洗濯に適切な水温は?
寒い時期になると汚れが落ちにくいな、と感じたことはありませんか?
それは水温の違いに関係があります。水温が低いと洗剤も溶けにくく、また、皮脂汚れも落ちにくくなるからです。
欧米諸国では、ミネラル分が多い硬水※1のため、温水でなければ汚れが落ちにくく、多くの洗濯機は50~60℃まで水温が上がるようになっています。
一方、日本の水の多くは軟水※2であり、温水でなくても概ね汚れが落とせるため、温水対応の洗濯機はあまりなじみがありませんでした。ただ、軟水でも水温が高い方が汚れが落ちやすいことから、近年は温水対応の洗濯機も続々と登場しています。
洗濯に最適な水温は何℃なのでしょうか?あらためて考えてみたいと思います。
※1硬水(こうすい)・・・カルシウムやマグネシウムの金属イオン含有量が多い水
※2軟水(なんすい)・・・カルシウムやマグネシウムの金属イオン含有量が少ない水
水温は高ければ高いほど良いわけではない。
洗濯の水温は10℃上がるにつれ徐々に洗浄力がアップし、60℃を超えると飛躍的にアップします。
衣服についた皮脂汚れは温度が高いほど溶け、繊維から浮き出やすくなります。そのため、繊維の奥までしっかり洗い流すことができるのです。
ですが、温度が高ければ高いほど良いのかというとそうでもありません。
日本の洗剤は常温の水での洗濯を想定して開発されているため、温度が高すぎると洗浄力が低下してしまいます。
さらに、素材によっては繊維が膨張し、汚れが繊維の内部にまで再付着することや、衣類自体が傷んでしまうこともあります。
例えば、ウールは表面は「スケール」と呼ばれるウロコのような膜で覆われており、これが温水に触れることで開き、糸同士が絡み合うことで収縮する「フェルト化」という現象を起こしてしまうのです。
取扱い絵表示タグを確認!
素材に傷みを生じさせずきれいに洗濯するために、衣類に取り付けられている取扱い絵表示タグを必ず確認しましょう。
家庭洗濯の方法は、絵表示の一番最初(左端・左上)に記載されています。
絵表示の洗濯桶に記載された水温は、「上限温度」です。その温度までなら衣類を傷めないことを表しています。洗濯水の水温は上限温度を超えないように注意が必要です。桶の下に横棒が2本ある場合には、弱水流コース(手洗いコース)を選択してください。
桶に手を入れてる表示は、手洗いが可能で、水温の記載はありませんが、上限は40℃です。
桶に✖のある場合は家庭での洗濯はできません。
汚れに合わせて使い分けが大切!
制服の洗濯水の水温上限は30℃もしくは40℃が多く、洗剤の酵素も36℃~37℃付近が最も効果を発揮します。
このことから、洗濯水の温度は、衣類ごとの上限温度を超えないことを条件に、30℃~40℃が最適な水温であると言えます。
汚れが気になる時には、温水での洗濯がおすすめです。
※このコラムは水で落とせる「水溶性」汚れについての記載です。泥汚れや墨汚れなどの異物が繊維にこびりついた水に溶けない「不溶性」の汚れには当てはまりません。
そのような汚れについては、あらためて特集させていただきます。