カンコー学生工学研究所では、年々激しさを増す夏の暑さに適応するため、衣服内の湿度を快適に保つファン付きウェアの研究を行っています。
人間の身体は、体温が上昇すると汗をかいたり、体表面から熱を放散したりして適切な体温に調整しようとしますが、衣服内の湿度が高いと汗の蒸発が制限されてしまい、熱中症になりやすいと言われています。そこで、制服・体操服に合わせる新たなプラスワンアイテムとして、衣服内の湿度を下げることに特化した「ファン付きウェア」が必要なのではないかと私たちは考えています。
過去にファン付きウェアについて紹介した記事はこちらです。
学校における熱中症対策を考える。 湿度に着目した新たなアイテム。
実際にファン付きウェアは一般の人々の間でも徐々に普及してきています。
しかし、これまでの調査の中で学生からは、「工事現場の方が多く着ているイメージがあり、自分たちが着ている姿が想像できない。」という声をいただきました。
そこで今回は、学生にファン付きウェアをもっと身近に感じてもらうことを目的として、津田学園中学校・高等学校様と協力し、長期の着用実験を実施しました。
自分たちが着用している姿が想像できない理由として以下のようなマイナスイメージが挙げられました。
・ファンの音がうるさそう
・服が膨らんで太って見えそう
・バッテリーが重くて動きにくそう
・汗のにおいが気になりそう
今回の実験では、生徒に1週間ファン付きウェアを着用していただくことで、これらのイメージが払拭されて着用したくなるのかを調査しました。
ファンの音、服の膨らみ、バッテリーの重さ、汗のにおいについて、「気にならないので着用したい」「気になったが、涼しいので着用したい」「気になるので着用したくない」の選択肢で評価してもらいました。
その結果が下記のグラフです。(調査対象:登下校時に着用してくれた高校1年生15名)
実際に着用してみるとイメージしていたマイナス面は大きな懸念とはならず、生徒様からは「着用したい」との声を多数いただきました。
総合評価としても、学校生活でファン付きウェアを着用したいという声をいただきました。
(調査対象:学校生活全般で着用してくれた高校1年生23名)
中には「試作品でも良いから早く購入させてほしい」という生徒様もいらっしゃいました。
実験結果を生徒に分析、発表していただきました。
「最初は着用することに違和を感じていても、着慣れることで課題が気にならなくなるのだと思う」という意見をいただきました。
実験を通して、ファン付きウェアが学校生活に必要であると改めて感じました。
一緒に調査をしてくださった生徒の皆様、担当の教員の皆様、ありがとうございました。
カンコー学生工学研究所は今後も子どもたちに夏を快適に過ごしてもらえるよう、調査・研究を進めていきます。
(カンコー学生工学研究所 武内)
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