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LGBTQと学校制服|新入社員コラム

2021入社 山下 純平 (やました じゅんぺい)
  1. 1.はじめに
  2. 2.性的マイノリティと学校制服 
  3. 3.LGBTQのこれから

1.はじめに

初めまして21卒新入社員の山下純平(やました じゅんぺい)と申します。 今回、この場をお借りして「LGBTQ(性的マイノリティ)」と「学校制服」について、私なりの考えをお伝えしたいと思います。私は、「一度きりの自分の人生、自分が生きたいように生きればいい」「なぜ人の生き方に他人が干渉するのだろう」という想いをずっと抱いています。しかし、そうは言っても社会には見えない壁が存在したり、マイノリティから外れた行動や生き方をすれば白い目で見られるといったことも多くあります。私の想いをさらに深めていきたい、行動にしていきたいと考え、大学では「日本で暮らす外国人」や「性的マイノリティ」といった、マイノリティの方々の苦悩や考え方について学びました。その中でも「性的マイノリティ」について学びを進めていると、今まで気付かなかっただけで、どこかで自分もマイノリティの存在になっているのではないかと感じました。そこで「自分とマイノリティとされている方は一体何が違うのか」というところからどんどん惹き込まれました。大学の卒業論文でも「性的マイノリティと学校制服」というテーマの下、執筆し完成させました。今回は、これまでの学びから本テーマについての考えを述べていきたいと思います。 

2.性的マイノリティと学校制服 

近年では「LGBTQと制服」について、テレビや新聞などで多く取り上げられるようになったと感じています。「LGBTQ」と言っても「T(トランスジェンダー)」の方が、この問題に直面しやすいのですが、「LGBTQ」というワードは、性的マイノリティの方を表す総称として使われることが多いですので、言葉の扱い方に関しては問題ないと考えています。さて、本題なのですが、LGBTQの生徒への制服の対応として「女子スラックス」の導入が活発になってきています。近年では、女性のスーツでもパンツスタイルが浸透していることを考えると、今後女子スラックスの導入校数は増加していく傾向にあると考えます。ここで問題になってくることが、「女子スラックスを導入すればそれで解決するのか」ということでです。学校の制服がブレザーであれば大丈夫なのかもしれませんが、着丈の短いセーラーでは見た目の面で少し難しいかもしれません。学校の伝統を継承しつつも新しいものを取り入れることは、非常に困難なことだと新入社員の何も分かっていない身でも感じるところです。現在は、ブレザー化や女子スラックス、女子のネクタイ・リボンの選択可、男女同柄など、詰襟やセーラーのような「男・女」の区別がはっきりしているものよりも、「男・女」の区別を少なくしていくことが取り組みとして多く見られます。「そもそも制服をなくし、私服登校にすれば、性的マイノリティの方の制服問題は解決するのではないか」という意見もあり、それも非常に重要な見方だと思うのですが、親や学校周辺の地域住民、学校の先生、そして子どもたちにとっても「制服」の必要性は高く、また「学校で着用する服=制服」という長年の日本の文化により、制服を廃止することへの抵抗感が潜在的に意識の中にあるのではないかとも考えます。だからこそ、性的マイノリティの方の考え方も取り入れた制服作りが重要であり、現在でも様々な意見を制服に落とし込んで、新たなデザインを考えていかなければなりません。ちなみに私は、このような取り組みに努めたく菅公学生服に入社をしました。 

3.LGBTQのこれから

これからは「SOGI」という考え方が重要になってくると考えます。「SOGI」とは、Sexual Orientation and Gender Identityの頭文字を取ったものです。Sexual Orientationとは、性的指向(好きになる性)を表し、Gender Identityとは、性自認(心の性)を表しています。性的指向・性自認がそれぞれ「男性なのか」「女性なのか」「どちらでもないのか」「わからないのか」「決めていないのか」、つまりSOGIはマイノリティとマジョリティといった区別のない考え方で、LGBTQに代わる言葉ではなく、新たな考え方になります。この考え方を応用させて、制服で考えてみると、「男子だから」「女子だから」「性的マイノリティだから」という制服の選び方ではなく、学校で指定制服があるのであれば、その中で「誰がどういった制服を選ぶのかは自由」という環境になればと考えています。しかしながら、そう簡単にはいかない理由を二つ述べていきます。一点目は、「男子生徒のスカート着用」についてです。日本の文化の中で、女性はズボンもスカートも着用することが一般的ですが、男性がスカートを着用することは一般的だとは言えないと考えます。学生服企業として、学校に男子生徒用のスカートを提案することは可能だと思いますが、それで問題が解決するのかと言われれば、そうではないと考えます。二点目は、「ブレザー化の加速」です。ブレザー化が進むことが良いことだという考え方もありますが、子どもたちの中には「女の子らしいセーラー服が着たい」「男の子らしい詰襟が着たい」という意見もあります。そういった意見も尊重しながら考えていかなければならないと思います。「詰襟・セーラー」や「ブレザー」とは違った、新たなデザインやシルエットを考える必要があるのではないかとも考えています。まだまだ道のりは長いと思いますが、意志を持って学生服企業に入社したからには是非取り組んでいきたいと思います。 
<作成者>
山下 純平 (やました じゅんぺい)
関西大学 文学部 総合人文学科 教育文化専修出身
大学ではジェンダーや教育社会学について学びました。
趣味は好きなアーティストのライブ映像を観ることです。
※当該記事は2021年7月に作成しております。