快適な学生生活を実現するために、
学生たちのカラダと動きを研究する。

2020.04.28

学生たちのカラダと動きを徹底的に研究。

ものづくりの長い歴史の中で、カンコー学生工学研究所では、製品開発のための様々な調査・研究を行ってきました。1992年からHQL(一般社団法人 人間生活工学研究センター)が実施した約34,000人の膨大な統計データから中高生たちの身体データを抽出。学生たちの身体サイズだけでなく、個人の体格の違い、年齢ごとの体型の特徴を分析しました。そのデータをもとに、学生の体型をリアルに再現、細部までこだわった、男女13歳から18歳までの各年齢の平均サイズ・形状を反映したカンコー独自の基本身体マネキンを製作。制服設計の基本データとして活用してきました。

そして、学校生活では勉強中など前傾姿勢になることが多いのですが、前傾姿勢は直立の姿勢より、背中の横伸びが約30%長くなります。そのため、衣服が窮屈感を与えているということが研究結果からわかりました(図1)。もともとブレザーは直立した状態の時にいかにキレイに見えるかを重視してつくられた西洋の衣服なので、勉強している時の前傾姿勢は学生たちにとって、実はとても窮屈なものだったのです。また、座っている時間の長い学生たちですが、その腕は日常生活の中でも、肩やひじを支点として活発に動いています。その後、さらに詳細な分析を行うため、どの辺りにシワが寄っているか、どこが突っ張っているか、動きを阻害する要因を探っていきました(図2)

図1
直立時と前傾姿勢時の背中の比較
  • ・授業中など前傾姿勢で過ごすことの多い学生たちの背中は、直立時と比較して、約30%長く横に伸びていることが判明。
図2
上半身の衣服圧(身体にかかる圧力)測定
  • ・プロトタイプ(研究試作品)、自社従来ブレザー、他社製品を着用し、各部位のシワや突っ張りを細かく検証した。

学生たちの動きやすさを追求したパターン設計。

検証を重ねた結果、背中や上腕部の圧迫、ひじ部の突っ張りがおきていることがわかりました(図3)。それらを踏まえ、座っている姿勢における身体への圧迫感や重量感から生じるストレスを軽減した制服を2008年に製品化しました。その後、学生たちの日常生活全般での活発な動きに着目。座った姿勢での快適性を保ちつつ、活発な動きにも対応する最適なブレザーとして開発したのが「ストレスフリーアクティブブレザー」です。製品開発にあたり、学生たちの動きを阻害しないために、パターンを変更、縫製や素材との組み合わせを工夫した設計を行うことで、背中、上腕部、ひじ部への圧迫感を軽減しました(図4)。そして、開発後の衣服圧実験においては、従来ブレザーから背中にかかる圧力を1/10以下に低減したことが実証されました(図5、図6)。さらに、簡単な足し算を繰り返し行うストレス検査では、従来ブレザーに比べて精神的ストレスが約40%緩和したという結果が示されました。

図3
従来ブレザーの衣服圧検証
  • ・背中や上腕部の圧迫、ひじ部の突っ張りがおきていることが判明。
図4
圧迫感を軽減したアクティブ設計3つのポイント
図5
4種類のブレザーで衣服圧を計測、アクティブ設計の優位性を検証
  • ・パターン設計の変更とストレッチ性に優れた生地を採用することで、背中にかかる圧力を1/10以下に低減。大幅に動きやすさと着心地がアップした。

2011年「衣服圧検証実験」

図6
衣服圧検証により、快適性を実証
  • ・従来ブレザーを着用した場合に比べ、ストレスフリーアクティブブレザーを着用した場合、負荷を表す赤色の部分が大幅に減少した。

身体にかかる圧力は、赤>黄>緑>青の順で強い。
2011年「衣服圧検証実験」

社会が認めたブレザーの新たなスタンダード。

カンコー学生工学研究所では、これまでの制服開発において常に動きやすさを追求してきました。今までのブレザーの快適性を大きく上回るストレスフリーアクティブブレザーの誕生は、ブレザーの新たな進化ともいえます。東京、大阪で実施した着用体験でも、9割以上の学校関係者が従来品より、ストレスフリーアクティブブレザーが着やすいと回答しました(図7)。この製品は、身体の動きやすさを追求した象徴的な製品であり、20年以上の研究を重ねてきた言わばひとつの完成形でもあります。それを物語るように、2019年度の採用校は150校を超えており、新たに制服提案を行った高校の約1/3、中学校に至っては半数以上の学校に採用していただくという実績に結びつきました。そしてもうひとつの結果が、学生服メーカー初となる2016年のグッドデザイン賞ベスト100の受賞です。学生の身体の動きに注目して開発したブレザーということで、審査委員の方からも高評価をいただきました。特に、学生たちの日常動作に注目してパターン設計と素材を工夫し、快適さを追求したという「新規性」と、学校の要望に応じて、色や柄、またどのような生地・デザインにでもカスタマイズしていけるという「汎用性」が評価されました。

図7
ストレスフリーアクティブブレザーの着用体験
  • ・学校関係者に対し、着用体験を実施。 93.4%の方が着やすいと回答。

2011年、東京・大阪展示会にて学校関係者197名に着用体験を実施

ストレスフリーアクティブブレザー着用試験の感想

  • ・とても軽くて肩の辺りが動かしやすかった

  • ・着た瞬間から軽くて驚いた

  • ・ブレザーを着ている感じがしない

2015年、守口市立樟風中学校 男女10名に制服の着用体験後、ヒアリングを実施

ストレスフリーアクティブブレザーのさらなる進化。

ストレスフリーアクティブブレザーの完成後、繊維メーカーと新しいストレッチ素材を試すなど製品の開発・改良を続けています。そして、2019年10月に開催した展示会では、ニット素材のための新しいパターン設計を採用したストレスフリーアクティブブレザーを発表しました。動きやすさだけでなく、防シワ性により形状が安定し、学生自身や保護者のお手入れのしやすさが格段に向上しています。
今後も学生生活に寄り添い、時代と環境の変化に向き合い、学生たちが快適に過ごせるよう制服を進化させていきます。

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