触覚過敏や敏感肌・アトピーなどで制服が着られず困っている子どもたちの「みんなと同じ制服が着たい」という願いを叶えるための研究を始めて4年が経ちました。
まずは当事者の方からいただいたご意見を取り入れながら、一番肌に近いワイシャツの長袖を開発してきました。開発の際には当事者の方に着用いただく試着会を開催し、気になる点はないか、ポイントごとにお尋ねしています。これまでに2回開催し、共同研究者であり、ご本人も当事者である加藤さんや、普段から制服に困りごとがある中高生の方々に着用してもらい意見をいただいてきました。

この度、夏が近づき暑くなるにつれて半袖を要望する声が高まってきたので、新たに半袖の開発をスタートしています。

半袖のポイントは大きく2点あります。
① 半袖の丈を一般的なスクールシャツよりも短めに
② 袖先は外側に三つ折りし、段差が肌に当たらない仕様に
半袖の袖部分ができるだけ肌に負担にならないように工夫しました。
身頃部分は先行販売している「やさしい」ワイシャツの長袖版と同様、できるだけ段差をなくして肌に当たらない仕様にしています。
こちらの半袖を実際に触覚過敏で制服着用に関してお困りを感じている11名の方に着用していただき感想を聞きました。
今回は、その試着会の様子を紹介します。
試着会当日はとても暑く、日差しも強い一日でした。そんな中、試着会場まで足を運んでくださり、本当にありがとうございました。

シャツを着用していただき、腕を曲げたり勉強するような姿勢をとってもらったりしながら、上記にあげた2つのポイントについてヒアリングしました。
これまでの試着会では痛さを感じたり、違和感があったりする部分は「気になる」ときちんと伝えてくださっていましたが、今回は11名全員に「気にならない」という評価をいただきました。
また、「半袖シャツは勉強する時に(曲げたところに半袖の先が当たって)気になっていた。でもこれは気にならない」、「肘に当たるのが気になっていたけど、気にならない」というコメントもいただきました。
袖の丈は、特に調整をしていたため、当事者の方に「気にならない」という評価をいただき、とても安心しました。
あわせて袖口もお聞きしましたが、肌に当たらないように外に折り返している仕様であったため、こちらもほとんどの方に「気にならない」という評価をいただきました。
学生工学研究所では「誰一人取り残さない制服・体操服づくり」を目指しており、いただいたご要望を形にするべく、半袖の製作を進めてきました。
試着会の冒頭で半袖ができたことをお伝えした時に、満面の笑みで「半袖待ってたんです」と喜んでいただけたことが、とても大きな励みになっています。
この取組みに期待を持って協力や応援をしてくださっている参加者の方々の声を直接聞くことができ、とても嬉しくなった2日間でした。
皆さま、本当にありがとうございました!
「やさしい」ワイシャツの半袖版は来年の1月頃から発売開始予定です。
少し先ではありますが、楽しみにお待ちいただけたら大変光栄です。
(カンコー学生工学研究所 麻田)
この記事に関するお問合せはこちら。