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2024.04.25 プレスリリース 『菅公学生服創業170周年記念 制服の思い出エピソードコンテスト』全国の10代~80代の方から1,168点の応募、入賞作品10点を発表


菅公学生服株式会社 (本社:岡山市北区駅元町、代表取締役社長:尾﨑 茂 以下:カンコー学生服)は、『菅公学生服創業170周年記念 制服の思い出エピソードコンテスト』を実施し、応募総数1,168点の中から入賞作品10点を決定しました。作品の全文を、特設サイトに掲載しています。
特設サイト:https://kanko-gakuseifuku.co.jp/170th/memories

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カンコー学生服は170周年を記念して、学校制服に長年携わってきた企業として、多くの方が制服について思いを馳せ、大切な何かを思い出したり、誰かと語り合ったりするきっかけを作れないかと考え、2024年1月23日(火)から3月21日(木)にかけて「制服の思い出エピソード」を募集しました。

全国の10代から80代という幅広い世代からご応募いただいたエピソードは1,168点に上り、事務局の厳正な審査の結果、最優秀賞1点、優秀賞2点、入選7点の合計10点を入賞として選出いたしました。当初、入選は3点を予定していましたが、素晴らしいエピソードが多かったため、7点を選出しております。入賞者には、最大10万円分の図書カードや、ミニチュア制服の製作、懐かしいホーロー看板の復刻デザイン缶などを贈呈いたします。

入賞作品全文は、特設サイトで公開しております。公開にあたり、イラストレーター「せき やよい」さんに、エピソードに合わせたイラストを描いていただきました。また、入賞作品に限らず、多くの方に伝えていきたいエピソードを、今後、冊子やSNSでも発信していきます。

事務局では、すべてのエピソードを一つ一つ読ませていただきました。読むにつれ、制服が多くの方々の思い出と共にある特別な服なのだと改めて実感する機会となりました。制服の意義や存在価値について私たち自身が教えていただいたような気持ちでいっぱいです。作品を応募してくださった皆さまに心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

これからも、カンコー学生服は、スクールユニフォーム文化の在り方を提唱し、夢や思い出、そして仲間の大切さを伝えてまいります。

◆『制服の思い出エピソードコンテスト』最終結果発表

特設サイト:https://kanko-gakuseifuku.co.jp/170th/memories

【最優秀賞】
 『同じ高校に行けなかった親友との思い出』 あやか さん (23歳)

 私には小学校入学時から仲のいい親友がいます。中学卒業までずっと一緒に登校し、喧嘩もしたことがありません。そんな親友と気まずくなってしまったのは、私が高校受験に失敗した時でした。私と親友は同じ公立高校を目指し、共に勉強に励みました。そして親友はその高校に受かり、私だけが落ちてしまったのです。
 元から優しくて気遣いしいの親友は、自分だけ受かってしまったという罪悪感からか私に話しかけることができなくなり、私の方も落ちたショックで自分から話しかけることができず、距離ができてしまいました。
 私は滑り止めで受けていた私立の高校へ進学しました。その高校は制服が可愛いことで有名でした。入学からしばらくして高校にも馴染み始めてきた頃、親友から明日の放課後会えないかと連絡がありました。自分が行けなかった高校で、充実した日々を送っているであろう親友と会うのはしんどいと思いましたが、いつまでもそんなことを言っていてはいけないという思いもあり、私はその誘いを受けました。
 次の日の放課後、お互いの高校の制服姿で私たちは久しぶりに再会しました。気まずい雰囲気が漂う中、親友は泣きそうな笑顔で私に言いました。
「制服、すごく可愛い。あやかちゃんなら絶対似合うと思ったから、ずっと見たかった。」
 その言葉を聞いて、ずっと私のことを気遣っていてくれた親友の気持ちに気づき、涙が止まらなくなりました。それを見た親友も泣き出し、そしてお互いの顔を見合わせて今度は2人で笑い合いました。私は、
「着てみる?」
と聞き、頷いた親友と一緒にゲームセンターへ向かい、制服交換をしてプリクラ※を撮りました。
 その後もその親友とは仲良く交流が続いています。あの時の制服交換のことは、今でも学生時代の思い出として残っています。

