学生たちの笑顔をつくる、
“かわいい”と制服の関係性を探る。

2021.02.24

“かわいい”を知り、かわいい制服の定義を究明。

普段、みなさんは “かわいい”という言葉をどのくらい使っていますか?学生たちは日頃、様々な場面で“かわいい”という言葉を口にしています。そして、学生たちが使う“かわいい”という言葉は、制服のデザインや着こなし、赤ちゃん、スイーツなど、その対象も幅広いことがわかります。使い方も“きもかわ”“ゆめかわ”など、“○○+かわいい”のような他の言葉と組み合わせた表現を含めると、“かわいい”という言葉の可能性は無限大に広がります。
“かわいい”という言葉は、色、柄、形など、モノの見た目を表すのか、またどのような時に“かわいい”と表現するのか。カンコー学生工学研究所では、“かわいい制服”のコアな定義(深層)を研究することにしました。

学生たちの声を聞く、「かわいい制服研究室」誕生。

“かわいい”という言葉に興味を持った私たちは、“かわいい研究”の第一人者である大阪大学大学院の入戸野宏教授にお話を伺うことにしました。そして、“かわいい”という言葉は、モノの見た目ではなく、その人の感情や気持ちを表現する言葉だということを教えていただきました。人は、“かわいいもの”を見ると自然と笑顔になり、その笑顔は見た人へと伝染し、笑顔のスパイラルが起こります。それが“かわいいのちから”のひとつなのだそうです(図1)
制服を着る多くの学生たちが、“かわいい”という気持ちで制服を着用することができれば、今よりさらに学生生活が楽しくなり、周囲にも好循環が生まれるのではないか。そのような思いから、カンコー学生工学研究所は、入戸野教授にご協力をいただいて、「かわいい制服研究室」を発足。女子中高生と座談会やアンケート調査を行い、学生たちのリアルな声を聞くことから研究はスタートしました。

かわいい研究の第一人者

入戸野 宏(にっとの・ひろし)教授

大阪大学大学院 人間科学研究科教授。1971年横浜市生まれ。専門は、実験心理学、認知心理生理学。認知・感情・動機づけといった人間の心と行動の仕組みについて幅広く研究している。著書に、『「かわいい」のちから:実験で探るその心理』(化学同人 2019年)、『シリーズ人間科学3:感じる』(大阪大学出版会 2019年)など。

図1
入戸野教授の“かわいい”についての解説

「みんなと一緒も。ワタシらしさも。」

座談会で、学生たちに「私服にはない制服のかわいさ」について聞いたところ、「今しか着られない」「みんなと一緒のものを着られる」「細かいところで自分らしさも出したい」など、アイテムや色などの表面的な部分だけでなく、心理面に関する回答が多く挙げられました(図2)。それらを踏まえて、私たちは学生たちと一緒に、言葉をつなぎ合わせ、“かわいい制服の定義”をつくることにしました。それが、「制服には、学生の間だけの青春が詰まっていて、おそろいを着ることにかわいさがある。校則などのルールはあるが、その中で自分らしさや個性を出すことがかわいさにつながる」というものです。この定義について、学生たちの共感度をインターネット調査したところ、約90%の方に賛同してもらうことができました(図3)
学校という集団の中の一員であること、その中で自分らしくいられること、この2つが学生たちの考える“かわいい制服”には必要であるということが見えてきました。この結果をかわいい制服研究室では、「みんなと一緒も。ワタシらしさも。」というキャッチコピーにしました。

調査データ_ 1
私服にはない制服の“かわいさ”とは

図2
あなたにとって『私服』にはない制服の“かわいさ”とは何ですか?

資料:カンコー学生工学研究所 2020年5月 ファッション感度の高い女子中高生55名に調査実施

図3
学生たちと考えた“かわいい制服の定義”
  • ・ネットアンケート調査の結果、約90%の方に賛同をいただいた。

資料:カンコー学生工学研究所 2020年7月 全国の女子中高生1,080名に調査実施

かわいい制服研究室「かわいい制服って?マジメに考えてみた!!」
詳しくは、こちらの動画をご覧ください。

 

“制服らしさ”と“かわいさ”の関係性。

私たちは、座談会で学生たちからよく聞かれた“制服らしさ”というキーワードと“かわいさ”の関係性について調査を行いました。まずファッションに興味のある女子中高生に協力してもらい、3種類の写真を撮影しました。学校指定の「基本の制服」をベースに、自分なりにかわいいと思う普段の学校内での着こなし「校内コーデ」と放課後など学校外で着たいと思うかわいい着こなし「校外コーデ」というテーマで、コーディネートをしてもらいました(図4)
その写真をもとに、ファッション感度の高い女子中高生・全国の女子中高生・20代~50代の男女を対象にアンケート調査を行い、“制服らしさ”と“かわいさ”について、評価をしてもらいました(図5)
その結果、「校内コーデ」は「基本の制服」や「校外コーデ」と比較して、どの世代から見ても“制服らしさ”と“かわいさ”のバランスがもっとも取れたコーディネートであることがわかりました。意外だったのは、ファッション感度の高い女子中高生も「校内コーデ」を「校外コーデ」よりかわいいと評価していることでした。「校内コーデ」は『みんなと一緒も。ワタシらしさも。』をうまく体現しているようです。みんなと同じ制服を着ることの安心感、それをベースにほんの少しの自分らしさを付け加えることが、今の時代における“制服のかわいさ”であると言えます。

図4
女子中高生が思う“かわいい制服”の着こなし
図5
それぞれの着こなしに対する“かわいい”評価の分布

資料:カンコー学生工学研究所 2020年 「“制服らしさ”と“かわいさ”の関係性」
ファッション感度の高い女子中高生55名、全国の女子中高生1,080人、20代~50代の男女1,440名を対象にインターネット調査を実施

“かわいい”という言葉の先にある、新たな価値の提供。

これまで学生のみなさんには、制服を中心に“かわいい”とはどういうことか、それぞれの意見を聞いてきました。その中で、“かわいい”という言葉の表面的な部分だけを見るのではなく、どのような思いでその言葉を発しているかを知ろうとすることが大切だと感じています。今後は、かわいい制服を着用した時の自身の感情や、周囲とのコミュニケーションに与える効果について研究していきたいと考えています。
入戸野教授は、“かわいい”には「笑顔のスパイラル」を起こす効果があると提言されています。“かわいい制服”によって、学校の中で笑顔のスパイラルが起こり、より楽しい空間になる。ひいては、先生方や保護者の方、地域の方の笑顔を生み出す。そういった思いで私たちは子どもたちの声を聞き、心を知るための研究に、より一層力を入れていきます。

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