2019.05.07 先生向けコラム 学校・企業・地域…三位一体の挑戦! 価値発見型の職場体験へ

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大王谷学園中等部の2年生96名が4日にわたる職場体験に臨みました

進学や就職を理由とした若者の県外流出が続いている宮崎県日向市では、2013年に商工会議所内で「キャリア教育支援センター」が発足。地元企業の魅力を伝えようと、地域で働く大人が学校の教壇に立って働く意義などを語る「よのなか教室」を中心とした取り組みを進めてきました。さらに、すべての中学校で行われてきた「職場体験」のリニューアルも図ることに。2018年度のモデル校となった公立の小中一貫校である大王谷学園の中等部の活動をご紹介します。

 

未来につながる職場体験!みんなで創り上げた4日間

宮崎県日向市大王谷学園

2018年度のモデル校となった公立の小中一貫校である大王谷学園の中等部では、職場体験が2017年に従来の2日間から3日間へと延長し、2018年には4日間にわたって実施することが決まりました。

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カンコー教育ソリューション研究協議会による研修では、各事業所が自社の強みを再発見

10月下旬に実施する職場体験に向け、9月上旬には学校の先生や事業所、センター職員の方々らが研修会・意見交換会を開催。生徒たちに課題を示し、体験によって得た“発見”を通して探究を深める「14歳のよのなか挑戦※」活動にしようという意思統一のもとに準備を進めました。カンコー教育ソリューション研究協議会も企業に対するアドバイザーとして参画し、事業所にとってもメリットのある職場体験にするための考え方や、その先進事例を紹介。グループワークによる協議も行い、職場体験への認識を深め、共有したうえで当日を迎えました。
※大王谷学園中等部では、職場体験のことを「14歳のよのなか挑戦」と名付けて活動されています。

 

安心安全な食の大切さ、地域に根ざす商業の奥深さ

マルイチ(小売業)
 

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契約農家の野菜はすべてマルイチが買い取り、県内8店舗で販売

日向市内に3店舗を展開しているスーパーマーケット・マルイチでは、初日に生徒たちが畑に行きました。食の安心・安全に配慮し、地元の農業法人と契約して無農薬・有機栽培の野菜を仕入れているマルイチ。「レジ打ちや品出しをすると思っていた」と生徒は最初おっかなびっくりでしたが、土に触れ、汗を流すうちに「農業もいいな」と。さらに、収穫した野菜を使った試食品のメニューを考え、調理して試食販売する体験まで行い、食の大切さを知りました。

また、地域に根ざすスーパーマーケットの使命などについて学ぶ座学も行われ、定番のレジ接客やバックヤード作業も体験。収穫、加工、販売のすべてをやり遂げたことで「商業って奥が深い」という声が聞かれました。

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レジ体験では正確さやスピード、お客様へのあいさつの大切を学びました

 

ものづくりへのこだわりとやり遂げて得られる達成感

日向中島鉄工所(製造業)
 

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接客やレーザーによる切断などを体験し、「職人さんの技術はすごい」と実感

主に食品機械設備などの製作・組立据付を行う日向中島鉄工所では、初日に座学や見学を交えながらも、4日間のプログラムの大半が自分の手を動かす「体験」をします。特に生徒の目が輝いたのは、同社自慢のレーザー切断機を使った自分オリジナルの作品作りです。初日にパソコンを使ってデザイン・設計、2日目に材料を切断、3日目の溶接練習を経て最終日にとうとう完成。こだわって作り上げた世界で唯一の品を持ち帰りました。

「4日間あればこその達成感ですね。中学生に教えることで社員のモチベーションも上がります」と同社。生徒たちも楽しいばかりでなく、「機械の進化で効率化されている」「安全第一を実感しました」と、大切なことにいくつも気づいたようです。

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ボルトを使った簡単な組み立て作業も。全工程の中での役割を考えて取組みました

 

地域の一員として、より良い暮らしを支えるやり甲斐

日向市社会福祉協議会(福祉業)
 