※プリクラは普通名称ではなく株式会社セガの登録商標です

最優秀賞 同じ高校に行けなかった親友との思い出.jpeg
 

<審査コメント>
小学校からの親友同士が、高校受験を機に距離ができたものの再び友情を紡ぐエピソードに心を動かされました。読んでいるこちらも二人の間に生じたわだかまりに胸がつまり、親友の言葉からお互いの気持ちが通じ合ったシーンでは泣きそうになり、読み終えたときには心温まるような笑顔になりました。読み進めながら自然と一喜一憂するほど引き込まれてしまいました。仲直りできて本当によかった。制服がそのきっかけになったことも心からうれしく感じました。学校制服と共にある、色褪せない思い出をありがとうございました。
 

【優秀賞】
『心の傷』 金子美知子 さん (73歳)

 学校を出る時、空が暗くなり始めた。
「雨、降りそうね。」と友人。二人で急ぎ足。家まであと一息の所で雨にぬれた。
 アイロンのコードをコンセントに差し込んでから着替え、当て布もせずに制服にアイロンを当てた。ジュッと音がして湯気が上がった。焦げ臭い。あわててアイロンを持ち上げたら、先っぽに制服の生地が貼りついている。制服の襟に近い部分にピンボン玉ぐらいの穴が空いた。
 「あぁーッ!」
と思わず叫んだ。母が飛んで来た。制服の穴を見て
 「どうして物を大切にしないの? もう一着買う余裕なんてないんだから。」
 と、火を吹くように怒る。私は謝るより先に
「誰も買ってほしいなんて言ってない!」
と反発した。
「じゃ、買ってあげない。」
と母。
 私は母の裁縫箱から制服の生地に一番近い端切れを探して継ぎを当てた。手先が不器用な私は上手に繕うことができない。ちょっと目立つ。制服のスカーフネクタイで隠す工夫をした。その継ぎ跡は心の傷だ。アイロンがジュッとなった瞬間、とても後悔したし反省した。それなのに母は私の傷口に塩を塗ったのだ。だから謝らない。人は見た目じゃない。学生の本分は勉強だと自分に言い聞かせる。
 制服の継ぎを隠しながら中2の3学期が終わった。春には修学旅行がある。あの制服で行くのかと悩む毎日。そんな時、
「お姉ちゃんがキツいって着てない制服、よかったら着てくれない?」
と、級友が遠慮がちに声をかけてくれた。私はうれしくて涙が出た。
 数年前、同窓会で友人に改めて制服のお礼を言った。彼女はいたずらっぽい笑みを浮かべる。
「あれはね、あなたのお母さんに頼まれたお芝居よ。」
 私は返す言葉が見つからなかった。謝りたい母はもういない。
 

優秀賞 心の傷.jpeg
 

<審査コメント>
どこか「心の傷」として残っていた制服にまつわる想いが、時を越えて変化したと感じられるエピソードでした。継ぎのある制服ではなく、きれいな制服を着せてあげたいという母の思いと密かな行動。何十年もあとになって知らされた真実に私たちも驚き、胸がいっぱいになりました。お母さまに伝えることができなかった思いを、今回ご応募いただいたことをうれしく思います。切なくも愛の溢れるエピソードをありがとうございました。


【優秀賞】
『宝箱』 美浜れい さん (28歳)

 社会人になり一人暮らしをしながら働いている私は、年に数回実家に帰省する。自分の部屋のドアを開けて一番最初に目に入るのは卒業後も大事に飾っている高校生の時に着ていた制服だ。今思えば、この制服との出会いがなければ今の私はなかっただろう。
 当時中学3年生の私は、何かに本気で取り組む事とは無縁で、毎日それなりに楽しければいいと思いながら過ごしていた。
 そんなある日、友達に、
「お姉ちゃんが通っている高校で文化祭があるから見学ついでに遊びに行こう。」
と誘われて一緒に行くことになった。
 そして当日、緑を基調としたセーラー服に、私の目は吸い寄せられた。「アニメとか漫画の制服みたい。」「しかも冬服も可愛い。」「どうしてもこの制服を着たい。」、周りが文化祭を楽しんでいる中、私はそのことで頭がいっぱいだった。しかしその高校は県内屈指の進学校。学校の先生や両親には他の高校をすすめられた。当然だ。自慢ではないが、当時の私は、128人いる同級生の中で100番以内に入ったこともないほどに勉強が苦手だった。しかし、私は諦めなかった。両親に相談し学習塾に通わせてもらい、学校のある日は最低でも6時間以上、ない日は10時間以上勉強した。辛いときは友達のお姉ちゃんに頼んで撮らせてもらった制服の写真を見て心を奮い立たせた。
 そうして半年があっという間に過ぎ、私はその高校に合格することができた。掲示板にある自分の受験番号を見つけた瞬間、自然と涙が出たあの日を今でも鮮明に覚えている。その後の制服採寸の際にも嬉しくて涙を流してしまい店員さんを困らせてしまった事は今では笑い話だ。
 何かに本気で取り組むことに縁のなかった私を変えてくれた憧れの制服。その制服に袖を通し、本気で色々なことに挑戦し、友達と笑い合い、恋もした。時には悔しい思いもしたが、その全てが私の宝物だ。そしてたくさんの宝物が詰まっている私の制服は、私の「宝箱」だ。

