2022.12.27 カンコーホームルーム 【Vol.203】保護者が考える「学校制服の必要性」

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学校制服は、「お手入れや洗濯が難しい」「個性が出せない」「価格が高い」という声が聞かれます。一方で、「私服だと沢山の服を買うことになり、結局高くつく」「毎日着る服に悩む」「ファッションセンスや格差によるいじめの発生」を懸念する保護者も多いようです。では、保護者は制服と私服のどちらが良いと思っているのでしょうか?今回は、全国の中学・高校生の親(男女)3,600人を対象に、学校制服の良い点、学校制服の必要性、学校制服に必要だと思うことについて調査しました。

調査概要

  • 調査対象:全国の中学・高校生の子どもを持つ親(男女) 3,600人
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 実施時期:2022年7月

1.学校制服の良い点

中学・高校生の子どもを持つ親が思う学校制服の良い点は、「毎日の服装に悩まなくていい」(70.2%)が最も多く、続いて、「学生らしく見える」(51.7%)が半数を超えました。次に、「経済的である(私服を沢山買わなくていい)」(35.7%)、「服装による個人差がでなくていい(平等である)」(33.4%)といった経済性や平等性があげられ、「公私のけじめがつく」(24.2%)、「冠婚葬祭にも着られる」(23.9%)、「どこの学校か一目で分かる」(22.1%)、「きちんとした気分になる」(19.5%)などが良い点とされました。

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【図1】 学校制服の良い点はどのようなことだと思いますか。(複数回答)

2.学校制服の必要性

学校制服の必要性は、全体では「あったほうがよい」(47.3%)と「どちらかと言えば、あったほうがよい」(39.9%)をあわせると、87.2%が学校制服は必要だと回答しています。地域別にみると、東北は「あったほうがよい」(51.7%)と「どちらかと言えば、あったほうがよい」(38.4%)をあわせて90.1%、中国・四国は「あったほうがよい」(51.2%)と「どちらかと言えば、あったほうがよい」(38.8%)をあわせて90.0%、九州・沖縄では「あったほうがよい」(55.7%)と「どちらかと言えば、あったほうがよい」(34.4%)をあわせて90.1%で、学校制服は必要という回答は9割を超えるという結果になりました。

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【図2】学校制服はあったほうが良いと思われますか。(単数回答)

3.学校制服に必要だと思うこと

制服を着用している中学・高校生の子どもを持つ親が、学校制服に必要だと思う内容は、「洗濯・お手入れのしやすさ」(69.0%)、「家庭で洗濯できる」(61.9%)という“洗濯”に関することがトップでした。次に、「丈夫さ・耐久性」(49.5%)、「動きやすさ」(46.8%)、「シワにならない」(41.2%)、「着心地・肌触りの良さ」(38.3%)、「形態安定(シャツ・ブラウスなどアイロン不要)」(37.3%)、「汚れにくい・汚れが目立たない」(32.8%)、「着用時の軽さ」(31.0%)など多岐に渡りました。性の多様性への配慮としては、「性別に関わらず着たい制服が選べる」(8.7%)、「男女が同じスタイル(ジェンダーレス制服)である」(3.3%)という回答は少数ですが、学校制服に必要だと思うこととしてあげられています。また、「地球環境に配慮している」(5.8%)、「SDGsに貢献している」(4.1%)というサスティナブル視点も少数みられました。

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【図3】学校制服に必要なことは、どのようなことだと思いますか。(複数回答)

ここ数年で学校制服は大きく変化しています。トランスジェンダーの子どもたちへの配慮から「ジェンダーレス制服」を採用する学校が増え、さらには、持続可能な社会に貢献する「サスティナブル制服」や、ダイバーシティ&インクルージョンの考えのもと、快適で自分らしさを尊重できる学校制服への関心が高まっています。
今回、全国の中学・高校生の子どもを持つ親3,600人に学校制服の良い点を調べた結果、「毎日の服装に悩まなくていい」(70.2%)、「学生らしく見える」(51.7%)、「経済的である(私服を沢山買わなくていい)」(35.7%)、「服装による個人差がでなくていい(平等である)」(33.4%)といった利便性・経済性・平等性があげられました。保護者が思う学校制服の必要性は、全体平均では「あったほうがよい」と「どちらかと言えば、あったほうがよい」をあわせると、保護者の87.2%が学校制服は必要だと回答しています。地域別では、東北、中国・四国、九州・沖縄では、学校制服は必要という回答が9割を超えています。その学校制服に必要だと思うことは、「洗濯・お手入れのしやすさ」と「家庭で洗濯できる」という“洗濯”に関することが6割を超え、続いて、「丈夫さ・耐久性」、「動きやすさ」、「シワにならない」、「着心地・肌触りの良さ」、「形態安定(シャツ・ブラウスなどアイロン不要)」、「汚れにくい・汚れが目立たない」、「着用時の軽さ」など、“制服を着る本人の快適性”と“日頃のケア”や“長く着られる品質の良さ”があげられました。また、性の多様性への配慮や、サスティナブル視点の回答も少数ですがみられました。
このように学校制服は多面的な機能や価値を持った服装と言えます。お手入れが簡単で、丈夫で長持ちすることはもちろん、3年間の通学や授業での着用時に快適であり、様々な生活環境や価値観を持つ多様な子どもたちを包み込む「ダイバーシティ制服」として時代とともに進化しています。

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