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「職員に任命する」との辞令伝達を受け、大人と同じように使命感が得られました

社会福祉協議会では多岐にわたる業務内容を理解するため、まず「社会福祉協議会とは?」に始まり、総務課における文書管理や窓口対応といった通常業務のレクチャーが行われました。さらに、地域に出て活動することの重要性を理解するため、高齢者への弁当配達や認知症カフェの運営サポート、児童館での子どもとのふれあいなどを体験しました。

特徴的だったのは、生徒たちを新人職員と見立て、辞令伝達式のデモや新人研修プログラムの一部まで実際に行われたこと。地域社会の一員として自分に何ができるかを考え、職員と同等の扱いを受けた生徒たちは「大きな責任を感じた」「学校に戻っても係の仕事をきっちり頑張ります」と口々に思いを語ってくれました。

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地域活動で学んだマッサージを、お世話になった社会福祉協議会の職員の方に披露

 

子ども一人ひとりの個性を受けとめ、伸ばす保育支援

伊勢ケ浜保育園(保育業)
 

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「実際のふれあいを通じて、年齢による発達段階を知ることができた」と生徒たち。

伊勢ケ浜保育園は、子どものあるがままを受け入れ、一人ひとりの可能性を引き出す認定こども園。中学生たちは自分の担当園児を決め、遊びや給食指導、お昼寝、おやつ指導といった一連の流れを通して4日間じっくり園児と向き合いました。

この保育園の特徴は、園児の発達を評価するICTツールを取り入れ、日々の指導計画にフィードバックしていること。生徒はこのツールも使わせてもらい、発達評価を受けて、自分が担当する園児に対してどのような保育を実践するべきかの考察まで行いました。「その子に合わせた援助が必要だとわかった」「人と接する仕事に興味がわいた」「教員を目指しているので、この経験を活かしたい」と、それぞれに手応えを感じたようです。

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子どもたちの安全を守りながら、好奇心を刺激する園の環境も視察

 

大人も子どもも。事後の振り返りが大切

職場体験発表会

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今回、さまざまな職場を体験した大王谷学園中等部の生徒たちは、学校に戻ってから4日間のまとめを行いました。最初に設定した「その事業所はどんな思いで仕事をしているのだろう?」「何にやりがいを感じているのだろう?」といった課題に対し、自分が探究したことを整理。同じ事業所を体験した仲間とのグループワークを行い、パソコンも使ってプレゼンテーション資料を作成しました。

そして12月の参観日において、保護者も見守る中、職場体験の発表会を開催。思考力や協働性とともに、人前で話す表現力も磨きました。先生側でも生徒へのアンケートを集計した結果、さまざまな力の伸びや気づきを数値化することができました。

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合同反省会

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子どもたちの様子を、受け入れ事業所の96%が「意欲的だった」と回答

4日間の職場体験を終えてから、事後活動として、職場体験のリニューアルに関わった大人たちの合同反省会が行われました。「今回から課題探求型になったことで自己課題をしっかりと認識できており、初日から積極的に取り組む姿が見られた」「体験前後では、表情も口数も明らかに変わっていた」といった意見が多数。受け入れ企業からは「自社の強みを見直すことができた」「長い目で見て、こうした取り組みの成果が新卒採用時に表れるのが楽しみ」といった声も聞かれました。

また、事前研修についても「間違いなくやって良かった。学校のねらいと事業所のメニューが一致した」という結論に。事前に目的や情報を共有し、事後の反省会で次に向かい改善する、その繰り返しが「成功する職場体験」には欠かせません。

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日向市の事業所の活性化を探求する高校生も参加

いかがでしたか?その他にも、職場体験実例をご紹介しています。是非ご覧ください。



「カンコーは、子どもたちの夢と学びを応援しています」

※本稿は、(一社)カンコー教育ソリューション研究協議会からの業務委託により、菅公学生服株式会社がお届けする学校現場のお悩み解決を目的とした教育関係者様向け情報誌 『カンコータイムズ』 を基に加筆した記事です。

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