家庭での洗濯不安を解消する、
安心して洗える制服が生まれるまで。

2019.10.21

3年間で約3,910時間着る制服。

入学式から、毎日の授業、卒業式まで、学生たちは多くの時間を制服とともに過ごします。1年のうち授業のある約200日※1から夏服を着用する約40日間を除き、1日8時間程度、制服を着用すると仮定した場合、学生が制服を着用している時間は、1年間で約1,303時間、3年間では約3,910時間になります。これだけ長くの時間を制服で過ごす学生たちの学校生活をもっと快適にできないかと考え、カンコー学生工学研究所では、これまでも様々な調査・研究を行ってきました。
安心して洗える制服の研究開発を始めた2008年当時、家庭における制服の洗濯状況を調査したところ、家庭で洗える制服の保有率は68.2%でした(図1)。しかし、半数を超える家庭が年間1〜4回程度しか制服を洗濯しておらず、中には自宅で制服を洗わないという家庭もあるなど、日常的に自宅で制服を洗う家庭は少ないということがわかりました(図2)。制服を洗うタイミングとしては、「学期末などの休み中」や「衣替えの時」が多く、まとまった休みのときにしか制服を洗わないというライフスタイルが見えてきました。一方で、「汚れが目立った時」に制服を洗うという家庭も4割以上あることから(図3)、制服を家庭で洗いたいというニーズはあっても何らかの課題があり、家庭で洗える制服を保有しているにも関わらず、洗っていないという実態を解明するため、徹底的な調査を始めました。

※1 初等中等教育局教育課程教育課程企画室“平成30年度(公立小・中学校等)調査結果”文部科学省より

調査データ_ 1
制服の家庭における洗濯状況について

図1
お子様の制服は家庭で洗える商品ですか?(単数回答)
 
  • ・家庭で洗濯できる制服の保有率は約7割である。
図2
制服を家庭で洗うのは年間何回くらいですか?(単数回答)
※家庭で洗える制服保有者のみ回答
  • ・家庭で制服はあまり洗っていない。
図3
制服を洗うタイミングはいつですか? (複数回答)
  • ・制服は、長期休暇や汚れが目立った時に洗う割合が高い。

資料: カンコー学生工学研究所 2008年 中高生の母親1,016人に調査実施
*グラフの数字は、少数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。

時代の変化と、洗える制服ニーズの高まり。

洗える制服のニーズが高まった契機は、2000年代前半から一般家庭に普及が進んだ乾燥機能付きの洗濯機の登場です(図4)。共働き家庭の増加に伴い、時短家事への必要性が高まり、自宅で洗った衣類を乾燥機にかけるというライフスタイルが多くの家庭に浸透したことで、制服のお手入れにも同様の手軽さが求められるようになりました。制服に対しても、次第に保護者の方から「家庭で安心して洗えて、乾燥機にかけられて翌日の朝までに乾くような制服があったら」という要望が届くようになりました。さらに調査を進めていくと、家庭での洗濯時に特に不安視されている点として、制服を乾燥機にかけることで生じる「縮み」や「型崩れ」を挙げる声が多く聞かれました(図5)
また、学生自身が制服を着ている時に気になることは、「毛玉や擦り切れ」「テカリ」「ニオイ」でした(図6)。男女ともに、清潔・キレイでありたいという意識が高く、制服の着用時において心理面でもより快適に過ごしたいというニーズがあることがわかりました(図7)。

調査データ_ 2
乾燥機能付き洗濯機の普及状況と洗濯時の不安について

図4
保有洗濯機のタイプは何ですか?(単数回答)
  • ・2008年当時、「乾燥機能付非ドラム式洗濯機」、「乾燥機能付ドラム式洗濯機」、「全自動洗濯機と衣類乾燥機(独立型)」を合わせた乾燥機能付きの洗濯機の保有率は約4割である。
図5
衣類乾燥機で制服を乾燥させることについて、心配なことはありますか? (単数回答)
  • ・制服の「縮み」や「型崩れ」などを心配している。

資料: カンコー学生工学研究所 2008年 中高生の母親1,016人に調査実施
*グラフの数字は、少数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。

