通学中の安全対策を考える。

通学中の安全対策を考える。
子どもたちの交通事故を減らしたい!

2023.04.10

新年度が始まる4月。周りの環境が変わり、子どもたちはそれぞれに期待や不安を胸に登校していることでしょう。
昨今、通学中に子どもたちが巻き込まれる交通事故や犯罪被害、自然災害などが社会問題となっています。特に交通事故は通学中の死亡事故要因として最も多いので、今回は「安全」をテーマに、子どもたちの交通安全対策の現状と、これからについて見ていきたいと思います。

4月から7月にかけて多い子どもたちの「交通事故」

警察庁の調べによると、子どもたちの交通事故死傷者数は4月から7月にかけて多いことが報告されています(図1)。

春はまだ通学路に慣れていない子どもたちが多いので、交通安全を意識させる必要があります。
「春の全国交通安全運動」(令和5年は5月11日(木)から20日(土)までの10日間)では、交通事故防止の徹底を図ることを目的として、家庭や学校では、危険個所の確認、交差点や横断歩道での安全確認の仕方、自転車の交通マナーやルールの確認、ヘルメット着用、ヒヤリハット事例の共有などの交通安全指導が行われ、子どもたちの交通安全に対する関心や意識を高めているそうです。
また、PTAや地域の方々による子ども見守り隊、スクールガードなどの交通ボランティア活動で、通学中の子どもたちの安全を大人たちが見守ってくれています。
そのような中、身につまされる子どもたちの通学中の交通事故をニュースなどで見るたびに、何とかならないものかと思う方も多いのではないでしょうか。

図1
月別死傷者数(平成25年~平成29年の合計)

資料:警察庁交通局 平成30年3月「児童・生徒の交通事故」のデータを基に作成

通学中の「交通事故」の現状 ~国の施策について~

通学中の死傷者数を学年別に見てみると、小学校では1・2年生の歩行中の事故、中学校・高校では1年生の自転車乗車中の事故が多い傾向にあります(図2)。

図2
通学中の状態別死傷者数(平成27年~令和2年の合計)

資料:警察庁データを基に作成

内閣府は、通学路において、子どもたちの交通安全対策を推進しています。

出典:国土交通省HP資料より引用

また、警察庁の調べで自転車乗用中の交通事故被害を軽減するためには、頭部を保護することが重要であるとわかっており、ヘルメット非着用者の致死率は着用者に比べて約2.2倍高くなっています(図3・図4)。この事実を背景として、改正道路交通法の施行により令和5年4月1日から全ての年齢層の自転車利用者に対してヘルメット着用が努力義務化されます。

図3
自転車乗用中死者の人身損傷主部位
(致命傷の部位)(平成29年~令和3年の合計)
図4
自転車乗用中のヘルメット着用状況別の致死率
(平成29年~令和3年の合計)

資料:警察庁HPデータを基に作成

通学中の「交通事故」の現状 ~夕暮れ時の視認性について~

交通事故が起きる時間帯としては、下校中、特に周囲の視界が徐々に悪くなる夕暮れ時に多くなっています(図5)。ドライバーからの視認性を高めるために、車のライトに反射する工夫を取り入れた学校制服やカバンを採用されている学校もあります。

図5
時間帯別死傷者数(歩行中・自転車乗車中)

資料:公益財団法人交通事故総合分析センターデータ(2022年4月8日集計値)を基に作成

写真:自社商品の一例

車のヘッドライト点灯タイミングはドライバーによって様々なため、車が周囲の明るさを検知して自動的にヘッドライトを点灯してくれる「オートライト機能(走行中は強制的に点灯、ドライバーが手動で消灯できない)」の搭載※1義務化によって、歩行者(自転車)とドライバー双方が相手に気付くことができ、子どもたちが安全・安心に通学するための一助となっています。

 

※1.2016年10月に道路運送車両の保安基準が改正され、この義務化は2020年4月より販売されている新型の乗用車から適応され、最終的には2023年10月までにすべての新車へ搭載される。ただしすでに販売された車や中古車はその限りではない。

 

これからの交通事情について。

内閣府においても、交通安全基本計画(計画期間:令和3年度~令和7年度)の中で、事故の多い子どもや高齢者を守るために、これまでの施策の深化と先端技術を積極的に取り入れた対策に取り組むことを掲げています。

現在、車には目の前の歩行者や障害物などを検知し、ドライバーに警告をして自動でブレーキを作動させる「衝突被害軽減ブレーキ」※2や、アクセル・ブレーキなどのペダルを踏み間違えた時に急発進を抑える「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」などの機能でドライバーをサポートする事故防止対策がなされ、普及促進する取り組みも行われています。今後は、車の搭載センサーによる歩行者や障害物などの検知はより高精度となり、各自動車メーカーにおいても先進安全技術がさらに進歩していくことでしょう。

みんなが思い描く交通安全社会の実現にだんだんと近づいてきているのを感じ、期待が膨らみます。

 

※2.2019年6月に国際基準が発効、2020年1月に道路運送車両法の保安基準が改正、2021年11月より販売されている国産の新型車から義務化、最終的には2027年9月までに国産車および輸入車の新車へ搭載される。ただしすでに販売された車や中古車はその限りではない。

近未来の交通事情を見据えた商品開発。

交通事故を減らすために各分野でさまざまな施策を推進していることがわかりました。

カンコー学生工学研究所でも、「子どもたちの交通事故を減らしたい!」を合言葉に、車の先進安全技術や交通の改革などの近未来の交通事情に適した商品開発に取り組んでいきます。

賛同してくださる企業や団体があれば、ぜひ一緒に取り組んでいきましょう!

(カンコー学生工学研究所 安木)

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