冬の体操服通学は制服より寒い?

冬の体操服通学は制服より寒い?
衣服の保温量から考える寒さ対策。

2023.02.01

今冬の寒さは平年以下!

今シーズンの秋(9~11月)は、観測史上最も暖かかったと気象庁の発表がありました。確かに上着がなくても過ごせる暖かな日が続いたりで、なかなか秋の装いにシフトできなかったように思います。ただ今冬(12~2月)は寒気の影響で、各地で平年並みか低めの気温になる予想が出されています。
一部のエリアでは体操服通学を許可しているところもありますが、冬本番真っ最中に、体操服だけで寒さ対策は十分なのだろうか?とおせっかいではありますが、今回はカンコー学生工学研究所が独自に開発したシステムSAWSUS(ソーサス)を使って調査した結果をお伝えしたいと思います。
SAWSUSとは、エリアの気候に合わせてどれくらい重ね着をすれば快適に過ごせるのかが分かるシステムです。詳しくはこちらをご覧ください。

 

体操服着用時の体感温度はどのくらい?

一般的な冬体操服を、ジャケット・パンツ・半袖シャツと仮定して、「衣服の保温量」(※1)をアイテムごとに測定しました(図1)。

図1
一般的な冬体操服

(※1)アイテムを着用することによってどのくらい暖かくなるのかを数値化したもの(クロー値)
(※2)各アイテムを着用した際の衣服内の保温量が測定できるマネキン

日本は南北に長い形状となるため、札幌市(北海道)・岐阜市(岐阜県)・那覇市(沖縄県)をピックアップし、過去5カ年の気象条件(通学時間帯の平均気温、平均湿度、平均風速)や通学時の運動量などを調査し、秋冬季に一般的な冬体操服を着用した時の体感温度を算出しました(図2)。一般的に快適な体感温度は24±2℃(※3)と言われており、グラフ中の黄色い帯の範囲となります。
札幌市と岐阜市では、岐阜市の10月を除いて体感温度の快適域に達していないことがわかります。また、特に1月・2月は全国的に見ても快適域に達していません。つまり、体操服通学では寒さ対策が不十分であると言えます。

図2
一般的な冬体操服を着用した時の体感温度

(※3) 参考:2006年・空気調和・衛生工学会発行「新版・快適な温熱環境のメカニズム豊かな生活空間をめざして」

また、一般的な冬制服をジャケット・スカート・長袖シャツ(図3)と仮定して、制服と体操服の保温量を比較したところ、制服の方がニットセーター1枚分ほど暖かいという結果が得られました。

図3
一般的な冬制服

体操服のジャケットは着用することでニットセーターもしくはトレーナー1枚分ほどの暖かさが得られます。
寒さ対策アイテムのニットやコートはオプション購入となることも多いため、限られたアイテムでは、制服をベースにプラスワンアイテムとして体操服を使用できると有効かつ経済的メリットにもつながります。

 

気象環境に適した制服・体操服を求めて。

体操服には動きやすさ、お手入れのしやすさがメリットとしてありますが、子どもの体調管理を考えると寒さ対策としては不十分で、保温性の高い冬制服の方が適しているエリアが多いことがわかりました。学生たちが主体的に創意工夫した着こなしができると良いですね。
カンコー学生工学研究所では今後も変化する気象環境に適したご提案ができるよう、引き続きデータ収集を行い、調査・研究に取り組んでいきます。

 

(カンコー学生工学研究所 安木)

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