調査データ_ 3
学生の清潔意識と制服着用時の気になる点について

図6
制服着用時に気になることは何ですか?(複数回答)
  • ・「毛玉や擦り切れ」「テカリ」といった見た目以外に「ニオイ」なども気にしている。
図7
人から自分の身なりが清潔・キレイと思われたいですか? (単数回答)
  • ・清潔・キレイと思われたいという意識は男女共に高い。

資料: カンコー学生工学研究所 2007年 高校生600人に調査実施
*グラフの数字は、少数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。

業界初。おまかせコースで洗濯・乾燥ができる制服、誕生。

家庭で洗える制服の試作品をつくり、洗濯機と乾燥機※2を用いた検証実験を重ねる中で、生地や縫い糸の収縮により、上着の縫い合わせ部分の波打ちや、スラックスの脇・股下の縫い目の浮き上がり、センタープリーツ(スラックスの折り目)がとれるなど、製品に型崩れが起きることが判明しました。そして、こういった問題を解決するためには、生地と縫製の両面での改善が必要ということがわかってきました。
そこで、共同開発パートナーの東レとともに生地の研究に取り組み、耐久性だけでなく速乾性に優れた生地を開発。縫製面では自社工場と検証を重ね、上着の前合わせ部分の波打ちを解消するために折り返し部分に縫い目をなくした前カット1枚仕様に変更。そして、上着の袖・背中、スラックスの脇部分にはテープ芯を接着することで強度を高め、洗濯による縫い目の波打ちを解消しました。またスラックスも真空プリーツ加工を施すことで、くっきりしたセンタープリーツの持続を実現しました。このような過程を経て、家庭の洗濯機で気軽に洗えて、乾燥機にかけても毛羽立ちや色褪せのない高い耐久性を備えた制服「KANKO Dry Wash(カンコー ドライ ウォッシュ)」が完成しました。
その後、「KANKO Dry Wash」をさらに進化させ、弱水流の指定や脱水の短時間設定などの制約をなくし、学生服業界初、洗濯機の「おまかせコース」での洗濯も可能な「家庭で手軽に洗える制服」が誕生しました。

※2 乾燥機:家庭用のヒートポンプ式に限る

高い耐久性を実現した洗える制服の工夫

  • 前カット1枚仕様※3

    通常2枚の布を縫い合わせる上着の前合わせ部分を、1枚の布を折り返して使用することで、生地の波打ちを解消。

    ※3 業界初
  • テープ芯仕様※4

    縫い合わせ部分をしっかりと補強することで、型崩れしにくい仕様。

    ※4 業界初・実用新案取得済み
  • 真空プリーツ仕様※5

    真空高圧釜による加工で、洗濯してもセンタープリーツがくっきりして、取れにくい仕上がり。

    ※5 業界初

洗濯検証試験

(どちらも洗濯・乾燥を30回実施)
  • 当社従来製品

    洗濯・乾燥を30回行うと、前合わせや背中の縫い合わせ部分に波打ちが発生しています。

    スラックスの脇の縫い目が浮き上がり、型崩れを起こしています。

  • KANKO Dry Wash

    前合わせ部分を前カット1枚仕様にし、テープ芯を接着したことにより、生地の波打ちがほとんど見られません。

    テープ芯を接着したことにより、縫い目が浮きあがらず形状を保っています。

資料: カンコー学生工学研究所 2008年 洗濯・乾燥比較調査

学生たちの快適な生活のために、新たな研究・開発は続く。

「KANKO Dry Wash」をお選びいただいた保護者の方からは、「汗や泥で汚れた制服を丸めてかばんに詰めて帰ってきても、家庭で簡単に洗えるから助かる!」や「頻繁に洗っていても、まるで新品のようなキレイさをキープ。子どもも“着心地がいい”と喜んでいます」、「洗濯乾燥機が本当に使えて、3年間着続けられる!」という声が届いています。
そして現在、カンコー学生工学研究所では、LION快適生活研究所と共同で、衣類に付いた汚れの落とし方や洗濯絵表示の見方、上手な洗い方・干し方など、制服のお手入れが学べる洗濯実践授業を学校で実施し、制服づくりだけでなく、清潔で気持ちよく制服を着続けていただくためのノウハウをお伝えしています。このような研究・開発の結果を活かし、身近な制服を通じて、学生たちが快適な生活を送れるようサポートする取り組みを今後も行っていきます。

家庭科の洗濯実践授業を通して、学生たちの「自立力・生活力」を高める教育サポートも行っています。