循環型社会への貢献。

循環型社会への貢献。
「繊維くずからできた紙」の活用。

2023.10.12

カンコー学生工学研究所では、未来の子どもたちが過ごしやすく美しい環境で生活し続けることができるよう、気候変動の適応と緩和の両側面より、研究を進めております。今回は緩和施策のひとつである、新しいパートナーと共創した新しい生地台紙と生地ハンガーについて紹介します。

ファッション産業の環境問題と新しいパートナー。

環境省より発表された資料「SUSTAINABLE FASHIONこれからのファッションを持続可能に」では、ファッション産業は、製造にかかるエネルギー消費量やライフサイクルの短さなどから環境負荷の大きい産業であることが説明されています。現在、ファッション産業に属する様々な企業がサーキュラーエコノミー※1の実現に向けて新しい取組みを始めています。

学校制服は、入学者数をある程度見込んだ必要な量を生産するので比較的サステナブルな要素が含まれた衣類と考えることができます。とは言え、特色ある学校指定制服のデザイン検討時や製造時には廃棄せざるを得ない生地が発生するなど、まだまだ取組むべき課題はたくさんあります。今回はデザイン検討時に活用した後の生地を、ゴミとして処分・焼却することなくリサイクル可能にするため、一般社団法人サーキュラーコットンファクトリー(以下CCF)にご協力いただき、取組みを開始しました。

 

※1.サーキュラーエコノミー(循環経済)…従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すもの。(環境省公式サイトより)

繊維くずから紙へ。

CCFは、「繊維に関わる全てのプロセスで排出される繊維ゴミを回収し再生させる繊維の循環システムを社会実装する」というミッションを掲げ、2021年9月に設立。以降、多くのパートナー企業・団体と共創の輪を広げられています。現状、繊維の廃棄物を繊維に再生してもそのリサイクル率は17.5%。それに比べると、紙の回収率は85%、古紙利用率は67%。紙にする方がはるかに高い循環利用となります。CCF公式サイトより)

CCF活動事例

【柔道着が原料の画用紙を使ったワークショップ】

捨てられるはずだった柔道着から生まれ変わった画用紙。

子どもたちに繊維ゴミからつくられた紙に実際に触れてもらうことを通じて、繊維ゴミや地球環境について考える機会をつくりました。

CCF代表理事 渡邊 智恵子

1990年より日本でのオーガニックコットンの啓蒙普及に取り組み、日本でのオーガニックコットンの製品製造のパイオニア。 株式会社アバンティ代表取締役創設者であり、現在相談役。企業活動以外に、オーガニックコットンの啓蒙普及と認証機関としてのNPO日本オーガニックコットン協会を設立。 グローバルスタンダード(GOTS)の基準作りにも関わる。2021年から繊維のゴミを資源にするプロジェクト(CCF)を立ち上げ、現在代表理事に就任。

カンコーの具体的な取り組み。

カンコーでは、生地の風合いや色柄等の制服デザインを検討していただく際に、生地台紙(以下台紙)や生地ハンガー(以下ハンガー)という制服に使用する生地を台紙に貼りつけたものやハンガー状の台紙に挟み込んだものを、使用しています。従来の台紙やハンガーには、繊維(生地)や紙、プラスチック(フック部分)や金属(フック部分)が混在している為、分別後紙のみ古紙としてリサイクルすることは可能ですが、それ以外は可燃ゴミとして焼却しています。

カンコーでは2023年秋より、紙部分にCCFが開発した混抄紙(こんしょうし)と呼ばれる、繊維とパルプを混ぜ合わせてつくった紙を使用します。この混抄紙には、カンコーが廃棄予定だった繊維くずも含まれています。フック部分もプラスチックから紙製に切り換えました。混抄紙には繊維が含まれていますが、紙ゴミとして回収・古紙として再利用することが可能です。

また、制服検討時に使用した台紙やハンガーはできるだけ回収させていただき、再度混抄紙にリサイクル、そして台紙やハンガーとして何度も循環させていくことを考えています。

  • これまでの流れ
  • これからの流れ

循環型社会に向けた活動の輪。

本記事は、制服デザイン検討時に伴う廃棄物をいかに減らせるかということに着目しています。地球温暖化に繋がる温室効果ガスを抑えるための1つの施策とし、カンコー単体では実現不可能だったことが、活動の輪を広げることにより実現可能になりました。今後も循環型社会の構築を前提とした、商品開発や新たな取り組みに向け挑戦し続けていきます。

 

(カンコー学生工学研究所 淵脇)

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