2022.04.26 カンコーホームルーム 【Vol.195】学校が考える「学校制服の必要性」

fig_195_illust.jpg

学校制服の歴史は古く、日本では今から100年以上前の明治時代に始まったとされています。詰襟(学ラン)・セーラー服・ブレザーなど、形やデザインは違ってもほとんどの人が学生時代に着用した経験のある学校制服ですが、学校の先生たちは、学校制服の必要性について、どのように感じているのでしょうか?今回は、全国の中学校・高校に勤務する教員1,400人を対象に、学校制服の良い点、学校制服の必要性、学校制服に必要だと思うことについて調査しました。

調査概要

  • 調査対象:全国の中学校・高校の教員 1,400人
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 実施時期:2021年6月

1.学校制服の良い点

中学校・高校の教員が思う学校制服の良い点は、「毎日の服装に悩まなくていい」(中学校70.9%、高校69.6%)が最も多くなりました。次に、「経済的である(私服を沢山買わなくていい)」(中学校55.7%、高校50.4%)、「服装による個人差がでなくていい(平等である)」(中学校50.3%、高校42.3%)といった経済性や平等性があげられ、「学生らしく見える」(中学校40.0%、高校42.3%)、「公私のけじめがつく」(中学校35.3%、高校29.4%)なども良い点とされました。

fig_195_01.jpg

【図1】 学校制服の良い点はどのようなことだと思いますか。(複数回答)

2.学校制服の必要性

学校制服の必要性は、中学校は「あったほうがよい」(40.1%)と「どちらかと言えば、あったほうがよい」(43.6%)をあわせると、中学校の83.7%が学校制服は必要だと回答しています。また、高校においても「あったほうがよい」(40.6%)と「どちらかと言えば、あったほうがよい」(39.7%)をあわせると、80.3%の高校が学校制服は必要だと回答しています。学校制服は必要だと考える教員は、中学校・高校共に多いという結果になりました。

fig_195_02.jpg

【図2】 学校制服はあったほうが良いと思われますか。(単数回答)

3.学校制服に必要だと思うこと

中学校・高校の教員が学校制服に必要だと思う内容は、中学校と高校で大きな違いは見られないものの、中学校では「動きやすさ」(59.9%)、高校では「丈夫さ・耐久性」(60.0%)がトップでした。続いて、「家庭で洗濯できる」(中学校53.0%、高校44.0%)、「着心地・肌触りの良さ」(中学校46.9%、高校47.9%)、「汚れにくい・汚れが目立たない」(中学校37.4%、高校35.0%)、「暑さ寒さに対応して快適である」(中学校38.3%、高校29.3%)など必要とされることは多岐に渡りました。また、性の多様性への配慮として、「性別に関わらず着たい制服が選べる」(中学校25.1%、高校21.3%)、「男女が同じスタイル(ジェンダーレス制服)である」(中学校14.1%、高校8.9%)という回答もみられました。

fig_195_03.jpg

【図3】 学校制服に必要なことは、どのようなことだと思いますか。(複数回答)

近年、性の多様性の観点から女子制服にスラックスを導入する学校や、男子は詰襟(学ラン)、女子はセーラー服というような性別でアイテムを区分するのではなく、男女共通のブレザータイプを採用する学校が増えてきています。また、着用するアイテムを性別で指定せず、生徒自身(本人)が望む制服の着用を許可している学校もあり、学校制服の在り方も変化しています。
今回、全国の中学校・高校の教員1,400人を対象に学校制服の良い点を調べた結果、「毎日の服装に悩まなくていい」(中学校70.9%、高校69.6%)、「経済的である(私服を沢山買わなくていい)」(中学校55.7%、高校50.4%)、「服装による個人差がでなくていい(平等である)」(中学校50.3%、高校42.3%)などの利便性・経済性・平等性などが高く評価され、中学校・高校の約8割が学校制服は必要だと回答していました。そして、その学校制服に必要だと思うことは、「丈夫さ・耐久性」、「動きやすさ」、「家庭で洗濯できる」、「着心地・肌触りの良さ」という回答が半数~約6割という結果になり、制服を着用する生徒自身はもちろん、1着の制服を3年間着続けられる丈夫さや、日頃のお手入れのしやすさで家庭洗濯ができることが支持されました。また、「性別に関わらず着たい制服が選べる」(中学校25.1%、高校21.3%)、「男女が同じスタイル(ジェンダーレス制服)である」(中学校14.1%、高校8.9%)など性の多様性への配慮を必要とする回答もみられました。
学校教育においては、共生社会の形成に向けた「インクルーシブ教育」が取り組まれています。インクルーシブ教育とは、すべての子どもの多様性を尊重し、経済的な格差、性別、障がい、アレルギー、人種、宗教などの個々の違いを包含し、誰一人取り残さない学校教育・環境を目指すことです。この観点からも、インクルーシブユニフォームとしての学校制服の価値が再認識されています。

