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2022.03.22 プレスリリース 全国の公立中学校へ「LGBTQの生徒への配慮」を調査 自認する性の制服・体操服着用を認めている学校は約3割 カンコー学生工学研究所がレポートを公開


菅公学生服株式会社 (本社:岡山市北区駅元町、代表取締役社長:尾﨑 茂 以下:菅公学生服)の独自研究機関、カンコー学生工学研究所(以下:研究所)は全国の公立中学校を対象に、LGBTQ(※)の生徒への配慮を尋ねるアンケートを実施し、調査レポートをまとめました。研究所では、「カラダ・ココロ・時代・学び」の4つの視点で学生を見つめ、調査・研究、商品・サービスの開発を行っております。LGBTQ・性の多様性に関しても、従来より調査・研究を行っており、教職員の方より多くのお問い合わせがありました。本レポートは、LGBTQの生徒への配慮や授業での取り組み状況、サポート体制などを調査し、学校教育をはじめ、広く社会で活用していただくために、菅公学生服の公式サイトにて無料ダウンロードしていただくことができます。

※ 性的マイノリティ、LGBTQに属さないという考えをお持ちの方もいらっしゃいます。本リリースでは性の多様性をLGBTQと表記することをご了承ください。

 

■調査サマリー
・LGBTQの生徒への配慮は制服デザインの変更や女子スラックス()の導入など「制服」に関してが42.2%で最多
・服装規定に関しては、自認する性別の制服や体操服を規定とし認めている学校は31.9
・LGBTQの生徒のへの配慮で、半数以上の学校が制服のデザインの見直し・変更をする方向で動いている
・LGBTQ・性の多様性について授業で取り組んでいる、取り組む予定の学校は76.0
・LGBTQの生徒へのサポート体制について、チームや体制が整備されていると回答したのは、49.9

※女子の体型の特徴に合わせて設計したスラックス

 

■まとめ、見解
昨今、生徒たちの「多様性」について頻繁に語られる中、特に「性の多様性」を知るために、研究所ではLGBTQの当事者や専門家、学校関係者の声を聞いてきました。その声を多くの方に届けると同時に、生徒たちにとって制服がどうあるべきかを考え、商品・サービスの開発を行ってきました。 その一環として、全国の公立中学校の先生を対象に調査を実施しました。今回の調査では、全国の公立中学校1,194校が回答し、その中でも76.0%の学校がLGBTQの多様性について授業で取り組み済み・取り組み予定と回答し、関心の高さが伺えました。
具体的な配慮については、「制服」や「服装」に関して実施している学校が4割以上あり、約3割の学校が服装規定として「自認する性別の制服・体操服の着用を認めている」と回答しています。学校全体で性の多様性を認め合う環境づくりに取り組んでいることが分かります。
2019年に研究所が行ったLGBTQ当事者への調査(※)でも、学校生活で困ったことについて「制服・体操服及びその校則」が最も多かったことを踏まえると、当事者の困りごとの実態に対する配慮が進んできていると考えられます。すでに半数以上の学校が制服デザインの見直し・変更をする方向で動いていることも注目すべき点です。また、サポート体制についても、約半数の学校がチームや体制が整備されていると回答し、臨機応変に対応されていることが分かりました。
LGBTQの生徒への配慮に関しては、 文部科学省の「学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査について」(2014年6月公表)では、主に配慮は個別にしているものとして記載があり、また、同省の 「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等について」(2015年4月通知)では、支援体制や学校生活の各場面での支援などが通知され、その実施が促されました。前述の通知より約6年が経過し、今回の研究所の調査では、個別の配慮から学校全体でLGBTQの当事者生徒がいる、いないに関わらず取り組みが広がっていることが分かり、大きな変化だと感じています。

※:2019年、カンコー学生工学研究所「多様な性のあり方と学校制服に関する調査」
https://kanko-gakuseifuku.co.jp/sensei-yell/dl_lgbtq_search

 

■調査レポート
制服におけるLGBTQの生徒への配慮とこれからの制服に求める役割・機能性に関するアンケート調査レポート

■調査概要
〇期間:2021年8月1日~8月31日
〇方法:郵送にて送付
〇返信方法:郵送、FAX、WEBフォーム
〇調査機関:カンコー学生工学研究所  https://kanko-gakuseifuku.co.jp/lab/contents/lgbtq_7/
〇回答数:全国の公立中学校 1,194校

