2020.05.26 カンコーホームルーム 【Vol.172】「9月入学制の賛否」
学校の新学期のスタートを、4月から9月に変更する「9月入学制」を求める動きが強まっています。新型コロナウイルス感染拡大の影響で休校が長引く中、子どもの学習遅れの打開策として入学式を秋にずらす「9月入学制」案が急浮上していますが、子どもを持つ保護者の方はどのように思っているのでしょうか?今回は、全国の小中高校に通う子どもを持つ保護者1,000人に、現在(2020年5月)の子どもの通学状況、子どもに関する不安、9月入学制の賛否について調査しました。
調査概要
- 調査対象:全国の小中高校生の子どもを持つ保護者 1,000人
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 実施時期:2020年5月
1.子どもの通学状況
2020年5月(39の県での緊急事態宣言の解除前)、子どもの学校への通学状況は、「完全に休校中である(学校に行くことはない)」(61.1%)が6割を超えて、多くの子どもが学校に全く通っていないことがわかります。次に、「登校日を設けて登校している(月に1~2回程度)」(26.9%)、「分散登校をしている(週に数回程度)」(6.5%)など、感染リスク対策を行いながらの登校を行う学校と、「毎日登校している」(4.1%)という学校も少数ですが見られました。
2.子どもに関する不安
子どもに関することで保護者が不安に感じていることは、「学力の低下」(81.2%)が最も多く、次に、「新型コロナウイルスへの感染」(62.9%)、「体力の低下」(61.7%)、「ストレスの増加」(47.4%)、「学校行事など体験機会の低下」(43.6%)、「コミュニケーション力の低下」(42.3%)があげられました。学力以外にも不安は多岐に渡るようです。
3.9月入学制の賛否
学校の始業や入学時期を4月から9月に移行する9月入学制については、「賛成」(33.5%)、「反対」(22.3%)と賛成という回答が反対をやや上回りました。賛成の理由としては、「9月入学制にすれば留学しやすくなると思う」、「授業の遅れが解消できる」というメリットと、反対の理由としては、「教育現場への負担が大きいような気がする」、「日本の企業が4月スタートだから」など、どちらにもメリット・デメリットがあるようです。このことからも、「どちらとも言えない」(44.2%)という回答が多いという結果になりました。
世界を見渡すと、4月入学・新学期を行う国は、日本、インド、ネパール、パキスタンであり、韓国は3月、タイは5月、中国は9月など、アジア圏でも様々です。アメリカ、イギリス、フランスなどの欧米などは、9月などの秋入学が主流であることから、グローバルスタンダードという観点で、日本でも「9月入学制」が検討されています。
今回、全国の小中高校生の子どもを持つ保護者を対象に、緊急事態宣言下における子どもの通学状況を調査したところ、「完全に休校中である(学校に行くことはない)」という回答が6割を超えています。また、感染リスク対策を行いながら「登校日を設けて登校している(月に1~2回程度)」(26.9%)、「分散登校をしている(週に数回程度)」(6.5%)をあわせると、子どもの9割以上が通常の学校生活が出来ていないという状況でした。この状況下において、保護者が子どもに関することで不安に感じていることは、「学力の低下」(81.2%)、「新型コロナウイルスへの感染」(62.9%)、「体力の低下」(61.7%)、「ストレスの増加」(47.4%)、「学校行事など体験機会の低下」(43.6%)、「コミュニケーション力の低下」(42.3%)があげられて、学力以外にも不安に思うことが多くあることがわかりました。では、その不安や課題の解消策として、9月入学制の導入については、「賛成」(33.5%)、「反対」(22.3%)、「どちらとも言えない」(44.2%)という結果になりました。
9月入学制は、勉強や体験機会の遅れを取り戻すとともに、海外などで主流の秋入学に合わせてグローバル化を図れるという利点もあれば、学校や子ども自身の混乱や、社会全体のシステムを見直さなければならないという課題もあります。子どもや社会の未来に向けて何が必要か選択をする時代が訪れています。
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