学校生活をイメージするとき、制服は必ず出てくるアイテムではないでしょうか。人によっては夢を膨らませる学校生活のシンボル的な存在です。しかし、自分が周りと同じ制服を着られないとしたら疎外感を抱いてしまうかもしれません。
感覚過敏の症状により「制服が着たいのに着られない」と葛藤している方が一定数います。 今回は感覚過敏にスポットを当てながら、カンコー学生工学研究所が取り組む感覚過敏の人も着られる制服の開発について紹介します。
感覚過敏とは。
感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などが非常に敏感なために、日常生活を送る中で困りごとが多い状態のことをいいます。
(1つの感覚が敏感な人もいれば、複数の感覚が敏感な人もいます)
中には、周囲が気にしていないような刺激が強いストレスとなり「痛い、苦しい」といった感覚を持つ人もいます。
「みんなと同じでいたい」と思っても「ワガママ」と誤解されることも。
感覚過敏は、目に見える症状ではないので、知らない人も多く、その症状やつらさはあまり認知されていない状況です。
そのため、本人が症状や苦痛を訴えても、「ワガママだ」「それくらい我慢できるだろう」「協調性がない」と誤解されてしまうこともあるといいます。
制服の着用もその一つです。みんなの着ている制服が感覚過敏の症状で着られないのです。
みんなと同じものを着たいけれど、着られないのがつらいという思いを持っている人も多いのです。
また、感覚過敏は不登校の理由の一つになることもあります。毎日の学校生活の中で、強いストレスや刺激を感じることは、心身ともに疲弊します。
身体的なつらさだけではなく、我慢しなければいけないと無理をすることで疲れ、みんなと同じようにできない自分に悩んでしまうこともあるそうです。
そうした子どもを毎日見ている保護者の多くは「どうすれば、子どもの悩みが軽減できるか」という思いを抱いています。
自分が感覚過敏と気づいていない人も多い。
感覚過敏についての認知度はまだ低いため、本人も普段感じているつらさの理由を理解できていないケースがあります。自分自身の状況を「感覚過敏」として表現することを知らない人が多いのです。
たとえば、制服が痛い・首元が苦しいと感じていても「みんなも同じで我慢しているんだろう」と思いながら生活をしていたり、「なんでこんなにつらいのかわからない」という中で、周りから教えてもらってようやく気づいたり、という経験を聞くこともあります。知らず知らずのうちに生活しづらい環境の中に身を置きストレスを抱えている子どもは、実は想像以上に多い可能性があります。
すべての人が着られる制服を目指して。
カンコー学生工学研究所は、感覚過敏の人たちが置かれている状況の把握に努めてきました。感覚過敏が理由で学校生活を十分に楽しめなかったり、教育の機会に不平等が生まれたりする状況を変えるために、できることを考えてきました。そこで現在取り組んでいることが感覚過敏の人も着られるシャツの開発です。肌に最も近いシャツを着用できれば、制服を着ることへのストレスを軽減できると考えました。
■展示会で感覚過敏の特設ブースを設置
学校関係者を対象とした展示会で、衣服へ使用されることの多い複数の生地を先生たちに触っていただき、どのように感じるか伺いました。
その後、その生地を感覚過敏当事者の人が触ったらどう感じるのか、事前に行ったヒアリングの声をお伝えしました。
先生たちから、驚きや子どもたちへの思いなどさまざまなご意見をいただきました。
■感覚過敏の人も着られるシャツの開発
カンコー学生工学研究所は「みんなと同じ見た目のものが着たい」という、子どもたちの思いに寄り添えるようなシャツの開発を進めています。ご本人も感覚過敏の当事者である感覚過敏研究所所長の加藤路瑛さんと共に検討を重ねており、開発過程はX(旧Twitter)で公開しています。
9月21日からは応援購入サービス「Makuake」にて“着る人に「やさしい」ワイシャツ”プロジェクトがスタートしています。
私たちのこだわりが詰まったシャツへの応援、ぜひよろしくお願いします!
(カンコー学生工学研究所 澤埜)
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