%)の小中学校での発生が多いということがわかりました。いじめを受けた経験を年代別にみると、20代・30代では「ある」(52.7%)という回答が半数を上回りましたが、40代は「ある」(48.7%)、50代は「ある」(38.3%)、60代は「ある」(19.3%)と年代が高くなるほど、いじめの被害者になったという経験は少なくなりました。同様に、自身が人をいじめた経験の有無は、20代は「ある」(31.3%)、30代は「ある」(31.7%)、40代は「ある」(27.3%)、50代は「ある」(24.0%)、60代は「ある」(14.0%)と年代が高くなるほど、いじめの加害者になったことがあるという回答は少なくなりました。年代別にみると、いじめの被害者と加害者に共通点として、20~30代といった若い世代が多く、50~60代といった年齢が高い世代では、いじめは少ないという実態が明らかになり、被害者と加害者の数にも相関関係がみられます。
いじめ問題については、学校や行政、家庭や地域も含めた社会全体が一丸となって取り組んでいくことが必要不可欠です。 そして、一人一人がいじめの傍観者にならないことも重要と言えます。
【Vol.237】部活動の必要性と地域移行の現状
2025.10.28 カンコーホームルーム 日本では長年、部活動は学校教育の一環として行われてきました。中学・高校における部活動は、スポーツや文化・芸術の技術を高めることだけではなく、学級や学年の垣根を越えた集団の中で、生徒の人間的な成長や社会性・協調性を育む課外活動です。では、中学・高校の部活動は現在どのような状態にあるのでしょうか?今回は、全国の中学・高校の教員1,400人を対象に、部活動の必要性、部活動の地域移行の導入状況、部活動の地域移行の課題について調査しました。
【Vol.236】中学・高校生の学校選びのポイント
2025.09.30 カンコーホームルーム 中学・高校受験では、自分の個性や学力に見合う学校かどうか、校風や教育理念、授業内容や部活動、進路実績などの情報を収集・検討して、最終的に受験校を決定することが重要です。では、中学・高校生は志望校を考える際、どのような情報を必要としているのでしょうか?今回は、全国の中学・高校生1,200人を対象に、進学時に知りたい情報、学校情報の入手方法、進学先の制服への関心度について調査しました。
-
【Vol.235】中学・高校の夏制服で良いと思うスタイル
2025.08.26 カンコーホームルーム 夏休みが終わり、新学期がスタートする時期になりました。まだまだ暑い日が続く中、子どもたちの通学風景では、日傘や帽子などの熱中症対策グッズの使用に加え、ハーフパンツ(膝が出るくらいの丈のズボン)を着用している生徒の姿も目にします。では、暑い夏を少しでも涼しく快適に過ごすために、全国の学校ではどのような夏制服が採用されているのでしょうか?今回は、全国の中学・高校の教員1,400人を対象に、現在採用している夏制服のタイプ、夏制服で良いと思うスタイル、ハーフパンツ制服の採用意向について調査しました。 -
【Vol.234】学校における熱中症対策
2025.07.29 カンコーホームルーム 総務省消防庁が発表している熱中症による救急搬送人員(5月~9月累計)をみると、調査が開始された2008年以降、熱中症の発生は増加の一途をたどっています。特に、2024年は97,578人と過去最多を記録し、熱中症の発生が深刻な社会問題となっています。では、学校における熱中症の発生状況と対策はどのような状況でしょうか?今回は、全国の中学・高校の教員1,400人を対象に、生徒の熱中症の発生状況、熱中症が発生した学校活動、熱中症対策として使用を許可しているアイテムについて調査しました。 -
【Vol.233】中学・高校の制服に関する服装規定の状況
2025.06.24 カンコーホームルーム 学校には、学校ごとに定められた「校則」があります。その校則の中に、服装規定があり、特に制服は学校の教育理念を表現し、その着用状況によって学校のイメージが左右されることもあることから、生徒が着用する制服の種類や身だしなみに関しては具体的なルールが定められています。では、中学・高校の制服の服装規定には、どのようなことが定められているのでしょうか?今回は、全国の中学・高校生1,200人を対象に、学校で流行っている制服のアレンジ、学校の服装規定の内容、性別を問わない制服着用の状況について調査しました。