2017.09.22 キャリア教育 外部リソースを活用して子どもたちの「体験値」を積ませる【第1回】

鹿児島県薩摩川内市の、川島学園れいめい中学校・高等学校。社会変化の中で、子どもたちが実際に何かを「体験できる場」が減少していることを課題と捉え、さまざまな取り組みを導入し生徒たちの体験値を高めています。今回は学校が特に重要視する、「こころ」と「からだ」の鍛錬につながる新たな取り組み「クロスフィット」を全3回に渡ってご紹介します。第1回は、クロスフィット導入を通じて学校が目指すビジョンについて、校長先生に語っていただきます。

クロスフィットで 体力と団結力を育む


れいめい中学校・高等学校 徳留 秀樹 校長

成長過程の子どもたちに「体験値」を積ませるため、キャリア教育の視点でさまざまな取り組みを進めています。その一環としてこの4月から導入したのが「クロスフィット」というフィットネス・プログラム。外部講師としてトレーナーを月に2回招き、中学3年生の全生徒とサッカー部にトレーニングさせています。以前から生徒の体力の二極化が課題でした。部活動で日常的に運動している生徒がいる一方で、登下校も送り迎えで歩くことすら少ない生徒もいます。大学受験を乗り越え、社会に出て生き抜いていくためにも体力づくりとそのための運動習慣は生涯を通して重要になるものです。また、子どもたちを取り巻く環境の変化も課題です。子どもたちを地域全体で育てていく、地域の教育コミュニティーが希薄化しているように感じます。生徒間においても、上級生を敬い、下級生の手本となるような上下関係が大切にされなくなっているようです。

クロスフィットを導入することで、特に普段体を動かさない生徒の体力を上げ、運動習慣を身につけさせたいです。またクロスフィットはコミュニティーを作ってトレーニングするので、団結力を育み、上手な生徒がそうではない生徒を支えてあげる流れが生まれればと期待しています。運動の強度は高く、決して楽なトレーニングではありませんから、その中で切磋琢磨して支え合う精神を身につけてほしいですね。普段接することのない外部の講師と触れ合うことで、礼儀や対応能力も学べます。教員もトレーニングに関わることで、体力づくりについて理解を深めると同時に、トレーナーの指導方法を自身の授業の参考にしてもらいたい。また、基礎練習としてクロスフィットを取り入れているサッカー部では、腿の筋肉が厚くなるなど、すでに成果を実感している生徒がいます。まずは1年後の生徒の成長を記録します。それらのデータで保護者の関心を高め、家庭での食育にもつなげていければと思います。教員にも資格を取得させ、地域の方々を対象とした出前授業などで教育コミュニティーを広げていきたいですね。(取材/大塚恭朗)


クロスフィットとは?

クロスフィットトレーナー 畑瀬 太郎さん
プロフィール:福岡県でクロスフィット博多を経営。平成29年4月より外部講師として月2回学校を訪問、体育と部活指導に携わっている。

 

 

◎プログラムを工夫し、運動の習慣化を目指す

健康な体づくりを目指してアメリカで作られたクロスフィットは、日常生活で使用する筋肉や体の機能性を高めるフィットネス・プログラムです。単にトレーニングを行うだけでなく、食事や睡眠といった生活の質に関しても指導することが多いのが特長。日本での認知度はまだそれほど高くありませんが、リーボックと提携して世界的に広まりつつあり、とりわけアジア各国では急激に浸透してきています。アメリカでは肥満防止という意味合いの強いクロスフィット。日本においては基礎体力と運動能力の向上を目的として取り組まれることが多いです。クロスフィットに取り組むことで、子どもたちの体力・筋力は着実にアップするでしょう。また、お互いの団結力も育まれます。「クロスフィットはコミュニティー」という言葉もあるほどで、グループで一丸となって同じ課題に取り組む中で、多様性を認め合い、上級者が初級者にコーチングするという動きが生まれます。世界のどこに行ってもクロスフィットに取り組んでいるコミュニティーの団結力は強く特に思春期の子どもたちの学校というコミュニティでの取り組みは非常に影響が大きいと感じます。

また、日頃運動習慣のない子どもたちにも飽きずに取り組んでもらうため、プログラムにゲーム性を取り入れるよう工夫しています。生徒同士で触れ合ったり競い合ったりしながら運動を楽しく継続していくことで、生涯にわたる運動習慣を身につけられるよう期待していますね。



いかがでしたか? 次回以降は、クロスフィットを導入された内容について詳しくご紹介させていただきます。
【第2回記事を読む】  【中学3年の体育への導入】 松田 友里香 先生
【第3回記事を読む】  【サッカー部への導入】 沖田 遼太郎 先生

「カンコーは、子どもたちの夢と学びを応援しています」
※本稿は、(一社)カンコー教育ソリューション研究協議会からの業務委託により、菅公学生服株式会社がお届けする学校現場のお悩み解決を目的とした教育関係者様向け情報誌 『カンコータイムズ』 を基に加筆した記事です。