pdf_b.png 当サイトのPDFをご覧にいただくには、最新のAdobe Readerが必要です。こちらのバナーよりご用意ください。

fig_225_illust.jpg

【Vol.225】学校制服の購入方法の変化

2024.10.29 カンコーホームルーム 新入学準備として制服購入を検討し始める時期になりました。制服の購入方法は、生徒と保護者が学校や販売店などに赴いて、採寸・試着を行う方法が一般的でした。しかし、ここ数年は、インターネットの普及やデジタル化が浸透し、人工知能(AI)技術の発達も加わり、学校制服の採寸や買い方が変化しています。では、最近の制服はどのように購入されているのでしょうか?今回は、中学・高校生の子どもを持つ親1,200人を対象に、デジタル採寸※の認知・利用意向、制服の試着・採寸の必要性、新入学時の制服購入場所の利用意向について調査しました。

fig_224_illust.jpg

【Vol.224】学校行事の変化と意識

2024.09.24 カンコーホームルーム 二学期は、文化祭や運動会・体育祭、遠足・校外学習、職場体験、修学旅行などの学校行事を予定している学校も多いようです。現在、学校では、新型コロナウイルス感染症の位置づけが2023年5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行して1年以上が経過し、学校行事も平常通り行われることが増えています。では、学校行事はコロナ禍※以前と変わらずに行われているのでしょうか?今回は、小学・中学・高校生の子どもを持つ親と小学・中学・高校の教師をあわせた3,000人を対象に、学校行事の変化、コロナ禍のときに中止や自粛になった学校行事、大切だと思う学校行事について調査しました。

  • fig_223_illust.jpg

    【Vol.223】親が思う子どもの夏休みの必要性

    2024.08.27 カンコーホームルーム 8月下旬になると長い夏休みが終わって、通学する子どもの姿を目にするようになります。学校の夏休みは、地域や学校によって開始時期や終了時期、日数には違いがありますが、30日~40日程度の長い期間を夏休みとしている学校が多いようです。では、小中高生の子どもを持つ親は夏休みについて、どのように思っているのでしょうか?今回は、夏休みに入る7月に小学・中学・高校生の子どもを持つ親を対象に、夏休みの必要性とその理由、子どもの夏休みの予定を調査しました。
  • fig_222_illust.jpg

    【Vol.222】制服の成長機能の利用状況

    2024.07.30 カンコーホームルーム 小学校高学年から中学校の期間は、子どもの「成長期」にあたり成長が著しい時期でもあります。このことから中学校の入学時に着ていた制服を秋になって着ようとしたら、小さくなっていて(子どもが成長して大きくなって)着られなくなったということもあるようです。そのようなサイズアウトを少なくするために、成長を予測して入学時には少し大きめの制服を購入したり、『成長機能』※が備わった制服を選んだりするなどの対策があります。では、『成長機能』が付いた制服を利用している中学生はどれほどいるのでしょうか?今回は、高校1年生の子どもを持つ保護者に、中学校でお子様が着用していた制服のタイプ、制服の成長機能の有無と内容、中学校での成長機能の使用状況について調査しました。 ※成長機能とは、成長に対応してサイズアップができる制服の仕様・機能です。
  • fig_221_illust.jpg

    【Vol.221】小学校の制服の有無

    2024.06.25 カンコーホームルーム 文部科学省の「令和5年度学校基本調査(確定値)」によると、小学校は全国に18,980校(私立244校、公立18,669校、国立67校)があります。そのうち制服を採用している小学校は私立校が多い印象から、全国的に制服のある小学校は少ないと思われているようです。では、小学校の制服(標準服を含む)の着用率はどのような状況でしょうか?今回は、全国の中学1年生の保護者を対象に、お子様の通っていた小学校での制服の有無、地域別の状況、小学校の制服の必要有無の理由について調査しました。