2018.03.21 先生向けコラム 人づくりで地域とWIN-WINの関係を

 

岡山国体で新体操男子総合優勝をはじめ、数々の栄冠を手にしてきた岡山県立井原高校新体操部は、地域や行政との関わりや協力で大きく発展してきました。地域を巻き込んだ部活動の在り方についてうかがいました。



岡山県立井原高等学校
新体操部顧問 長田 京大 先生

地域や行政とのつながりは、まずは人間関係から

   井原高校新体操部は、平成17年の岡山国体で井原市での新体操競技の開催が決定したことを受け、創設。あれから約20年経ちますが、地域や行政にさまざまな面で支えを受けています。当初は全くのゼロスタートだったため、まずは協力者を募ろうと、行政や地域の各方面に出向き人間関係を築いていきました。それが、その後の指導体制や練習環境の整備のバックアップにつながったと思います。特に部活動と同時に立ち上げた小中学生対象の体操教室の指導では、もう一人指導者を充ててほしいと行政に掛け合ったところ、適材を採用してもらえ、2人体制で指導ができるように。行政の支援の心強さを実感しました。

 国体終了後も、井原市は「井原を新体操のまちに」をスローガンに支援を続けています。私たちも新体操の大きなイベントを開催し、市を県外の人たちにPRするなど、新体操が「町おこし」につながっていると感じていますね。また保護者のサポートも強く、特に卒業生の保護者は、いまだに部活動やクラブを支えてくれる「地域の応援団」として心強い存在です。これまで大会運営は保護者たちが担っていましたが、支援体制を形にしたいと思い「井原市体操協会」を設立。協会のおかげで協力したいと思っていた地域住民も参加しやすくなり、支援の輪は広まっています。私が一人でやって来た「点」を、地域や行政の方々が「線」として結んでくれる。それによってより良い活動ができていると感じています。地域や行政の関わりがなければ、ここまでの実績は築けなかったでしょう。

社会体育と組み合わせ、練習時間を確保

   生徒たちには、地域の人々の支えによって、今が成り立っていること、自分たちは「地域の誇り」であることを強く意識させています。期待され、注目されるという自覚が持てると、自分が部活を引っ張って行こうという積極性が芽生えてくる。自ら考え行動する生徒に育っていると感じることもあります。

   人間教育を常に意識し、あいさつや他人への気配りなども厳しく指導。また集団を社会に見立てて、その中での自分の役割や自分の行動が集団にどういう影響を与えるのかなどを考えさせています。

 部活の練習時間も、独自の工夫を行っています。18時半までは部活動で行い、それ以降は井原市体操クラブとしており、社会体育を組み合わせることで、生徒たちの練習時間を確保する体制をとっています。生徒や保護者も練習がしっかりできると納得してくれ、市も調整に協力してくれました。学校も地域も納得できる「Win」な関係が築けたと思っています。新体操に限らず、さまざまな部活でもWin-Winな関係はできると私は思っています。そのためには、学校も地域も少し歩み寄ること。互いにいろいろなルールや線引があるかも知れませんが、まずは声を掛け合い、人間同士がつながり合うことで、協力体制ができ上がっていくと信じています。
(取材 / 山内 將太)



「カンコーは、子どもたちの夢と学びを応援しています」

※本稿は、(一社)カンコー教育ソリューション研究協議会からの業務委託により、菅公学生服株式会社がお届けする学校現場のお悩み解決を目的とした教育関係者様向け情報誌 『カンコータイムズ』 を基に加筆した記事です。

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