 

調査結果

Q1.LGBTQの生徒への配慮として、どのような取り組みをされていますか?(複数回答)
●「制服」(42.2%)や「服装」(41.1%)などの服装に関する配慮が最も多く、次いで「トイレ」(25.4%)「更衣室」(24.3%)などの設備に関する配慮が多い。

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Q.LGBTQの生徒への配慮として、どのような服装規定を定めていますか?(複数回答)
●「自認する性別の制服・体操服の着用」(31.9%)や「衣替えの期間の見直し」(19.4%)など、現行制服の規定内で柔軟に対応している場合が多い。

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Q.LGBTQの生徒への取り組みで、制服デザインの見直し・変更を考えていますか? (単数回答)
●LGBTQの生徒への取り組みとして制服デザインの「見直し・変更済み」「見直し・変更を行っている途中」もしくは「見直し・変更の予定がある」を選択した学校は、合わせて50%以上を占める。

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Q.LGBTQを含む、性の多様性について授業で取り組まれていますか? (単数回答
●授業で性の多様性について「すでに取り組んでいる」(44.7%)「これから取り組む予定」(31.3%)と回答した学校は、合わせて76%を占める。

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Q.LGBTQの生徒への配慮について、当事者の生徒への対応はどのような対応をしていますか? (単数回答)
●担当者、チーム体制が整備されている学校の割合はおおよそ半数であり、多くの学校で体制の整備が進みつつある。

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■「制服におけるLGBTQの生徒への配慮とこれからの制服に求める役割・機能性に関するアンケート調査レポート」公開にあたり

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カンコー学生工学研究所 未来創造チーム 松田 紗季
全ての子どもたちが心身ともに快適に着用できる制服を目指す中で、多様な性のあり方に関しては、2015年の文部科学省による「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等について」の通知をきっかけに力を入れて取り組んでいます。
セクシュアルマイノリティ当事者の方の声を大切にしたいという考えから、GID(性同一性障害)学会にブース出展を行い話を伺ったり、当事者団体にアンケートを依頼したり、制服や学校環境に対する意見や思いを聴いてきました。また、当事者の方だけでなく、生徒や先生を対象にした調査も行い、さまざまな角度から研究を続けています。
今回の調査は、先生方から他の学校の状況や取り組み事例を教えて欲しいという要望をたくさんいただいていたことから、実施に至りました。一人でも多くの子どもたちが、学校で、そして制服を着用して笑顔で楽しい学校生活を送ることのできる一助となればうれしいです。
今後もLGBTQ・性の多様性のみならず、さまざまな社会課題や学校課題に着目し、世の中に広く貢献できる調査・研究を実施し、商品・サービスの開発に繋げていきたいと考えています。

 

■これまでのアンケート調査レポート・報告書
〇多様なセクシャリティを認め合う学校環境のために
概要:LGBTQ当事者を対象とした調査

〇多様なセクシャリティを認め合う学校環境のために Vol.2
概要:中学生・高校生の生徒を対象とした調査

〇制服におけるLGBTQの生徒への配慮とこれからの制服に求める役割・機能性に関するアンケート調査レポート
概要:本リリース内容、公立中学校を対象とした

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■カンコー学生工学研究所とは
子どもたちを「カラダ」「ココロ」「時代」「学び」の4つの視点で見つめるカンコーの「学生工学」という考え方。
この考えのもと基礎研究を行い、時代性、子どもたちの成長、嗜好などを調査し、新たな価値を創出することが私たちカンコー学生工学研究所の使命です。
また社外にも門戸を開き、思いを共にする企業や研究機関と共創することでこれからの活動をさらに深め、学生たちや保護者の方々、学校・地域社会の皆さまが求める 「学生にとって本当に価値あるもの」を創出していきます。そして、その先にある安心で快適な学生生活の実現を目指します。

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■菅公学生服株式会社
1854年(安政元年)創業。学校制服・体操服に代表される「ものづくり」と子どもたちが未来を生きるために必要な力を育む「ひとづくり」を通じて、子どもたちと学校を取り巻くさまざまな社会課題を解決するスクールソリューションカンパニー。