LGBTQの方々の

LGBTQの方々の
学生時代の悩みを聴く。

2019.10.21

学生たちの多様性に対応して制服をつくる。

カンコー学生工学研究所では学生たちを「カラダ」「ココロ」「時代」「学び」の4つの視点で見つめ、新たな価値を創造しています。その中で、国籍・障がい・アレルギー・体型・成長など多様な学生たちにとって快適な制服づくりを目指し、実践してきました。
そして近年、研究開発を行う過程の中でLGBTQ(図1)に関わる方の声を聞くようになり、特にトランスジェンダーと呼ばれる自身の性別に違和を感じている方々が制服を着ることに対して悩みを抱えてきたことを知りました。

図1
LGBTQとは
  • L
    (レズビアン)

    女性の同性愛者(心の性が女性で恋愛対象も女性)

  • G
    (ゲイ)

    男性の同性愛者(心の性が男性で恋愛対象も男性)

  • B
    (バイセクシュアル)

    両性愛者(恋愛対象が女性にも男性にも向いている)

  • T
    (トランスジェンダー)

    「身体の性」と「心の性」が一致しないため「身体の性」に違和を持つ人

  • Q
    (クエスチョニング 、クィア)

    自分の性別がわからない人、性別を決めたくない人など

* 性的マイノリティ、LGBTQに属さないという考えをお持ちの方もいらっしゃいます。本サイトでは性の多様性をLGBTQと表記することをご了承ください。
参考資料:法務省人権擁護局サイト「多様な性について考えよう!」

LGBTQに対する社会と研究所の取り組み。

2018年に、電通ダイバーシティ・ラボが20~59歳の方を対象に行ったインターネット調査によると、日本のLGBTの方々の割合は8.9%というデータが出ています。これは仮に30人のクラスに置き換えると、クラスの中の2 〜3人が性に関する悩みを抱えていることになります。教育現場においては、2016年教職員向けに文部科学省より「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について」という周知資料が発表されています。それを受け、各学校では、服装、髪型、トイレなど対応の幅を広げています(図2)
そのような社会の動きに合わせて、カンコー学生工学研究所では2016年から、トランスジェンダーの方々を考慮した制服を提案するなど試行錯誤しながら取り組んでいます。

図2
性同一性障害に係る児童生徒に対する学校における支援の事例
項目 学校における支援の事例
服装 自認する性別の制服・衣服や、体操着の着用を認める
髪型 標準より長い髪型を一定の範囲で認める(戸籍上男性)
更衣室 保健室・多目的トイレ等の利用を認める
トイレ 職員トイレ・多目的トイレの利用を認める
呼称の工夫 校内文書(通知表を含む)を児童生徒が希望する呼称で記す
自認する性別として名簿上扱う
授業 体育又は保健体育において別メニューを設定する
水泳 上半身が隠れる水着の着用を認める(戸籍上男性)
補習として別日に実施、又はレポート提出で代替する
運動部の活動 自認する性別に係る活動への参加を認める
修学旅行等 1人部屋の使用を認める
入浴時間をずらす

2016年文部科学省発表「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、 児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について (教職員向け)」より引用

対話を重ねることの重要性。

私たちに何ができるのか考えを巡らせる中で、まずは当事者の声を聞きたいと考え、2019年のGID(性同一性障害)学会に参加しました。
そこで当事者の方に様々なアンケート(図3〜5)にご協力をいただいた結果、自身の性別に違和を感じた年齢は、40%の方が「小学校入学前」、82.2%の方が「中学校入学前まで」ということがわかり、多くの方が制服を着用し始める中学校入学前に性別に違和を感じていることに改めて気づきました。
また、「学生時代、自認の性の制服を着ることができなかったのが嫌だった一方で、制服には強い憧れがあった」「制服の前合わせが左前か右前のどちらがいいかということではなく、どちらかを自由に自分で決められる選択肢がほしい」などの話を伺うことができました。その他にも、自認する性の制服が着用できなくても、性差が出にくいカーディガンなどの着用やリボンやネクタイが選べるというように、選択肢がひとつ増えるだけで気持ちが楽になるなど、様々な実態が浮かび上がってきました。

調査データ
当事者の方への学校制服等に関する意識調査

図3
性別に違和を感じられたのはいつ頃ですか?(単数回答)
  • ・中学校入学前に約8割の方が性別に違和を感じている。

* グラフの数字は、小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。

図4
着たい(着たかったもの)制服アイテム・デザインは何ですか?(複数回答)
  • ・FtMの方は、ブレザー、ネクタイ、詰襟、スラックスの着用意向が高い。
  • ・MtFの方は、セーラー服、スカート、リボンの割合が多い。
図5
着たくない(着たくなかった) 制服アイテム・デザインは何ですか?(複数回答)
  • ・FtMの方は、セーラー、スカート、リボンの着用したくない割合が多い。
  • ・MtFの方は、詰襟、スラックス、ネクタイが多い。
  • MtF

    身体は男性で心は女性の方

  • FtM

    身体は女性で心は男性の方

  • MtX

    身体は男性で心は女性でも男性でもいずれの性別でもないと自認している方

  • FtX

    身体は女性で心は男性でも女性でもいずれの性別でもないと自認している方

*本サイトでは上記の定義としていますが、X(Xジェンダー)に関してはこの限りでないことをご了承ください。

アンケートの自由記述より抜粋

  • ・学生当時、性別違和には気づいていなかったが、強く女子(現在の自認の性)の制服にあこがれていました。 (MtF)

  • ・毎日ジャージが良かった。 (MtF)

  • ・性を自認したのが、中学校前くらいだった。それまで違和はあってもそこまで強いものではなかった。 (MtF)

  • ・自認の性の制服を着たかったが、学校で浮くのは嫌だった(カミングアウトしてないため)。 (FtM)

  • ・制服そのものが嫌い。せめて自由度を上げて欲しかったし、防寒など機能性を。 (FtX)

資料:カンコー学生工学研究所 2019年 GID学会参加の当事者47人(10代〜60代)調査実施

声を集め、声を届ける活動を開始。

アンケート調査や対話を通して皆さんのご意見をお伺いすることで、「性の多様性に応じた制服」に求められることが少しずつわかってきました。また、声を届ける活動もスタートしました。その活動の1つとして、男性として生まれ現在は俳優・講師として活躍される西原さつきさんと一緒にセミナーを開催し、多様な性について考える機会を提供しています。
声を集め、声を届け、LGBTQへの見識を広める活動を通して、カンコー学生工学研究所はすべての学生が自分らしく生きることを応援します。そして、より居心地の良い環境づくりのために、学校関係者やLGBTQの方々と一緒に、制服づくりの枠を超えて、様々な形で取り組んでいきたいと考えています。
次回は、西原さつきさんにインタビューを行い、トランスジェンダーの立場からご意見をお伺いしたいと思います。

西原さつき

俳優・講師。男子として生まれるが幼少期から強い性別違和を覚え 16歳からホルモン治療を開始。タイにてSRS(性別適合手術)後、トランスジェンダーの世界大会「Miss International Queen 2015」にて特別賞を受賞。NHKドラマ「女子的生活」トランスジェンダー指導。

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