ジェンダーレス制服導入校の声を聴く

ジェンダーレス制服導入校の声を聴く
~アンケート調査結果報告~

2025.10.10

学生服メーカーであるカンコーは、椙山女学園大学の内藤章江准教授(調査当時はお茶の水女子大学所属)の「中学校における学校制服の選択・着装の変化」についての研究に調査協力をしています。今回は第一報として、まず、多様性に配慮した制服変更を検討した全国の中学校を対象に、学校制服の変更・追加導入(女子向けスラックスの導入含む)後の着用実態と導入効果についての調査報告書を紹介いたします。

椙山女学園大学 生活科学部 生活環境デザイン学科 准教授

内藤 章江(ないとう あきえ)

2008年よりお茶の水女子大学 リーダーシップ養成教育研究センター、グローバルリーダーシップ研究所 特任講師
を経て、2025年4月より椙山女学園大学生活科学部 生活環境デザイン学科 准教授に着任。
博士(学術)。専門分野は被服心理学、被服意匠・色彩学。
衣服・着用者・着用場面の相互関係が着用者自身や周囲に与える心理的・生理的影響に関する研究に取り組み、
近年(2020~2022年度)では、愛知県一宮市「みんなの制服プロジェクト」委員会 委員長として
市内中学校の新制服導入の取り組みに従事。
著書に「装いの心理と行動」(共著)、「生活の色彩学」(共著)などがある。

調査の概要

【調査対象】2018~2023年に制服変更を検討した中学校 2,027校
【調査方法】Googleフォーム質問紙調査(WEB調査)
【調査期間】2023年12月~2024年1月
【有効回答数】441/2,027校(有効回答率:21.8%)

導入している学校制服と着用状態

図1

本図は「女子向けスラックス」導入前後における男子・女子生徒の制服について回答割合を表示していますが、
「女子向けスラックス」の導入は検討したものの、導入に至らなかった学校、回答が不明瞭な学校が含まれていたため、
「女子向けスラックス」導入後の<女子制服>の「スラックス」の項目は100%ではなく81.6%となっています。

図2
図3
図4

学校制服の変更・追加導入による期待と効果

図5
図6
図7

調査報告書は、学校教育をはじめ、広く社会で活用していただくために、調査にご協力いただいた学校、ご要望のあった学校・教育関係者などに配布をさせていただきました。また、繊維製品消費科学会誌2025年3月号へ本研究論文が掲載※1されましたので、調査結果のより深い分析・考察についてご興味のある方は、論文が閲覧できるプラットフォームJ-STAGEにて「多様性を配慮した学校制服の導入効果」でぜひご覧ください。

※1.内藤章江,川井正則,安木綾乃;多様性を配慮した学校制服の導入効果-女子向けスラックスの導入が及ぼす影響-,繊消誌,66(3):156-165(2025)

 

(カンコー学生工学研究所 安木)
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