2017.04.07 先生向けコラム チームの一体感とコミュニケーション能力を大切に育む【部活指導】

中学生や高校生の人間形成に大きな役割を担う部活動。
チーム力アップのための練習法をはじめ、生徒の潜在能力や想像力を引き出す指導のあり方を大分県立大分豊府高校の中原 久典先生にお話しを伺いました。

集団で行う簡単なゲームをチームづくりに活用

演劇ではチームの一体感が非常に重要です。芝居づくりは仲間づくりとも言えるほどで、それがなくてはどれだけいい舞台にしようとしてもうまくいきません。そのため数年前から、新入部員たちに対して、集団でゲームを通して行う‘仲間づくり’を実践しています。内容は簡単で、限られたヒントからお互いの誕生日を推理し合ってその順番に並び替わったり、他の人と発声のタイミングが重ならないように数字を数え上げていくエクササイズなどさまざまです。入部直後の2日ほどをこの簡単なゲームの時間にあて、それから基礎練習に移っていきます。

導入後は、生徒同士の緊張がほぐれ、打ち解け合うスピードが格段に早くなったと実感しています。また「部活が楽しい」という声も多く聞こえるようになり、生徒たちが一層前向きに練習に打ち込むようになったと感じられますね。

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コミュニケーション能力も芝居には不可欠で、特に他の演者や観客といった周囲の人たちの思いや状況を察する力がとても大切です。そのため、入部当初から「話すより相手の話を聞くことを優先しよう」とアドバイスしています。これは演劇だけでなく、生徒たちの今後の人生においても大切になってくること。

学校生活でも、相手の話を上手に聞ける子は明らかに成長します。聞くことを優先するというアドバイスを意識し、舞台を何度か経験していくと、周囲の状況を察する能力が徐々に身に付いてきます。この場にはいま何が必要で、自分がいま何をするべきなのかということが自然とわかってくるようです。

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脚本は主に私が書きますが、それはあくまでベースで、まず生徒たちに読んでもらって改善点や気になった点などの意見を出してもらいます。生徒たちと議論を交わし、修正しながら一本の作品を完成させていきます。生徒が自ら考える部分を脚本段階から設けることで、「自分の作品」という意識が生まれ、作品への愛着も増し、上演後の達成感を強くさせていると思います。そしてその達成感が次の作品へのモチベーションや、自己肯定感に繋がっていると感じています。

生徒の成長を実感できたとき、私たち教員も達成感を覚えることができます。部活動ではその成長を間近に見ることができるので、彼らの更なる成長のために頑張り続けていこうと思いますね。

プロフィール

%e9%83%a8%e6%b4%bb%e5%85%88%e7%94%9f平成16年より13年間、大分豊府高等学校演劇部の顧問を務める。
大分県高文連演劇専門部委員長などを歴任。

 

活動実績

◎平成25年・26年 九州高等学校演劇研究大会 優秀賞
◎平成27年 九州高等学校演劇研究大会 優秀賞
◎平成27年 九州高等学校演劇研究大会 最優秀賞
◎第61回全国高等学校演劇大会  最優秀賞(文部科学大臣賞)、創作脚本賞
◎平成28年 九州高等学校演劇研究大会 優秀賞

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