デジタル端末が必需品の時代へ。

デジタル端末が必需品の時代へ。
GIGAスクールと通学リュック。

2023.09.14

今やタブレットなどのデジタル端末は学生生活の必需品となりつつあります。文部科学省がGIGAスクール構想を推し進めるなかで、この流れが止まることはないでしょう。とはいえデジタル端末は他の文房具と違って壊れやすい精密機器。破損によるトラブルはたびたび発生しているようです。

GIGAスクール構想とは。

GIGAスクール構想とは、1人1台のデジタル端末配布と大容量通信ネットワークの整備等により、誰一人取り残すことなく個別最適化された学校教育の実現を目指す取り組みです。 GIGAスクール構想そのものは以前から文部科学省により推進されてきましたが、コロナ禍を機に教育現場でニーズが高まり、全国各地で急速に取り組みが進んでいます。背景にあるのは、10年ぶりに改訂された学習指導要領です。中学校は2021年度、高等学校では2022年度から全面適用されました。

また2021年、文部科学省は全国の教育委員会に向けて「GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末の積極的な利活用等について」と題する通知を出しました。デジタル端末の持ち帰りが自宅学習や非常時における学習環境保護の観点から有効であることを示し、積極的な推進を呼びかけたのです。この通知以降、デジタル端末を登下校で持ち運ぶ運用が広がっています。

デジタル端末は学びの必需品に。

文部科学省が実施した2021年全国学力・学習状況調査における、1人1台デジタル端末の利活用状況について、学校教育で週3日以上活用している小中学校(指定都市)はおよそ80%に上っており、デジタル端末は教育現場における必需品となっています。

さらに、中学校では「毎日持ち帰らせている」は2021年度では10.1%でしたが、2022年度になると32.8%に増えています。また、何らかの理由で持ち帰らせている中学校は、2021年度の22.0%から2022年には82.5%まで急増しました(図1)。このようにデジタル端末をリュックなどに入れて通学することが当たり前になりつつあります。

図1
デジタル端末の持ち帰り状況

資料:文部科学省 令和4年度 全国学力・学習状況調査の結果について(国立教育政策研究所のデータを基に資料を作成)
※グラフの数字は、小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。

デジタル端末の持ち運びで生まれる問題。

デジタル端末を持ち運ぶことで、破損するリスクが高くなります。例えば乱暴な扱いによる破損。リュックに入れたまま乱暴に扱ったり、飲料水をこぼしてしまったりすることがあります。他にも登下校中の突然の雨による水没リスクが考えられます。

■破損した後の事後処理の大変さ

デジタル端末破損の事後処理は、学校側と保護者側の両者にとって大変なことです。

学校側は、新しいデジタル端末の手配、各種セットアップ、その他さまざまな事務手続きの手間が発生します。教育に割くべき時間をこうした事務手続きに取られるのは決して望ましいことではないはずです。

保護者側は、まず破損したらどう対応すればいいのか迷います。子どもに破損した状況を聞き、学校側に問い合わせ、費用負担の考え方を確認するなど、こちらも相応の時間を取られることになるでしょう。

 

 

■何よりも避けたい”学びの機会の逸失”

何よりも大きな問題になるのが”学びの機会の逸失”です。先ほど紹介した通り、デジタル端末はGIGAスクール構想の中心的役割を担うツールであり、1人1台が手元にある前提で授業内容も組み立てられます。このツールが一時的だとしても手元からなくなれば学びの機会を逸失するかもしれません。

「デジタル端末が壊れても予備機を学校側で用意しているから大丈夫では」という声もよく聞きます。たしかに筆記用具くらいならいくらでも代替できるので、破損しても大きな問題にはなりません。しかし、デジタル端末には学生個別の学習情報が詰め込まれています。

カンコーが追及する新たな通学リュックの機能性。

カンコー学生工学研究所では、こうした教育現場ならではの課題を踏まえ、デジタル端末の持ち運びを前提としたタブレットガード付きリュックを開発しました。その機能性を紹介していきます。

■衝撃を吸収してデジタル端末を保護

タブレットガード付きリュックでは、耐衝撃性能が高い素材と構造を採用しています。デジタル端末の収納スペースには、靴底やカメラケースなどに使われるEVA素材を使用しています。底の部分は少し浮かせて、リュックを降ろしてもデジタル端末が接地しないような構造にしています。

独自に落下試験を実施したところ、デジタル端末にかかる衝撃が67%軽減できていることがわかりました(図2)。

図2
落下時のデジタル端末にかかる衝撃加速度比較

■収納スペースの浸水防止

収納スペース周辺には防水素材を使用しており、縫い目がない熱圧着仕様にしているため水が入りづらい構造にし、従来品と並べて同じ条件で10分間水をかけ続ける浸水試験を行いました。従来品は浸水しましたが、新しい通学リュックの収納スペースは浸水せず、浸水防止機能が十分にあることがわかりました。

 

時代や環境に合わせたスクールアイテムの開発。

通学リュックはあくまで手段であって、大切なのは時代に合わせて学べる環境が整っていることです。カンコ―学生工学研究所では、今後も起こり得るさまざまな変化に合わせて、快適な学生生活と学校および保護者の負担を減らす商品開発に取り組んでいきます。

 

(カンコー学生工学研究所 田代)

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