より快適な学校生活を目指して

より快適な学校生活を目指して
感覚過敏から考える

2025.12.16

学生工学研究所は「誰一人取り残さない制服・体操服づくり」を目指しています。まだ可視化されていない子どもたちの悩みを調べていくうちに感覚過敏という言葉に出会い、これまで感覚過敏の子どもたちが快適な学校生活を送れるよう研究開発を進めてきました。

 

感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などが非常に敏感なために、日常生活を送る中で困りごとが多い状態のことをいいます。
学校生活にも様々な刺激があり困りごとがあるのではないかと考えています。

例えば、「窓際の席だと太陽の光で気分が悪くなる」「突発的な大きな放送音で気分が悪くなる」「衣服の柔軟剤やトイレのにおいなどに苦痛を感じる」など、周囲が気にしていないような刺激が強いストレスとなって「痛い」「苦しい」といった感覚を持っている場合もあるようです。

 

今回はそうした感覚過敏に関する取り組みのうちの1つ、カームダウンボックスについて紹介します。

 

カームダウンボックス(スペース)とは、光や音などの刺激で疲れたり、体調不良やパニックになってしまう方々が、心身を落ち着かせるための避難所・休憩所のことです。大阪・関西万博でも20箇所以上設置されていたり、空港や大型の商業施設など全国に広がり増えているようです。
私たちはそんなカームダウンボックスが学校にも必要ではないかと考え研究開発をしています。

 

ただ、学校で設置する際にはまだまだわからない点も多くあります。例えば、ボックスの形や学校での適切な設置場所、どう使っていくのが安心なのかなどです。児童・生徒さんだけでなく先生方も安心してご利用いただけるよう、研究している段階です。
これまでにも感覚過敏やカームダウンボックスの専門家である感覚過敏研究所所長の加藤路瑛さんからアドバイスをもらったり、当事者の方や利用者の方からご意見をもらったりしながらボックスの改良を重ねてきました。

 

そして今回、新しく品川区立浜川小学校様にもカームダウンボックスを設置させていただき、先生方からより落ち着ける空間にするためのアイデアやどう運用すれば安心して利用できるかについてヒントをお聞きできました。

学年団の先生方からのコメント(抜粋)

利用の段階:中に入ることで落ち着けるようになる児童にまずは入ってもらいたい。
安全性の確保:椅子は倒れたりして危ないと思うので、マットを設置して床に座れるようにしてもいいかもしれない。
使用状況の可視化

  (マットを設置することで)靴を脱ぐと利用中かどうか外から見てわかるので良い。
  ボックスを利用しているのがわかるよう、入口部分の布を少しあげたい。

意思表示の練習

  利用時、「今使っているので少し待ってください」というプレートがかけられるようにできると、後々意思表示できる練習にもなる。

 

先生方から「次の一歩」となるとても貴重なアイデアやヒントをいただきました。ありがとうございました。

 

今後、ご利用いただいた声や、ボックスをより使いやすくするための工夫をご紹介しますので、どうぞお楽しみに。

 

 

(カンコー学生工学研究所 麻田)
この記事に関するお問合せはこちら

SHARE
  • LINE
  • twitter
  • facebook