優秀賞 宝箱.jpeg

 <審査コメント>
制服が、ある時は一目ぼれの相手、ある時は勉強の応援団、ある時はパートナー、卒業後の今は、宝物が詰まった宝箱だと表現されていました。関わり方が変化しながらも、制服が特別な存在であり続けているのだということがひしひしと伝わってきました。制服がそれほどまでに誰かの心を動かし、人生に影響を与えることがあるのだと知り、とても印象に残ったエピソードです。私たちは、これからも誰かの人生の宝物となるような制服を、より思いを込めて作り続けたいと感じました。素敵なエピソードをありがとうございました。

【入賞】
『制服ごしの温もり』 宮岡 隼都 さん (16歳)
『ひっそりとした自慢』 うめ さん (43歳)
『受け継ぐべきもの』 みかん さん (35歳)
『セーラー服のお姉さん』 猫母 さん (63歳)
『汚れた制服』 だ さん (18歳)
『制服を着られなかった姉』 しぃちゃん さん (21歳)
『みじめな制服』 松浦 かおり さん (58歳)

 

◆『制服の思い出エピソードコンテスト』概要

【テーマ】
思い出に残る制服のエピソード(800文字以内の文章)

【募集期間】
2024年1月23日(火)~2024年3月21日(木)

【応募資格】
不問

【応募方法】
・WEBフォーム、郵送

【選考方法】
菅公学生服株式会社内「制服の思い出エピソード」事務局で、「特に多くに人に伝えていきたい」と感じるエピソードを選定

【賞・賞品】
・最優秀賞(1名):図書カード10万円分+ミニチュア制服上下1着分作製+オリジナル菅公缶 
・優秀賞(2名):図書カード3万円分+オリジナル菅公缶
・入選(7名):図書カード1万円分+オリジナル菅公缶

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◆イラストレーター紹介

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せき やよい

宮崎県出身。ストーリーを感じられる人物描写や日常に寄り添うあたたかみのあるイラストを描き、挿絵、装画、広告、ループアニメーションなど、幅広く制作している。

Instagram:sk_yayoi03

 

 

 

◆「制服の思い出エピソード」事務局コメント

初めての試みで、どれほどのご応募があるかドキドキしながらスタートした『制服の思い出エピソードコンテスト』でしたが、予想以上にたくさんのご応募をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。
募集期間中、届いたエピソードを読むことが楽しみでした。笑ったり、涙したり、驚いたり、感心したり、心を揺さぶられる毎日でした。私たちがいつも自問自答している「制服の価値や存在意義とは何か?」をありとあらゆる形で教えていただき、制服へのファンレターをいただいているような気持ちになっていました。制服はただの服ではない、さまざまな思いをのせ、思いをつなぐ特別な服なのだと改めて気づくことができました。
入賞作品を選定することはとても難しい作業でしたが、「みんなに伝えたい」と強く感じた作品を選ばせていただきました。制服が、その人の人生や生き方にまで影響を与えていると感じさせるエピソードです。
募集期間を終え、エピソードが届かなくなった毎日に少し寂しさを覚えていますが、今回届いた1,168もの素敵なエピソードを、できるだけ多くの方に届けていきたいと思っています。この度は本当にありがとうございました。

◆制服の思い出エピソード紹介 Xアカウント

https://twitter.com/kanko_memories

◆創業170周年記念サイト

https://kanko-gakuseifuku.co.jp/170th/