2017.08.03 先生向けコラム 探究学習をきっかけに、主体的・対話的で深い学びを育む【第1回】

探究型学習を通じて、子どもたちの主体的・対話的で深い学びを育む取り組みを進める東京都の富士見中学高等学校。教育活動の一環として取り組む「キャリア甲子園」を通じて、企業との交流の中で生徒の探究心を育むキャリア教育を実践されています。今回の記事では、全4回に渡って、キャリア甲子園に取り組まれた先生方の想いと、生徒さんたちの成長をご紹介します。第1回は取り組みに関わられた先生から、活動を通して生徒さんたちが成長していった様子について、語っていただきます。

外部のリソースを活用し、企業と交流することで、生徒の探究心を育成


富士見中学高等学校  大関  朝美先生

学校内での教育に加え、生徒が外の世界を知り、社会の仕組みを学べるきっかけを持たせたいと、本校では3年前から「キャリア甲子園」に参加しています。私は昨年度、高校1年生の進路担当者として関わりました。

 本校では、人間味のある生徒、将来社会で活躍できる女性を育てたいという思いから、探究型の学習の導入を進めています。「キャリア甲子園」は課題に対し、事業プランを企画しプレゼンするという探究型学習の要素を含んでいます。更に、このプログラムは、授業の一環として全員が取り組むのではなく、自由参加型の課外活動と位置付けているため、参加した生徒たちは、自分の責任のもとやり遂げねばなりません。夢物語のような企画を実現可能にするため、企業に問い合わせたり、細かく計算したりと試行錯誤を繰り返していました。「企業にアイデアを採用してもらいたい」という高い目標があったからこそ、最後まで積極的に取り組めたと思います。その結果、一次審査の書類選考では、全国で2番目に多い9チームが通過しました。

 「キャリア甲子園」を通じて、主体的な学びやチームワークを学べたことはもちろん、自分のアイデアを他者が納得するように組み立てる「論理的思考」が自然と身についたと感じています。彼女たちは教科で学べる以上の知識を自分たちで発見し、知らず知らずのうちに「主体的・対話的で深い学び」を実践していたと思いますね。

 私たち教員は、なるべく「教えない」というスタンスで臨み、質問されてもアドバイスし過ぎないよう心がけています。生徒は、主催者であるマイナビのスタッフの方々や様々な企業の方々からのアドバイスを受けながら課題に取り組んでいました。こうした外部の方々とのやりとりは、生徒にとって大きな刺激になったようで、一つ一つのアドバイスを真剣に聞き入っている様子が印象的でした。

 「キャリア甲子園」のような外部のプログラムを課外活動に取り入れることで、効果的にキャリア教育に取り組めたと感じています。今回の成果は生徒にとっても、私たち教員にとっても大きな収穫となりました。(取材/中村広正)

◎キャリア甲子園とは

マイナビが2014年より主催する高校生を対象にしたビジネスコンテスト。参加企業等から出題された課題に対し、高校生がチームで事業プランを企画し、プレゼンします。一次審査は書類選考、二次審査はプレゼン動画審査をしてテーマごとに5チームを選出。準決勝で企業等に直接プレゼンし、決勝大会で優勝を争う5チームが選ばれます。



いかがでしたか? 次回以降は、キャリア甲子園に参加された生徒の声をご紹介させていただきます。
【第2回記事を読む】 生徒インタビュー チーム  「ふるふる」 米村 渚 さん
【第3回記事を読む】 生徒インタビュー チーム  「カーボミオシー」 山口 あさ美さん
【第4回記事を読む】 生徒インタビュー チーム  「らーのこ」 菊池 杏里さん

「カンコーは、子どもたちの夢と学びを応援しています」

※本稿は、(一社)カンコー教育ソリューション研究協議会からの業務委託により、菅公学生服株式会社がお届けする学校現場のお悩み解決を目的とした教育関係者様向け情報誌 『カンコータイムズ』 を基に加筆した記事です。

 

探究学習のテーマはどう設定する?興味が湧く面白いテーマ例をご紹介

2023.06.28 先生向けコラム 探究学習の授業計画を立てるにあたって、テーマの設定に悩んでいる先生もいらっしゃると思います。この記事では、探究学習の課題点やテーマ設定のポイントについて解説しています。具体的なテーマ例も挙げていますので、ぜひ授業づくりにお役立てください。

学校広報とは?生徒に選ばれる学校になるために

2023.03.15 先生向けコラム 学校広報は以前より、生徒募集などさまざまな役割があります。 一方、少子化の加速やインターネット・SNSの普及に伴い、学校広報に求められる手法や視点が変化しているのも事実です。今回は、学校広報の「情報発信」についてご紹介します。

  • 部活動地域移行とは。部活動改革のカギを握る“地域移行”の先行事例をご紹介

    2023.02.23 先生向けコラム 長年にわたる学校教育の中で、部活動は重要な位置を占めてきました。また部活動は生徒の体力向上や人間関係の構築にも、大きく貢献してきました。ところが現在、社会の変化に合わせる形で、部活動の在り方が変わりつつあります。その流れに沿ってスポーツ庁や文化庁、文部科学省が中心になり、「部活動改革」の推進が始まり、今後さらに取り組みが進むことが予測されます。 具体的には、部活動の地域移行や、教員の働き方改革が行われることになりますが、こうした取り組みが教育現場にどのような変化をもたらすのでしょうか。部活動改革の概要のほか、先行的に部活動の地域移行に取り組んでいる地域部活動推進事業モデル校の事例も含めてご紹介します。
  • 学校でできるSDGsの取り組みをご紹介。中学生・高校生でもできる取り組み事例

    2023.02.16 先生向けコラム 近年、持続可能な社会の担い手となる子どもたちの学ぶ力を育むため、様々な学校がSDGsを教育に取り入れています。 しかし、SDGsの取り組みで学校でできることは何なのか。学校教育にどのように取り入れたら良いのか悩まれている先生方も多いのではないでしょうか。今回は学校で実際に行われている取り組み事例を8つご紹介します。
  • 探究学習とは?基本から学校事例までご紹介。 どのようなテーマで行っているのか?

    2023.02.01 先生向けコラム 高等学校の新学習指導要領の移行期間が終了し、2022年度から年次進行での実施となりました。多くの学校では既に「総合的な学習の時間」から「総合的な探究の時間」(以下:探究学習)として実施していることと思います。 ここで、改めて探究学習とは何かを解説し、学校での取り組み 事例を紹介いたします。