KANKO

学校革命 スクールイノベーション
(学校法人 誠心学園 浜松開誠館中学校・高等学校 理事長 髙林 一文氏)

髙林 一文
学校法人 誠心学園
浜松開誠館中学校・高等学校 理事長

経営者視点で学校運営にメス!
財政改革と徳育教育で生徒数が倍増
〜厳しい経営状態を財政面で抜本改革〜

もともと私は、PTA会長から学校経営に理事として参加し、そのまま周囲に背中を押される形で理事長としての任務を引き受けることになった異色の人間です。学校経営の経験もなく、関心もありませんでした。

就任したのが1996年。当時、この学校は非常に厳しい財政難に陥っており、生徒数は中学校で一学年50人ほど。早急かつ大胆な学校改革が必要でした。

最初に着手したのが教員の待遇面の見直しです。退職金も慶弔費も驚くほど優遇されていましたから、そこを「公立」並に引き下げました。また、教材や修学旅行の費用も一つ一つメスを入れ大幅なコスト削減を図りました。

校舎の大規模な耐震工事も取り組まなければならない喫緊の課題でした。耐震改築にかかる建設予算は限られていましたが、これも大胆な策を講じ、結果的に安全レベルを引き下げることなく達成しました。これには地元の県会議員や県庁も驚き「これだけの設計がどうしてそんなに安くできるのか」と、視察に来るほどでした。

続いて校名を変更し、女子校から男女共学に踏み切りました。生徒募集を強化するために広報室を設け、学校紹介のビデオを制作して塾や地域の各家庭に配って回ったりと、営業活動も行いました。さらに、教職員も優秀な人材を確保すべく一般から公募。採用にあたっては、「営業経験があって、同世代の子どもを持つ人」を選びました。

生徒の生きる力を育てる徳育教育を新たに導入

次にどのように特色を打ち出し学校の付加価値を高め生徒数を確保するか、その改革の大きな一手となったのが、徳育教育「7つの習慣J」の導入です。 これは、世界中で3000万冊のベストセラーとなったビジネス書『7つの習慣』を中高生向けにアレンジしたプログラムです。

子どもに本当に教えなければならないことはなにか。

保護者や学校関係者は、子どもが進学校に進みいい大学に入り、一流企業に就職することを期待しますが、実際にそのような生徒は限られています。

社会が求めている教育と学校が求めている教育は違うのではないか。本当に大切なことは「働く力」を身につけることではないか―、私はそう考えています。いくら立派なことを言っても、社会に出て働かなければ飯は食えない。男子であれば、真面目に働いて家庭を守る。礼儀正しく、目上や先輩を敬うといった、基本的な人間性の育ちがむしろ重要なのではないかと感じます。

「何のために勉強するのか」。子ども自身がそこに気づくことによって、自ずと人間性が育ちます。そしてそれを教えてくれるのがこのプログラムです。7つの習慣自体、それほど特異なものではありません。むしろ一見「当たり前」に見えるものです。しかしそれを単に知識として学ぶのではなく、実際に「行動」に変え、「習慣化」していくことで、自分の課題や目標に対応していく力が身につきます。こうした、子どもの人間性を育てる取り組みが徐々に評価されるようになり、就任当初から比べて出願者が増え、非常に優秀な生徒が集まるようになりました。

経営者である私の仕事は、先生方が安心して教育に専念できる環境を作ることです。今後も少子化が進む中、「選ばれる」学校であり続けられるよう、学校運営に真摯に取り組んでいきたいと思っています。