2013.05.28 カンコーホームルーム 【Vol.88】「いじめの未然防止と対応」
前号(kankoホームルームVol.87)で、20歳以上の男女を対象に学生時代のいじめの有無や発生内容について調査した結果、いじめは昔からあり、誹謗中傷や集団による無視、持ち物を隠すといったいじめ行為は、どの学校においても起こりうる問題であるということが明らかになりました。今回は、いじめ問題の本質的解決に向けて、いじめに対する意識や未然防止も含めた対応について伺いました。
調査概要
- 調査対象:全国の20歳以上の男女443人
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 実施時期:2013年2月
いじめについてどう思うか
大人になっていじめについて考えると、「とても悪いと思う」という回答が70.7%と大半を占め、「どちらかと言えば悪いと思う」の25.1%と合わせると9割以上(95.8%)が、いじめは悪いことだと回答しています。
いじめの相談状況
学生時代にいじめを受けた経験が「ある」という人に、いじめを受けていた当時、誰に相談したか質問したところ、いじめの相談相手は「母親」が26.4%と多く、次に「担任の先生」が12.5%という結果になりました。しかし、最も多かったのは「誰にも相談しなかった」という回答の60.4%で、いじめを受けていることを誰にも相談しなかったという人が多いようです。
いじめを相談したことによる状況変化
いじめを受けていることについて、誰かに相談して状況が「良くなった」という人は22.8%、「少し良くなった」という人の21.1%を合わせると4割以上(43.9%)が、いじめを受けていることを誰かに相談をして状況が改善されたと回答しています。
いじめの未然防止と対応
いじめをなくすための取り組みとしては、「いじめはカッコ悪いことだと周囲が教え続ける」、「みんながいじめられた人の立場に立って物事を考える」といったいじめを未然に防ぐ方法や、いじめが発生したときには「一人で抱え込まずに、すぐに誰かに相談する」、「勇気をもって告発する」、「いじめはなくならないので、逃げ場をつくるのが大切」といった行動・対応があげられました。
新学期がスタートして数ヶ月間は、新しいクラスメイトとの人間関係を構築する時期になります。その過程で、新しい環境になじめない子どもがいるかもしれません。
今回の調査では、20歳以上の男女の9割以上(95.8%)が、「いじめは悪いことだ」という意識を持っていることがわかりました。いじめの相談相手は、「母親」26.4%や「担任の先生」12.5%が多く、誰かに相談をしていじめの状況が改善されたという回答は4割以上(43.9%)になり、勇気を出して相談することが、いじめの解決に繋がることがわかりました。しかし、いじめの相談状況については、「誰にも相談しなかった」という人が約6割(60.4%)と最も多く、誰にも相談せずに一人で抱え込む傾向も見られました。
いじめ問題の本質的解決に向けては、「いじめは悪いことだ」と周囲が子どもに教え続けることや、「いじめられた人の立場に立って物事を考える」など、いじめを許さない、いじめを生まない風土づくりに努めることが未然防止となり、いじめが発生した場合は、「一人で抱え込まずに、すぐに誰かに相談する」、「周りが逃げ場を作ってあげる」など、いじめを受けている子どもの立場に立って、いじめられている子どもの精神的苦痛を適切に把握し、いじめの早期発見・早期対応がいじめの早期解決に繋がるようです。
「いじめはなくならない」という意見もありますが、「いじめは悪いことだ」と多くの大人は理解しています。いじめ問題の本質的解決については、学校、家庭、地域といった全ての関係者が一丸となって、いじめのない学校を築きたいものです。
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