2016.02.03 キャリア教育 キャリア教育を考える「生きる力を育む学びとは」後編

近年、教育現場でますます要請が高まりつつある「キャリア教育」。学校の先生方もその意義を認めつつも、進路指導や職業教育と実際どう違うのか、あらためてその本質が問われています。子どもたちが自ら生きる力を発見していく学びとはなにか。さまざまな大人との触れ合いを通じて、子どもの学びの意欲を育てる活動を行っている生重幸恵さんに、「キャリア教育」の在り方についてお聞きしました。二回に渡ってお届けします。

キャリア教育コーディネーター 生重 幸恵さん

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地域の人材を活用し多様な大人と触れ合う機会を

核家族化が進み、地域社会が崩れていく中で、今の子どもたちは、さまざまな人と触れ合う機会が少なくなってきています。学校活動を地域に広げ、PTAをはじめ地域の大人たちをもっともっと頼って活用してほしいと思います。

たとえば、給食の時間に地域のおじいちゃんやおばあちゃんに来てもらって一緒に食べるだけでも面白い交流が生まれます。

 「あなたはどんなことが好き?」「なにが楽しい?」そんななにげない投げかけをしてもらうだけでも、子どもたちは自分を表現していく機会が得られます。お箸の正しい持ち方を教わってもいいと思います。クラスの先生は全員の子どもたちを指導していかなくてはいけませんから、一人ひとりの子どもたちの声をじっくり聞く時間がありません。でも子どもたちは自分の話を聞いてもらいたいんですね。そんな時に地域の人材が頼もしいサポーターになってくれます。いろいろな大人と関わって、いろいろな大人を知って信頼していく。それが、子どもたちにとって社会に出て生きる力につながります。

同時に、今の子どもたちは、仕事をしている大人の姿を目の当たりにすることも少なくなっていますね。地域にあるスーパーや商店、企業や職業人材を上手にアテンドしながら、先生方には子どもたちに、働くことへの「気づき」を促す良きファシリテーターになってほしいと思っています。多様な生き方や働く大人たちのプロ意識に触れることは、子どもたちにとってかけがえのない経験になります。

ICTの導入で学びの意欲が高まる

子どもたちの学びの意欲を刺激するツールとして、端末の活用もわくわくする可能性を秘めています。携帯・スマホを使った面白い事例を紹介しますと、ある学校の先生がクラス全員の携帯メールにクイズ形式の宿題を一斉送信したところ、瞬く間に全員から解答のレスポンスが返ってきたんです。生徒にしてみたら、LINEやゲーム感覚。われ先にと攻略していく感じですね(笑)。

教室では手をあげて発言しない子も、タブレットや携帯・スマホを使って自分なりの考えを書かせると、パーソナルな意見が集まり一人ひとりの個性が現れてきます。

教室の先生は、それをマザーPCでプロジェクターに映しだし「ほら、みんな一人ひとりこんなに違うこと考えてる。みんな違ってみんないいよね」と導いていけばいいと思うんです。不必要なことを言って後ろ指さされるのがこわいといった閉塞的な空気が一気に払拭されます。いろいろな意見が自由に混ざり合う場には、他者を認め、リスペクトする感覚も自然と生まれてくるのではないでしょうか。

これからの時代を生き抜いていく子どもたちは、定着すべき学力の上に、さまざまな変化に対応できる汎用力が求められていくと感じます。学歴よりも、なにを学びなにを体験したか、学習体験がモノをいう時代になるかもしれません。老人ホームでボランティアをした経験、公民館で子どもに読み聞かせをした経験、本が大好きで夢中になった読書体験など、取り組んできたことを自分の言葉で表現する力も試されていくと思います。たくさんの引き出しを持つこと、自分のアイデンティや生き方を常に意識させることがとても大切ですね。先生方もぜひチーム力を発揮して、子どもたちにとって居心地のよい学びの場を地域と一緒になってつくっていってほしいと思いますね。

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